【2019年】税理士試験合格発表、合格率や受験者数などについて

本日、国税庁より令和元年度(第69回)税理士試験の結果発表がありました。

合格された皆さん、本当におめでとうございます。

また、今回残念ながら不合格だった方も、次回に向けて気持ちを切り替えて頂ければと思います。

今回(2019年度)の税理士試験ですが、合格率は18.1%と昨年の15.3%から上昇しているようです。昨年と比べ上昇してはいますが、例年で見ると合格率はほぼ横ばい傾向となっています。

全般的な特徴としては、年々受験者数が減少傾向にあり、今年度はとうとう3万人をきったようです。

そこでこの記事では、2019年度の税理士試験のその他の特徴や、近年の傾向などについてお伝えします。

目次

受験者数は年々減少

上のグラフは、各年度ごとの税理士試験願書提出者数と受験者数の推移を表しています。願書を提出しても実際に受験しない人は毎年一定数いますが、その比率自体は各年度ともあまり変わらない事が分かります。

2019年度の願書提出者数は36,701人で、実際に受験した受験者数は29,779人と、とうとう3万人割れをしたようです。

公認会計士試験の受験者数は上昇傾向にありますが、税理士試験は人気に陰りが見えてきました。

合格率は「横ばい」

昨年に比べ合格率は上昇していますが、例年で見ると上のグラフからわかる通り「横ばい」傾向となっています。

合格者数としては、全般的な受験者数が減少しているという理由もあり、合格率の低かった2018年は5,000人を割り込みましたが、今年は合格率の上昇によって、何とか5,000人を上回ったようです。

2019年の合格率は18.1%、合格者数は5,388人となっていますが、ここで言う「合格者」とは、科目合格者と最終合格者(5科目合格者)の合計人数となっています。

科目別の合格者数と合格率

税理士試験は会計科目が2科目、税法科目が9科目の合計11科目ありますが、それぞれ合格者数や合格率が異なります。

上のグラフを見ますと「簿記論」「財務諸表論」の会計2科目の合格者数が多いように見えますが、こちらは「必須科目」であるため、そもそも受験者数が多い事からこのような結果となっています。

また、「法人税法」「消費税法」の合格者数も多いですが、こちらに合格しておけば合格後の就職に有利に働くという理由から、受験者数が多くなっています。

つまり、税理士試験の受験者数が多い科目は「簿記論」「財務諸表論」「消費税法」「法人税法」の順となっていることが分かります。

そして最後の1科目で多くの人が悩むようですが、合格率で考えれば「国税徴収法」「固定資産税」となり、実務で考えると「相続税法」となる傾向が強くなります。

「法人税法」と「所得税法」は選択必須科目であるため、税法3科目に合格するのであればどちらかを選択しなくてはならず、傾向としては「法人税法」を選択する人が多いようですが、毎年法人税法は上の表からも分かるように、あまり合格率は高くありません。

しかし、今年は14.7%と、例年に比べ上昇しているようです。

また、「就職に有利だから」「簿記論・財務諸表論とセットで勉強すると合格しやすいから」という理由で受験者数の多い「消費税法」ですが、合格率の乱高下が激しい事から、「受かった」と思っても不合格の事がままあります。

消費税法は改正にも影響されやすいため、「いつ受けるか?」というのも重要な要素だと言えます。

その点、固定資産税は毎年安定した合格率となっていますから、ちゃんと勉強すれば合格しやすい科目だと言えるでしょう。

合格者の年齢

上のグラフは、各年度ごとの合格者の人数を年齢別に表したものです。

毎年「25歳以下」の合格者数が多いですが、今年は「41歳以上」の合格者が増加していることが分かります。

ただしこれは、必ずしも「他の世代が合格しにくい」という事を表している訳ではありません。

下のグラフをご覧ください。

こちらを見ますと、25歳以下の合格率が突出している事が分かりますし、年齢が高齢化するとともに、合格率が低下する事がハッキリと表れています。

つまり、合格率の低い「41歳以上」の合格者数が増えているという事は、それだけ受験者数が多いという事であり、税理士試験受験生の高齢化が進んでいることがよく分かります。

合格者が考えるべき事

今回合格されたと言っても、5科目合格(官報合格)となっていない方は、また来年に向けて学習に取り掛かっているかと思います。

そういった方が考えるべきことは様々あるかと思いますが、大きく分けで次のようになるでしょう。

合格者が考えるべき事
  1. 次の受験科目を何にするか
  2. 独学にするか、スクールに通うか
  3. 免除大学院に進学するか
  4. 就職はどうするか

では、それぞれ見ていきましょう。

次の受験科目を何にするか?

まずは、「次の受験科目を何にするか?」というのは重要になってくるかと思います。

この選択を間違えると、これから約1年間を棒に振る事になりますよね。

前述したように、「合格後の就職」を重視するのであれば、「法人税法」「消費税法」「相続税法」を選択するかと思いますが、そもそも「合う・合わない」という科目もありますから、あまりこれに固執し過ぎるのもどうかと思います。

例えば、「今年は法人税法と消費税法を受験して、法人税法は合格、消費税法は不合格だった。消費税法は既に勉強しているから、あとちょっと頑張れば合格できるだろう」などという人もいるようですが、翌年受験してもやっぱり消費税法に不合格となる人も結構います。

ですから、「既に学習しているから」とか「もったいない」という感覚はひとまず横に置き、「自分に向いている科目は何だろう?」と一度考えてみてはどうでしょう?

