【税理士試験】税法科目の独学合格は諦めたほうが良い?

税理士試験合格を目指す人の中には、「出来るだけ独学で合格したい」と考えている人もいるでしょうが、当サイトでは「簿記論」「財務諸表論」の独学合格は可能性があるとお伝えしていますが、税法科目の独学合格は「100%ムリ」とまでは言いませんが、出来れば諦めたほうが良いと考えています。

 

 

税理士試験合格者の中には、「独学で5科目合格出来た」などと、ブログなどで書いている人もいるようですが、これはほとんど稀なケースと言って良いでしょう。

当サイト管理人は、これまで100人以上の税理士の方と仕事をしてきましたが、その中には「すべて独学で5科目合格出来た」という方は一人もいませんでした。

そこでこの記事では、当サイト管理人の知り合いの税理士や、大手資格の専門学校「元」講師の意見も参考にしながら、税理士試験における税法科目の独学合格について考えてみたいと思います。

目次

独学で5年、10年と無駄にしている人はザラ

まず、知っておいて頂きたいのが「税理士試験に独学で挑み続け、5年、10年と無駄にしている人はザラにいる」という現実。

人それぞれの価値観は異なると思いますから、捉えようによっては「無駄なんかじゃない」と考える人もいるでしょう。しかし、どうせ挑戦するのなら、出来るだけ早く合格したほうが良いと考える方がほとんどかと思います。

例えば、とある税理士事務所に勤務する4科目合格の職員さんは、あと1科目という状態がもう10年も続いています。最初の2~3年は「まぁ、こんなもんだろ」などと悠長に構えていましたが、5年を過ぎたあたりから「ちょっと、もう無理かな?」と諦めるようになったそうです。

ここで、「あと1科目だったら、大学院に行って科目免除を受けたら良いのに」と考える人もいる事でしょう。

しかしこの職員さん、厳密に言うと「簿記論」「財務諸表論」は試験に合格しているのですが、既に大学院に進学しているため、実は一度も税法科目に合格したことが無いのです。

ですから、「簿記論」+「財務諸表論」+「大学院進学による税法科目2科目免除」という状態ですから、残りはちゃんと試験に合格しなければならないという事なのです。

この10年の間に、事務所の後輩たちはドンドン5科目合格を達成して税理士登録をしていますが、この職員さんだけは給与面、役職面でも10年前とほとんど変わらないままです。

本人も努力していない訳ではないでしょうが、受験科目も「酒税」にしてみたり「固定資産税」にしてみたりと統一性がないため、今後も受かるかどうかは怪しいところです。

税理士事務所で勤務しているのであれば、必ずしも5科目合格する必要はありませんが、待遇面から考えればやはり4科目合格と5科目合格の差は大きいと言えます。

「自分はそんな事にはならない」という人もいるでしょうが、このような人は意外と多いのが現実です。

税法科目の独学合格が難しい理由

それでは、「何故、税法科目の独学合格が難しいのか」についても考えてみましょう。

以下は、元大手資格の専門学校講師であり、現役で税理士として活躍されている方の意見を参考にしています。

税理士試験の難易度が「年々上がっている」

まずは、「税理士試験の難易度が年々上がっている」という事。

これは、教える側として毎年実感していたようです。

各スクール毎にテキストの内容は異なりますが、どこも最終目的は「試験に合格させるため」のテキストですから、内容に根本的な違いはありません。また、大手のスクールであれば、他のスクールのテキストも研究しているようですから、講師自身も自社のテキストと見比べる事もあるようです。

そうした中で、毎年テキストの内容がどこのスクールも難しくなっているようですから、教える側の講師としては「自分が合格した時より大変だな」というのが本音のようです。

すでに税理士として活躍している人が言うのですから、現実味がありますよね。

「簿記論」「財務諸表論」についてはそれほどでも無いようですが、税法に関してはこの傾向がかなり強いようです。

税法のテキストは市販のものが少ない

次が「税法のテキストは市販のものが少ない」という事。

これは、税理士試験の受験生であればよくご存知の事かと思います。

基本的に税法科目というのは、ほぼ毎年「税制改正」の影響を受けるため、一般的な出版会社が作成するとなると、それに対応する事がかなり難しいと言えます。

税理士試験は毎年8月に行われますが、その試験内容は4月の税制改正に沿った内容となっているため、税理士試験対策に長年取り組んでいる資格の学校でなければ予測は難しいと言えるでしょう。

こうした理由から、税法科目の市販のテキストが少ないというのも納得できるかと思います。

税法科目を独学合格した人は何をしているのか?

