【税理士試験】社会人が働きながら合格するための効率的な方法

税理士試験合格を目指す社会人の方は、様々な立場の人がいると思います。

学生時代から税理士試験を受験し、数科目合格の後、働きながら勉強している人。又は、何か手に職を持ちたくて、これから税理士合格を目指す「完全初学者」の人など、その置かれている状況は様々であると言えるでしょう。

そのため、一律に「税理士試験に合格するためには、これだけやっておけば良い」などという方法はお伝え出来ませんが、共通して「合格するための効率的な方法」というのは存在します。

当サイト内においては、「資格の専門学校はどこを選べばいいのか?」「教材はどこがおススメ?」などについての様々な記事もありますので、そういった細かい情報は、そちらをご覧になっていただければと思いますが、まずは、最低限押さえておくべき内容をこの記事において学習しましょう。

目次

税理士になる方法は、税理士試験合格だけじゃない

まず最初に知っていただきたいのが、税理士になる方法は、何も税理士試験に合格する事だけではないという事です。

これに関する詳しい内容は、下の記事に書かれていますので、そちらもご覧になってみて下さい。

 

 

ここで簡単に説明すると、大きく分けて

税理士試験以外で税理士になる方法
  1. 公認会計士試験に合格する
  2. 司法試験に合格する
  3. 国税庁などの公務員として一定年数以上勤務する

といった方法があります。

それぞれメリット・デメリットがありますが、こういった選択肢もあるという事を、まず前提として覚えていておいてください。

初学者に重要な「受験資格」について知っておく

税理士試験を受けるとなると、まず第一段階として「受験資格」というハードルが待っています。

資格試験には受験資格を必要としないものも多いのですが、税理士試験は、誰でも受けれるわけではない試験となっています。

この受験資格については、下記の記事を参考にしてください。

 

 

受験資格の条件は様々ですが、多くの場合、「日商簿記検定1級」「全経上級」に合格することで、これをクリアされる人が多いようです。

どちらも難しい試験ではありますが、税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」とリンクする部分が多いため、これに合格しておけば、税理士本試験においてもそれまでに身に付けた知識が有効に活用できるという利点があります。

実際、日商簿記1級に合格したら、その時点で税理士試験の簿記論・財務諸表論の受験生の中で、上位30%に入る実力となるようですから、勉強する事に無駄はありません。

いきなり日商簿記1級合格は難しいですので、まずは、3級、2級と順に受験する事により、少しづつ知識を身に付けていくことをお勧めします。

しかし一方で社会人の方の場合、高校生や大学生に比べ、この受験資格をクリアする事はそんなに難しくないかもしれません。

というのも、その要件の中には「会社などで経理業務に従事した期間が2年以上の者」というものもあり、これまでの職歴次第では、わざわざ簿記検定などを受験する必要がないからです。

これについては、国税庁のHPなどでよく確認してみましょう。

事前の計画作成がとても重要

税理士試験を受験するとなると、ほとんどの場合が5科目合格までに長い期間を要する事になります。

正直、完全初学者の方の場合、何から手を付けてよいのかわからないのが本音かもしれませんね。

これに対し、すでに数科目の合格者の方は、残りの科目合格に集中すればよいだけですが、かといって、例えば受験の科目選びを間違えてしまうだけでも、後々後悔してしまう可能性もあります。

効率的に税理士試験に合格するためには、まず「5科目合格」を終点とし、それから逆算して物事を考える事が重要となります。

その為には、そこに辿りつくまでに「どんなハードルがあるのか?」「そのハードルの乗り越え方は?」という情報を、事前に理解しておく必要があります。

つまり、「合格までの計画作り」を事前に行う事が重要という訳です。

そこで、税理士試験5科目合格までに、どういった事に気を付ける必要があるかについて見ていきましょう。

受験資格のクリアについて

前述しましたが、税理士試験を受験するためには、どうしてもこの「受験資格」が必要となります。

すでに税理士試験を受験している方は読み飛ばして頂いて構いませんが、完全初学者の方は、意外とここでつまずくことが多いようです。

社会人の方の場合、学生の方よりも受験資格取得の選択肢は多くなりますので、もちろん自分に合った方法を選択して頂いて構いませんが、当サイトでは「日商簿記1級合格」もしくは「全経上級合格」による方法を推奨しています。

