
税理士になることを目指すのであれば、まず、税理士試験について知らなければいけません。
ここでは、税理士試験の申し込みから受験までの流れや、受験資格、試験科目についてお伝えします。
目次
税理士試験の日程
税理士試験は、毎年8月の上旬に3日間に渡って行われます(状況によって変更する場合もあり)。
毎年4月上旬に、国税庁のHP上と、官報において試験の「受付日」「受験日」「発表日」など、受験に関する内容が発表されます。
通常、受験願書の受付が5月上旬~5月中旬までとなっており、8月の試験後、12月中旬の合格発表となります。
表にすると以下の通りです。
- 4月上旬:試験内容の公告(2021年は4月2日予定)
- 5月上旬~中旬:受験願書受付(2021年は5月6日~5月18日予定)
- 8月上旬:試験実施(2021年は8月17日~8月19日予定)
- 12月中旬:合格発表(2021年は12月17日予定)
以上を見るとわかるように、試験日から合格発表まで4ヶ月もあり、試験内容の公告から数えると合計8ヶ月と、かなり長期間となっています。
このことから、税理士試験を受けるとなると、ほぼ年中試験について意識せざるを得ないと言えるでしょう。
なお、今年(2021年)の受験願書の提出方法は「郵送のみ」となっており、交付場所は各地域の国税局内となっています。詳しくは国税庁のHPをご覧になって下さい。
※過去の合格率などについて詳しくは、下の記事もご覧になってみて下さい。
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受験資格
税理士試験は、一般的な試験と異なり、誰でもが受験できるわけではありません。
ここで、税理士試験の受験資格を列挙します。
① 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修した者
② 大学の3年次以上の学生で、法律学または経済学に属する科目を含め、62単位以上を取得した者
③ 専修学校の専門課程(修業年限が2年以上かつ、課程の終了に必要な総授業数時間が1,700時間以上に限る)を修了した者などで、これらの専修学校などにおいて法律学または経済学の属する科目を1科目以上履修した者
④ 日本商工会議所主催簿記検定試験1級の合格者(いわゆる、日商簿記1級)
⑤ 社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級の合格者(いわゆる、全経上級)
⑥ 会社などで経理業務に従事した期間が2年以上の者
⑦ その他認定など
この他、細かい規定もありますが、詳しくは国税庁のHPを確認してください。特に実務経験で申請する場合は、しっかりと確認することをお勧めします。
多くの受験生が選択する受験資格
一般的に、上記受験資格において、ほとんどの方が①~⑤の受験資格で税理士試験に挑戦します。
特に「若いうちに合格したい」と考える人は、高校生のうちに日商簿記1級や全経上級を取得し、大学生の間に税理士試験に合格する人もいます。
別の記事でもお伝えしていますが、この場合、ダブルスクールとなる事が多く、遊んでいる暇などありません。ただ、早く税理士として活躍することを望むのであれば、合理的な方法と言えるでしょう。
また、全くの経理初心者であっても、税理士試験自体が簿記の勉強から始める事を考えれば、こうした資格を取得したのち、税理士試験に挑戦することで、知識としてもすんなりと入ってきやすい利点もあるといえます。
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試験科目
税理士試験の試験科目は全部で「11科目」あり、そのうちの5科目に合格することで税理士の最終合格となります。これを「官報合格」などと呼ぶこともあります。
もちろん、一度にすべて受験する必要は無く、好きな(得意な)科目から受験し、最終的に5科目合格すれば税理士資格を与えられます。
試験には、合格しなくてはならない「必須科目」と、いずれか一つは選択しなくてはならない「選択必須科目」、その他の「選択科目」があります。
以下で、詳しく見てみましょう。
① 簿記論
② 財務諸表論
上記が、いわゆる「必須科目」と呼ばれるもので、この2つは必ず合格しなくてはいけません。税理士試験は、大きく「会計科目」と「税法科目」に分けられます。という事は、会計の2科目は、全て合格する必要があるんだなと覚えておけば良いという事ですね。
③ 所得税法
④ 法人税法
税法科目は全部で9科目ありますが、そのうち1科目は上記の「選択必須科目」から選ばなくてはいけません。もちろん上記二つとも選択しても良いのですが、一般的にこの2科目は試験ボリュームが大きいため、どちらか1科目を選択する人が多いようです。
⑤ 消費税法
⑥ 酒税法
⑦ 住民税
⑧ 事業税
⑨ 相続税
⑩ 国税徴収法(こくぜいちょうしゅうほう)
⑪ 固定資産税
上記の7科目が選択科目となっています。
仮に、必須科目である①簿記論②財務諸表論に合格し、選択必須科目である③所得税法の合計3科目に合格したとします。残り2科目ですから、あとはこの選択科目のうち、2科目に合格すれば良いということになります。
ただし、ここで注意しなくてはならないことがあります。
というのも、この選択科目にはその試験内容が重複している事などから、一部試験において「どちらか一方のみしか受験できない」というものがあります。
それが⑤消費税法⑥酒税法のどちらか一方という事と、⑦住民税⑧事業税のどちらか一方という事です。
例えば、①簿記論②財務諸表論③所得税法⑤消費税法の4科目に合格しているとして、残り1科目に合格すれば官報合格となりますが、⑥の酒税法を選択して合格しても、税理士となる資格は得ることが出来ないという事です。
ですからこの場合、酒税法以外の科目を選択しなくてはいけないという事になります。
表にすると、以下のようになります。
必須科目 | ①簿記論 ②財務諸表論 |
---|---|
選択必須科目 | ③所得税法 ④法人税法 ※どちらか1つ選択、両方選択も可 |
選択科目 | ⑤消費税法 又は ⑥酒税法 のどちらか一方を選択 ⑦住民税 又は ⑧事業税 のどちらか一方を選択 ⑨相続税法 ⑩国税徴収法 ⑪固定資産税 |
税理士試験に合格する上で、この科目の選択はとても重要な要素となります。
自分に向いている科目は何か?将来、どういった税理士になりたいか?などを検討しながら、効率よく試験に臨みましょう。
試験科目の選択方法のコツなどについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
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