しかしここまでお伝えしても、「そうは言っても、実際に独学で合格している人もいるんでしょ?」と考える人もいるでしょう。

確かにいる事はいるでしょうが、そうした人達は、それこそ様々な努力をされているのだと思います。

例えば考えられる事として、「オークションサイトで専門学校のテキストを購入する」という事が挙げられるでしょう。前述したように、そもそも市販のテキストが少ないのですから、何とか資格のスクールのテキストを購入しない事には合格は難しいからです。

資格のスクールの税理士講座は9月頃からスタートする事が多いので、そこで入学した人の中に一定数は「合格は無理だな」と、早々に学習を諦める人もいます。

そういった人の多くは、購入したテキストを「ヤフオク!」や「メルカリ」で販売する傾向がありますから、そういったサイトを狙ってみるのもひとつでしょう。

しかし、あくまでもテキストを購入できるだけですから、テキスト発行後の急な税制改正があれば対応する事が難しくなります。

資格のスクールに通っていれば、そうした改正にもいち早く対応しますが、独学となるとそうはいきません。仮にその時点で最新のテキストを入手できたとしても、あとは「運次第」という部分も否定できません。

税法科目合格を目指すなら

以上の事から考えると、税法科目合格を目指すなら、やはり独学での合格は難しいと言わざるを得ません。

そこで、考えられる対策は、「資格のスクールで学習する」「税法免除となる大学院への進学」となってきます。

しかし、どちらも費用が高額となり、例えば資格のスクールで税法科目を受講すると、科目にもよりますが1科目20万円程度は覚悟しなくてはいけませんし、大学院進学ともなれば2年間で100万円以上の費用は軽くかかってきます。

税理士試験の免除を受ける事が可能な大学院については、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

 

こういった事もあり、多くの人が「独学で合格したい」と望むのでしょうが、現実的に考えれば、やはり費用がかかることは避けて通れないでしょう。

税法科目の学習費用を抑える方法

とは言っても、「少しでも費用を安く抑えたい」というのは誰しもが考える事でしょうから、ここで、税法科目の学習費用を少しでも抑える方法についてお伝えします。

教育訓練給付金を活用する

まずは、「教育訓練給付金を活用する」という方法。

この制度は国(厚生労働省)が、「労働者のキャリアアップを支援するため」に創設した制度であり、「労働者の資格取得費用の補助」を主な目的としています。この制度を利用すれば、税法科目学習にかかった費用について、国が何割か(20%~50%程度)負担してくれますから、これを利用しない手はありません。

また、税理士試験においては、かなり手厚い補助もありますから検討してみる価値は大いにあると言えます。

詳しくは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

ボリュームの少ない科目を選択する

次が「ボリュームの少ない科目を選択する」という事。いわゆる「ミニ税法」ですね。

現在、税理士試験における税法科目は9科目ありますが、それぞれ試験内容のボリュームが異なります。

やはり一番ボリュームが多いのが「所得税」「法人税」で、それに続いて「相続税」「消費税」となってきます。要は、これら以外の税法科目であれば、そもそものボリュームが少ないため、講座費用も安く済ませる事が出来るという訳です。

ミニ税法
  1. 酒税法
  2. 国税徴収法
  3. 住民税
  4. 事業税
  5. 固定資産税

上記の中でも受験生に人気なのが、やはり「固定資産税」「国税徴収法」かもしれません。

どちらもボリュームが少なく、特に固定資産税に関しては、毎年合格率も平均して高いため人気となるのも分かる気がします。

一般的に、大手のスクールで「所得税」「法人税」の講座を受講すると、1科目25万円はかかる事が多いですが、こうしたミニ税法になると10万円程度まで下がります。

しかし、将来の就職時の事を考えると、法人税や消費税、相続税は合格しておきたいと考えることもあるでしょうし、大学院での税法免除を受けないのであれば「所得税」の「法人税」いずれかに合格しなくてはいけません。

(※ 所得税と法人税は「選択必須科目」であるため、5科目合格で税理士になるにはいずれかに合格しなくてはいけません。しかし、税法免除を受けるのであれば、この制限はありません)

色々と考える事はありますが、「とにかく合格すれば良いんだ」と考えているのであれば、このミニ税法を選択すれば、費用を安く抑える事が可能です。

この辺りについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

eラーニング専業のスクールを選択する

そして最後が「eラーニング専業のスクールを選択する」という事。

税理士試験対策のスクール大手といえば「資格の大原」と「TAC」が有名ですが、どちらも全国に多数の校舎を構え職員数も多いため、どうしても固定費が高くなります。

そのため、それに伴い講座費用も高くなることは仕方がありません。

その点eラーニング専業のスクールであれば、こうした固定費がかからないので、講座費用もかなり安くなっています。

「eラーニングで本当に合格出来るのかな?」と考える人もいるようですが、実際に合格している人は何人もいますから、そこはあまり心配する必要はありません。

ただし、例えば通学講座ですと「分からない点はすぐに講師に質問できる」「強制的に学習時間を確保できる」など、Web講座(eラーニング)とは異なるメリットがありますから、そこは自分の性格などを考慮しながら選択する必要があります。