しかしこうお伝えすると、「そんな遠回りするより、さっさと本試験を受験したほうが良いんじゃない?」と考える人もいるかもしれませんね。

しかし、税理士というのは、何処まで行っても「簿記」と「財務諸表」が基本となる仕事です。

また、税理士試験全体が、「簿記・財務諸表」の知識が無いと理解できない場合があります。

最初に土台をしっかりと作っておけば、あとは、それに知識を積み重ねていくだけですので、遠回りに見えて実は近道になり得るのです。

ですから、「早く合格したい」という気持ちは分かりますが、まずは「日商簿記1級」または「全経上級」に合格してから税理士本試験を受ける方が、後々あなたにとってプラスに働く事が多いでしょう。

もちろん、全く簿記に触れたことが無い人は、日商簿記3級から始め、日商簿記2級と段階を得て勉強を進める事をお勧めします。

下記は、その一例をチャートにしたものです。

税理士試験は年一回のみの開催となりますが、その他の検定試験は年数回ありますので、「税理士試験を受験しよう」と思い立ったら、まずはいずれかの試験を受けてみると良いでしょう。

詳しくは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

「簿記論」「財務諸表論」は、なるべく早く合格したほうが良い

受験資格取得後、晴れて税理士試験に挑戦できるわけですが、次に悩んでしまうのが、「どの科目から受験したほうが良いか」という事かと思います。

税理士試験は、全11科目ありますので、もちろん自分の得意な科目から受験するのも良いと思います。

ただし、出来れば「簿記論」「財務諸表論」に関しては、出来るだけ早く合格しておくことをお勧めします。

では、その理由について見ていきましょう。

税理士試験全体の基礎となる

前述しましたが、「簿記論」「財務諸表論」は、税理士試験全体の基礎となる科目です。

この二つの科目が、税理士試験における「必須科目(必ず選択しなくてはならない科目)」である事を考えても、その重要性がお分かりになるでしょう。

また、事前に「日商簿記1級」に合格したのち、税理士試験を受験するなら、尚更そのままこの2科目を受験したほうが良いと言えます。

というのもしつこいようですが、日商簿記1級に合格すれば、その時点で簿記論・財務諸表論の中でも上位30%以内に位置するといわれています。

その場合、あとは簿記論・財務諸表論の「過去問」「理論暗記」をプラスするだけで、合格できる可能性があるからなのです。

効率的に合格するためには、持ってこいの流れだと言えるでしょう。

2科目同時に受験すれば効率的

上記より、簿記論・財務諸表論が重要であることはわかりました。

しかしここで、「1科目ずつ勉強したほうが良いか」「2科目同時に勉強したほうが良いか」と悩む人もいる事でしょう。

その点において当サイトとしては、「同時に2科目勉強し、受験する」事をおススメしています。

その理由としては、この2科目は出題内容がほぼ同じであり、リンクする部分が多いからなのです。

例えば、財務諸表論の第三問では総合計算問題が出題されますが、これは簿記論の第三問の総合計算問題と同じ方式となっています。ここで簿記論の方が難易度が高いため、簿記論の対策さえ重点的にしておけば、財務諸表論は簡単に解けるという訳ですね。

実際、資格の専門学校も、この「簿記論・財務諸表論」をセットにした講座を開設しているので、如何にこの2科目がリンクしているかが分かります。

通常、学習時間を考えると1+1=2となりますが、この2科目を同時に受験すれば、1+1=1.5になる可能性もあるので、かなり効率的と言えますね。

年齢が高くなると受かりにくい?

