
2020年12月18日(金)に、国税庁より2020年度(令和2年度)の税理士試験合格発表がありました。
合格された皆さん、本当におめでとうございます。
今年の税理士試験においては、当初開催が予定されていた東京オリンピックや新型コロナウイルスの影響などから、例年と比べ日程などがかなり変更されました。
この記事において、今年の受験者数や合格率についてお伝えしていこうと思いますが、昨年(2019年)の試験についても知りたいという方は、こちらの記事もご覧になってみて下さい。
本日、国税庁より令和元年度(第69回)税理士試験の結果発表がありました。 合格された皆さん、本当におめでとうございます。 また、今回残念ながら不合格だった方も、次回に向けて気持ちを切り替えて頂ければと思います。 今回(2 …
目次
受験者数は更に減少
まずは「受験者数」についてから見ていきましょう。
2020年の受験者数は26,673人と、昨年の29,779人からかなり減少しています。ここ数年間減少傾向が続いていますが、今年は新型ウイルスの影響もあるのか、例年に比べて減少率が際立っています。
また、例年は願書提出者数に対する実際の受験者数の割合が8割以上ありましたが、今年は75%程度に低下しています。
今後も減少傾向は続くものと思われますが、来年においてはウイルス対策次第で増加に転じる可能性もあるかもしれません。
合格率は急上昇
それでは次に「合格率」について。
ここ数年の合格率は横ばい傾向が続いていましたが、今年の合格率は「20.3%」と、例年に比べて高い合格率となっています。
昨年に比べて、受験者数が減少しているのにも関わらず合格者数は増加していますから、今年受験された方の中には驚いている人もいるかもしれませんね。
ちなみに、2020年の合格者数は5,402人、合格率は20.3%となっていますが、この合格者数は科目合格者と最終合格者の合計の数字となっていますからご注意ください。
科目別受験者数と合格率
それでは次に、「科目別受験数と合格率」について。
税理士試験は全部で11科目あり、それぞれの科目で合格率も変わってきます。グラフを見ると「簿記論」「財務諸表論」の受験者数が多いことが分かりますが、これらは「必須科目」、つまり必ず合格しなくてはいけない科目となっているため、このような数字となる訳です。
合格率においては税法科目が全般的に低いことが分かりますが、その中でも「法人税法」「住民税」はここ数年高い傾向にあります。ですから狙い目の科目であると言いたいところですが、法人税法はかなりのボリュームがありますし、住民税は特殊な内容であることから、安易に決められないと言ったところでしょう。
ちなみに、5科目合格する場合には、「簿記論」「財務諸表論」の会計科目に合格し、「法人税法」「所得税法」の選択必須科目のどちらかに合格した上で、残り2科目の税法科目に合格する必要がありますが(順番に決まりはありません)、選択必須科目をどちらで受験するか悩む人もいると思います。
もちろん両方受験しても構いませんが、法人税法と所得税法はかなりのボリュームがありますから、どちらか一つを選ぶという人の方が多いでしょう。また、消費税法も人気科目なのですが、あまり合格率が高くないためこちらの選択も難しいところです(以下のグラフ参照)。
これまで法人税法の合格率は低かったのですが、ここ数年上昇傾向にありますから、選択必須科目で悩んでいる人は法人税法に挑戦するのも良いかもしれませんね。
また、これ以外に税法に関しては、ここ数年の合格率が高い「住民税」や「事業税」なども狙い目かもしれませんが、やはり安定の「固定資産税」「国税徴収法」などが無難かもしれません。
合格者の年齢
次に「合格者の年齢」について。
ここ数年、「41歳以上」の合格者数が増えている事が分かり、人数で言えば「25歳以下」と「41歳以上」で5割近くの合格者数となっています。
しかし、「年齢ごとの合格率」で見ると以下のようになります。
全般的に合格率が上昇している事が分かりますが、やはり25歳以下の合格率は突出していますよね。年齢が上昇するにつれて合格率も低下していますから、やはり税理士試験というのは若いうちに受験しておく方が有利であることが分かります。
41歳以上の合格者数が増えているという事は、単純に受験者数に占める41歳以上の比率が高いことの裏返しですから、税理士試験はどんどん高齢化している事が分かります。
合格者が考えるべき事
今回5科目合格された方は、後は登録の手続きをするのみといったところでしょうが、科目合格だけの方は、また来年の合格に向けて動き出さなくてはいけません。
