
税理士試験に挑戦しようと思い立ったら、まず考えるのが「合格までに必要な勉強時間」についてではないでしょうか?
本音を言えば、誰もが「効率よく」「短時間で」合格したいはずですよね。
そういった方々の為に、この記事では、税理士試験に合格するまでに必要な勉強時間などについてお伝えします。
目次
税理士試験合格の要件
まず前提条件として、税理士試験合格には、会計学2科目、税法3科目の計5科目に合格しなくてはいけません。
これは、1年で合格する必要は無く、数年にわけて合計5科目合格すれば大丈夫です。
税理士試験の受験資格などについて、詳しくは下の記事もご覧になってみて下さい。
税理士になることを目指すのであれば、まず、税理士試験について知らなければいけません。 ここでは、税理士試験の申し込みから受験までの流れや、受験資格、試験科目についてお伝えします。 目次1 税理士試験の日程2 受験資格3 …
合格基準
次に「合格基準」についてですが、基本的に各科目とも100点満点に対し、およそ60点以上取得すれば合格とされています。しかし、60点以上取れば必ず合格できるわけではありません。
基本的に税理士試験は「相対評価」とされており、どの科目も合格率は10%~15%くらいとなっています。
つまり、60点以上の成績であったとしても、上位10%程度に入っていなければ合格できない仕組みとなっているのです。
通常、各受験生ともに専門学校などで全国模擬試験を受けますが、この時、全国で上位20~30%以内に入っている事が本試験合格の目安となるようです。
資格の学校が推奨する勉強時間は?
世の中には、多くの資格の専門学校があり、その学校のほとんどが、ホームページ上などで「合格までに必要となる学習時間の目安」というものを公開しています。
税理士試験の勉強をする際、まず思いつく専門学校として「資格の大原」「TAC」「LEC
」が挙がってくるかと思いますが、ここで、各専門学校が公表している勉強時間を表にして比べてみます。
資格の大原 | TAC | LEC | |
---|---|---|---|
簿記論 | 400時間 | 450時間 | 450時間 |
財務諸表論 | 400時間 | 450時間 | 450時間 |
所得税法 | 600時間 | 600時間 | 600時間 |
法人税法 | 600時間 | 600時間 | 600時間 |
相続税法 | 520時間 | 450時間 | 450時間 |
消費税法 | 300時間 | 300時間 | 300時間 |
酒税法 | 170時間 | 150時間 | 200時間 |
国税徴収法 | 170時間 | 150時間 | 110時間 |
住民税 | 190時間 | 200時間 | 200時間 |
事業税 | 190時間 | 200時間 | 200時間 |
固定資産税 | 190時間 | 250時間 | 200時間 |
上記を見ると、各専門学校とも、推奨している学習時間に大きな差はないと言えますね。
ただし、ここで一つ注意点があります。
税理士試験には、それぞれ科目ごとに「計算」と「理論」の問題があります(一部除く)。
このうち、「理論」に関しては、条文などの暗記が必要となるのですが、これは個人の能力によって学習時間が異なってしまいます。ですから、各専門学校ともに上記の学習時間には、この「暗記学習」が含まれていません。
一般的に、「理論」に必要とされる暗記の学習時間は、上記の学習時間分と同等と言われていますので、上記学習時間を2倍にした時間がそれぞれ必要な合計学習時間と言えるでしょう。
それを踏まえた学習時間がこちら(※基本となる学習時間は、各スクールの平均値を基にしています)。
計算:理論の点数配分 | 学習時間 | 暗記時間 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
簿記論 | 100点:0 | 450時間 | 450時間 | |
財務諸表論 | 50点:50点 | 450時間 | 450時間 | 900時間 |
所得税法 | 50点:50点 | 600時間 | 600時間 | 1200時間 |
法人税法 | 50点:50点 | 600時間 | 600時間 | 1200時間 |
相続税法 | 50点:50点 | 450時間 | 450時間 | 900時間 |