簿記論・財務諸表論は、計算問題がメインとなるため、試験中は時間との闘いとなります。

こういった場合、かなりの集中力と体力を必要としますので、どうしても若い人の方が有利となるのは否定できません。

実際、税理士事務所のスタッフの方で、税法は全て合格しているのに、簿記論・財務諸表論に合格できず「どうしても集中力が持続できない」と、嘆いている人もいます。

もちろん、年齢を重ねても集中力や体力が高い人もいますが、出来るだけ早いうちにこの会計科目は取得しておいた方が、後々都合が良いと思います。

独学か専門学校か

次に、金銭的なことを考えるのであれば、全て独学で合格出来ればと考える事でしょう。

しかし、現実的に税理士試験の5科目すべて独学で合格する事はほぼ不可能に近いと言えます。その理由については、下の記事も参考にしてみて下さい。

 

 

一般的に、税理士試験対策に強い専門学校と言えば「資格の大原」「TAC」「LEC」が思い浮かぶでしょうが、どこの専門学校を選択するかについても悩みどころかもしれません。

これに関しては、他の記事でもお伝えしていますので、宜しければ当サイトの税理士試験のカテゴリーをご覧になってみて下さい。

しかし、いずれの専門学校を選択したとしても、それなりに学費はかかるので、可能な限り独学で合格出来たらと考えるところでしょう。

すべて独学は難しいですが、「簿記論・財務諸表論は独学」「残りの税法は専門学校」という方法であれば、合格の可能性もあるので、ここは上手に使い分けたいところです。

そこで、その方法の一例を以下のフローチャートでご紹介します。

現実的に言えば、働きながら上記のスケジュールは難しいかもしれませんが、努力次第で3年程度で合格が可能になる事になります。

しかも独学を併用する事により、費用面においても負担を軽減できることが出来るので、かなり効率的な方法といえるでしょう。もちろん、資金的に余裕があれば、全ての科目に関して専門学校に通う方法でも構いません。

しかし実際に、上記の方法で5科目全てに合格している人もいるので、「自分には無理だ」などと思わずに、チャレンジしてみる価値はあると思います。

上記のように、独学で簿記論・財務諸表論合格を目指しながら、税法は専門学校などを利用するという人は下の記事も参考にしてみて下さい。

 

税法の科目選びはとても重要

次に、税法科目の科目選びについてですが、これも選択次第で合格までの時間が早くなるか遅くなるかに影響します。

税理士試験は会計科目が2科目、税法が9科目の計11科目となっており、このうち税法は3科目を選択しなくてはいけません。試験の仕組みなどについてはこちらの記事を参考にしていただければと思います。

 

 

多くの人がこの税法科目の選択に迷うようですが、もちろん「得手・不得手」という事もありますから、一番は自分に合った科目を選択することをお勧めします。

しかし、「よく分からないし、とにかく早く合格したい」と考えているのであれば、こちらの記事も参考になるかと思います。

 

経済的負担を減らすのであれば、「教育訓練給付制度」も検討しよう

ここまで読んで、「ちょっと金銭的に厳しいな」と思った人もいるかもしれませんね。

しかし、社会人の方がこうした資格試験に挑戦する場合、国が運営する「教育訓練給付制度」を利用すれば、学習に必要となる費用を安く済ませることも可能となります。

これは学生の方には利用できず、社会人の方でも一定の条件を満たしている必要がありますから、こちらについて詳しくは、以下の記事も参考にしてみて下さい。

 

まとめ

如何でしたでしょうか?

社会人が税理士試験に合格する効率的な方法に関しては、これ以外にも「試験免除を受けるため、大学院に進学する」という方法もありますが、費用がかなり掛かるという事もあり、多くの人が選択できる方法でない事から、この記事においては省略しました。

そちらに関しては、下の記事にてお伝えしています。

 

 

今回の記事は、社会人が働きながら税理士試験に合格するための大まかな流れと、効率的な方法についてお伝えしましたが、ポイントとしては「合格から逆算して考える」事と、「どんなハードルがあるかを知る」という事が、いかに重要かがお分かり頂けたかと思います。

これを機に、一歩でも前進してみては如何でしょうか?