しかし、合格している科目の数や内容によっては、考えるべきことも変わってくるかと思います。例えば、既に会計2科目に合格していて今回税法1科目に合格した人ならば、そのまま試験勉強を続けるのもひとつですが、試験免除が受けられる「大学院」に入学するというのも考えられますよね。
人それぞれの置かれた状況によって考えるべきことは異なると思いますが、一般的に考えられることとしては以下のような事が挙げられます。
- 大学院に通うかどうか
- 次の受験科目をどうするか
- 就職はどうするか
- 独学にするかスクールに通うか
まず1の「大学院に通うかどうか」という事については、税法科目を残り2科目残す人は考えるべき事案だと言えます。大学院を卒業すれば税理士に登録する事が出来ますから、大学院への進学で悩んでいる人はこちらの記事も参考にしてみて下さい。
税理士になるためには、基本的に「会計科目2科目」「税法科目3科目」の合計5科目に合格する必要がありますが、これ以外にも税理士になる道は幾つかあります。 具体的には、下の記事を参考にして頂けたらと思いますが、弁護士や公認会 …
次に、「次の受験科目をどうするか」という事については、これは多くの人が悩む点だと言えるでしょう。出来れば、これまで勉強してきた科目と似たような内容であれば合格する確率も高まりますから、効率よく学習したいと思いますよね。
こちらについては、以下の記事が参考になると思います。
税理士になるためには「会計2科目」「税法3科目」の計5科目に合格しなくてはなりませんが、多くの受験生が、この受験科目選びの段階でかなり頭を悩ませているようです。 会計科目である「簿記論」「財務諸表論」は、「必須科目」であ …
そして次が「就職はどうするか」という事ですが、ある程度5科目合格が見えてきたら、税理士に登録するためには「2年間の実務経験」が必要となるため、就職する事も視野に入れなくてはなりません。当サイトでは、会計事務所への就職に関する記事が沢山ありますから、宜しければ「就職・転職」の記事一覧も参考にしてみて下さい。
また、以下の記事なども参考になると思います。
税理士試験合格を目指している人の中には、現在定職に就かず、受験に専念している人もいるかと思います。 その立場や環境も様々で、例えば現在大学生や専門学校生の場合もあるでしょうし、学校を卒業したものの、無職で試験勉強を続けて …
そして最後の「独学にするかスクールに通うか」という事についてですが、やはり税理士試験合格において独学というのは限界がありますから、出来ればスクールに通う事をお勧めします。
こちらについては、以下の記事も参考にしてみて下さい。
税理士試験を受けようと考えれば、まず最初に「学校に通うか」「独学で勉強するか」で悩むところでしょう。 実際ブログなどで「独学で税理士試験、合格しました!」なんて報告している人もいるようですから、独学で税理士試験に合格する …
不合格者が取るべき行動
そして次に、今回残念ながら合格できなかった方が取るべき行動について。
やはり試験というのは試験当日の体調なども影響しますので、一概に学力不足だけが不合格の原因だとは言い切れません。ですからあまり落ち込まず、来年に向けて気持ちを切り替えていきましょう。
一度、試験に対する向き合い方を考えてみるのもひとつですから、そういった場合には、こちらの記事も参考になるかもしれません。
税理士試験合格を目指す社会人の方は、様々な立場の人がいると思います。 学生時代から税理士試験を受験し、数科目合格の後、働きながら勉強している人。 又は、何か手に職を持ちたくて、これから税理士合格を目指す「完全初学者」の人 …
また、これまで独学で頑張ってきた人であれば、税法科目は限界を感じているという人もいるかもしれません。そういった方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
税理士試験合格を目指す人の中には、「出来るだけ独学で合格したい」と考えている人もいるでしょうが、当サイトでは「簿記論」「財務諸表論」の独学合格は可能性があるとお伝えしていますが、税法科目の独学合格は「100%ムリ」とまで …
2021年度(令和3年度)試験のスケジュール(予定)
それでは最後に、来年度(2021年)の税理士試験のスケジュールについてもお伝えしておきます。
2021年度スケジュール(予定)
- 試験実施官報公告 - 令和3年4月2日
- 受験申込受付開始 - 令和3年5月6日
- 受験申込受付締切 - 令和3年5月18日
- 試験実施 - 令和3年8月17日~8月19日
- 合格発表 - 令和3年12月17日
上記を見ると、スケジュール的には2020年とほぼ同じような内容となっています。
まだまだ先のように感じるかもしれませんが、気が付けばあっという間ですから、出来るだけ早めに試験対策に取り掛かる事をお勧めします。