税理士試験対策のおすすめスクール

上記の内容から、やはり税理士試験の税法科目は独学での合格が難しい事が理解頂けたかと思います。

そこで、以下において「税理士試験講座を開設しているおすすめスクール」をご紹介します。

Web講座(eラーニング)専業

まずはWeb講座(eラーニング)専業のスクールから。

注意点として、それぞれのスクールにおける「講座費用」を例示していますが、これは現時点(2020年1月)のものですから、詳しくは各スクールの公式HPにてご確認ください。

ネットスクール


このネットスクールは、税理士講座だけでなく簿記講座やファイナンシャルプランナーの講座も開設していることから、「会計に特化したスクール」として有名です。また、eラーニング専門の学校ですから、講座費用も安く抑えられるという点も魅力的です。また、教育訓練給付金に対応している講座もありますから、更に費用を抑える事が可能となります。

講座期間学習方法税法科目講座
7か月~eラーニングのみ
  1. 法人税法
  2. 消費税法
  3. 相続税法
  4. 国税徴収法
講座費用(例:法人税法)割引き等-

レギュラー講座:155,800円

受講生割引、複数科目割引あり

 

クレアール


資格★合格クレアール

資格試験のeラーニング講座において一番有名なのは、このクレアールかもしれません。他の大手専門学校もeラーニング講座の取り扱いがありますが、クレアールはeラーニング講座の専業という事もあり、かなりのノウハウがあります。Web講座でありながら、「担任制」という珍しいシステムを導入しており、電話やファックス等でいつでも相談に応じてもらえます。また、各種割引や延長サービスなどもあるため、使い勝手の良いスクールだと言えるでしょう。

講座期間学習方法税法科目講座
7ヶ月~通信、eラーニングから選択
  1. 法人税法
  2. 消費税法
  3. 相続税法
講座費用(例:法人税法)割引き等-

レギュラー講座:215,000円

※ただし、申込み月によっては割引により150,000円~という場合もあり要確認。

毎月、各種割引キャンペーン開催

 

通学も選択できる「大手スクール」

次が、通学も選択できる「大手スクール」。

資格の大原


資格の大原 税理士講座

税理士試験講座を探すなら、何と言ってもこの「資格の大原」がお勧めです。大手だけに講座費用は高額となりますが、教育訓練給付金の対象講座も多いため、組み合わせ方によってはかなり費用を抑える事が可能です。合格者数の実績が多いだけに、一度検討してみる価値はあるでしょう。

訓練期間学習方法税法科目講座
7ヶ月~通学、通信、eラーニングから選択税法科目は全てあり
講座費用(例:法人税法Web講座)割引き等-
初学者短期合格コース:158,000~有り。キャッシュレス還元等、内容が豊富

 

LEC(レック)


このLECも、大原と同じく資格のスクール大手として有名ですが、LECはどちらかというとeラーニングに力を入れている印象が強く、講座費用も若干安くなっています。ただし、大原のように全ての税法講座を取り扱っている訳ではありませんから、ミニ税法狙いの方は対象とならないかもしれません。

訓練期間学習方法税法科目講座
7ヶ月~通学、通信、eラーニングから選択
  1. 法人税法
  2. 所得税法
  3. 消費税法
  4. 相続税法
講座費用(例:法人税法Web講座)割引き等-
初学者パーフェクトコース:123,200円~受講生割引、早割、退職者・離職者割引等

 

上記で表示している講座費用は代表的なものであり、各種割引を利用すれば、ここから更に安くなる場合があります。詳しくは、各スクールの公式HPにてご確認ください。

以上をまとめると、

ミニ税法を狙うなら
所得税を学習したいなら

※所得税の講座を取り扱っているスクールは少数。

教育訓練給付金を利用するなら

となります。

それぞれ自分自身が「何を求めているか」によって選択も変わると思いますので、まずは一度、気になるスクールに資料請求をした上で判断しましょう。

まとめ

当サイトとしては、税理士試験の税法科目は上記のスクールにて学習する方が、独学よりも効率的であり、最終的には費用を安く済ませる事が出来ると考えます。

5年も10年も時間とお金を浪費するより、一度腰を据えて合格を目指してみては如何でしょうか?