意外と他の科目ですんなりと合格する事は多いと言えます。

独学にするか、スクールに通うか

次が「独学にするか、スクールに通うか」という事。

これも多くの人が悩むようです。

当サイトとしては、基本的に税理士試験における独学での学習をお勧めしていませんが、最低限「簿記論・財務諸表論」は独学でも合格可能であるとはお伝えしています。

 

 

しかし、税法科目は独学での合格はほぼ無理とお伝えしているので、残りの科目が税法科目であれば、迷わずスクールに通う事をお勧めします。

 

 

もちろん本人の意志次第ですから強要はしませんが、出来るだけ早めにスクールへの申し込みを済ませたほうが良いでしょう。

免除大学院に進学するか

そして次が「免除大学院に進学するか」という事。

会計2科目に合格し、今年税法1科目に合格したならば、残りはあと2科目ですから「税法2科目免除」となる大学院に進学する事を検討する人も多いでしょうね。

確かに、受かるかどうかわからない試験勉強を開始するよりは、確実に官報合格となる大学院進学の方が安心だと言えます。

中には「大学院免除だと、就職が不安」と考える人も多いようですが、最近は昔に比べ、あまり採用側もそこは気にしていません。

「大学院免除税理士は能力が低い」などといった情報が、インターネット上に流れているようですが、あれは昔の「ダブルマスター」の事を言っているだけですから、そこは気にする必要はありません。

ただし、大手の税理士事務所への就職を狙っているのなら、そこは少し慎重になる必要はあります(事務所によっては、選考基準にしているところも少しは存在します)。

また、大学院への進学は時間もお金もかかるため、その辺についても検討する必要はあるでしょう。

大学院について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

就職はどうするか

そして最後が「就職はどうするか」という事。

官報合格者であれば、既に就職活動へと動き出している人もいるかもしれません。

まず、官報合格者の方にお伝えしたいのが、2年間の実務経験を証明する「在職証明書」についてよく考えて欲しいという事。

意外とこれが原因で、なかなか登録できず苦労する人が多いのです。

「もう官報合格したし、こんな事務所辞めてやる!」と勢いよく飛び出したのは良いですが、険悪な雰囲気となり、これまでの事務所が「在職証明書」を出してくれないなんて事もあります。

もちろん最終的には発行しなくてはいけませんが、辞めるにしても「出来るだけ良好な関係」を保ちながらやめる事をお勧めします。

また、今回「3科目合格」「4科目合格」となった人も、既に転職を考えているかもしれません。

近年の傾向として、こういった科目合格者を歓迎する事務所や企業は増加傾向にあります。

転職先を探すのであれば、下記のサイトが経理の求人情報が圧倒的に多いですから、よかったら参考にしてみて下さい。

doda


転職サイトはdoda

経理の仕事を探すのであれば、まずはこの「dodaエージェントサービス」で求人企業を確認する事をお勧めします。数ある転職サイトの中でもトップクラスの掲載数を誇り、尚且つ経理の求人が多い事でも有名。
税理士事務所や公認会計士事務所の求人もあるので、税理士を目指す人にもお勧めです。

主な対象求人企業雇用形態
日商簿記3級以上大規模企業がメイン正社員

 

ジャスネットキャリア


【ジャスネットキャリア】は、「経理の転職に特化したサイト」として有名で、求人数も他のサイトに比べて豊富な内容となっています。
また、求人欄も見やすく、「どういった企業が、どういった人材を求めているか」ということが一目でわかるので、とても便利です。

主な対象求人企業雇用形態
税理士、公認会計士、科目合格者、又は最低でも日商簿記2級以上大規模企業がメイン正社員

 

MS-Japan


この「MS-Japan」は管理部門特化型求人サイトとして有名で、税理士事務所に限らず、大手企業の経営管理者などの求人も数多く掲載しています。税理士事務所に就職するのも良いですが、大手上場企業の経理部門管理職、CFOなどとして転職するのも良いですね。
ちなみに、科目合格者の求人も数多くありますから、官報合格者でなくとも収入アップを期待できます。

主な対象求人企業雇用形態

税理士、税理士科目合格者、公認会計士、弁護士、税理士事務所勤務経験者など

大規模企業がメイン正社員

 

不合格者が考えるべき事

次が「不合格者が考えるべき事」について。

こちらも合格者が考えるべき事とほぼ同じ内容となっています。

不合格者が考えるべき事
  1. 次の受験科目を何にするか
  2. 独学にするか、スクールに通うか
  3. 免除大学院に進学するか
  4. 就職をどうするか
  5. 勉強方法を見直す

しかし、ここで一番考えて頂きたいのが、最後の「勉強方法を見直す」という事。

当サイト管理人が仕事をご一緒させて頂いている税理士の中には、「元」資格の専門学校講師という方が何人かおられます。

その方々が口を揃えておっしゃるのが、「合格出来ない人は、自分の勉強方法を変えようとしない」という事。

厳しいようですが、「自分の勉強方法で合格出来なかったのだから、その方法は間違っている。だったらその内容を見直した方が良いのではないか」という事のようです。

これには異論もあるかと思いますが、確かに彼らが言っている事にも一理あるかと思います。例えば、これまで独学で学習してきたのであれば、一度スクールに行ってみるのも一つでしょう。

どこのスクールも「無料体験講座」を開催していますから、まずはそういったところに足を延ばしてみるのも良いかと思います。

よろしければ、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

まとめ

2020年度の税理士試験は、予定として以下のスケジュールとなっています。

  • 試験実施官報公告:2020年4月3日
  • 受験申込受付開始:2020年5月7日
  • 受験申込受付締切:2020年5月19日
  • 試験実施    :2020年8月18日~8月20日
  • 合格発表    :2020年12月18日

以上はあくまで予定ですから、参考としてください。

今回合格された方もそうでない方も、来年度の受験に向けて、また頑張っていきましょう。