消費税法 | 50点:50点 | 300時間 | 300時間 | 600時間 |
酒税法 | 70点:30点 | 200時間 | 100時間 | 300時間 |
国税徴収法 | 0点:100点 | 150時間 | 150時間 | |
住民税 | 50点:50点 | 200時間 | 200時間 | 400時間 |
事業税 | 45点:55点 | 200時間 | 200時間 | 400時間 |
固定資産税 | 50点:50点 | 200時間 | 200時間 | 400時間 |
合計時間を見ると、特に所得税や法人税などは、気が遠くなるような数字ですね。
ただ実際には、多くの受験生が上記の学習時間で合格できていないのが現実のようです。
合格者の声
当サイト管理人は、これまで多くの税理士と関わってきましたが、よくこの「試験の勉強時間」について税理士の方々と話をすることがあります。
ほとんどの方が、「思い出すだけで、吐きそう・・・」などと言うくらいですから、相当の時間を費やしていたことが伺い知れますね(笑)。
ここで、実際に5科目合格で税理士になった方々のお話を参考にし、おおよその学習時間を下の表にまとめてみました。
最短時間 | 最長時間 | 平均目安 | |
---|---|---|---|
簿記論 | 400時間 | 600時間 | 500時間 |
財務諸表論 | 400時間 | 2000時間 | 800時間 |
所得税法 | 1500時間 | 1800時間 | 1600時間 |
法人税法 | 1500時間 | 2000時間 | 1600時間 |
相続税法 | 900時間 | 1400時間 | 1200時間 |
消費税法 | 500時間 | 1200時間 | 1000時間 |
酒税法 | 400時間 | 400時間 | 400時間 |
国税徴収法 | ー | ー | ー |
住民税 | 400時間 | 1000時間 | 700時間 |
事業税 | 400時間 | 1000時間 | 700時間 |
固定資産税 | 500時間 | 1000時間 | 700時間 |
※酒税法は一人しか受験していなかったので、その方だけの数値となります。また、国税徴収法は今回の回答者に受験者がいなかったので空白としています。
こうしてみると、専門学校が推奨している学習時間と実際の学習時間では、かなりの開きがあることがわかりますね。
たとえば、必須科目である「簿記論」「財務諸表論」と選択必須科目の「法人税」、残りを「相続税」「消費税」として受験したとすれば、専門学校の記載でいくと合計「4,050時間」となりますが、実情から計算すると上記表の目安の合計は「5,100時間」となるという事になります。
いずれにしても、5科目全てを1年で一発合格するのには無理がある事がわかりますね。
仮に、平日の5日間は毎日3時間勉強し、土曜日は6時間、日曜日は休息とします。
そうすると、一年間は約52週あるので(5日×3時間+6時間)×52週ですから、このペースですと1年間で合計「1,092時間」の学習時間となります。
ということは、少なくとも5年間はこのペースで勉強し続けないと合格は難しいと言えるでしょう。
学生の方であれば、もっと勉強時間を増やすことも出来そうですが、社会人であれば上記のペースが限界ではないかと・・・。
これを「先は長いな・・・」と諦めるのか、「何とか頑張れそうだな」と考えるかはあなた次第でしょう。
まとめ
単純に「税理士試験の学習時間は5,100時間は必要」と聞けば、誰もが尻込みすると思いますが、実はこれを短縮する方法も存在します。
それを実現するためには「科目選び」が重要なカギとなってくるのです。
税理士試験は、会計科目2科目、税法科目9科目の計11科目となりますが、それぞれリンクしている科目もあるため、この組み合わせ方次第によっては大幅な学習時間の削減を可能とします。
そういった方法についての記事もありますから、詳しく知りたい方は、下記の内容を参考にしてみて下さい。
税理士になるためには「会計2科目」「税法3科目」の計5科目に合格しなくてはなりませんが、多くの受験生が、この受験科目選びの段階でかなり頭を悩ませているようです。 会計科目である「簿記論」「財務諸表論」は、「必須科目」であ …