税理士を探すには、どんな方法があるのか?

「事業を始めたけど、税金や会計がよくわからない」「相続が発生したけど、申告する必要はあるの?」となれば、多くの人は「税理士の先生に依頼したい、相談したい」と考える事でしょう。

しかし大抵の場合、「でも、そもそも税理士って、どうやって探せば良いの?」と悩んでしまい、何だかんだで税理士探しを後回しにしている人も多いのではないでしょうか?

昔は税理士を探すとなると、大抵は「知人の紹介」であるか、「近所の税理士に連絡する」くらいしか方法がありませんでしたが、現在はインターネットの普及のお陰で、その選択肢もかなり広がっています。

そこでこの記事では、現在税理士を探す方法にはどのようなものがあり、またそれぞれどのような特徴があるのかについてお伝えします。

目次

そもそも税理士に依頼すべきなのか?

税理士を探す方法を知る前に、「そもそも私は、本当に税理士に依頼すべきなのか?」について、少し考えてみましょう。

例えば、「相続が発生して、遺産が数億円ある」とか「税務調査があり、顧問税理士がいない」という場合などは、明らかに税理士に依頼する事をお勧めしますが、たまに「これ、税理士に依頼する必要があるのかな?」と、傍から見ても疑問に思う事があります。

仮に、アナタが個人事業を営んでいるとしましょう。

年間の売り上げが数百万円程度で、発生する経費も単純なものばかりであれば、何も税理士に依頼するまでも無く、少し会計の勉強をすれば事足りる場合が多いと言えます。

もちろん、税理士に依頼すれば本業に集中できるという利点はありますが、税理士の年間顧問料が数万円から数十万円発生する事を考えれば、少しでも経費を抑える方が賢明だと言えるでしょう。

また近年、相続税法が改正され、相続税の申告対象者が増えていますから「自分はギリギリ対象になりそうだけど、こういった場合、税理士に相談したほうがいいのかな?」と、非常に微妙なラインの方もいるかもしれません。

こういった場合は、いきなり税理士に依頼するのではなく、まずは各地で税理士会が開催している「無料相談会」で相談してみる事をお勧めします。

ただし、こうした無料相談会は「一般的な回答」に終始することも多く、具体的な節税方法などについて詳しく尋ねる事は出来ませんし、面談時間に限りがあるので突っ込んだ内容まで相談する事は難しいと言えます。

また、各地域の税理士会に所属する税理士が持ち回り(当番制)で対応するため、「当たりはずれ」が多いというのも気になるところです。

ただ、「一応の目安」としての意見は聞けるので、こうした無料相談会に行った後、改めて税理士に相談するか否かを考えても良いのではないでしょうか。

税理士を探す方法

それでは早速、税理士をを探すための具体的な方法についてお伝えしていきましょう。

現在考えられる方法としては以下の通り。

税理士を探す方法
  1. 知人などの紹介で税理士を探す
  2. セミナーや無料の確定申告会などで税理士を探す
  3. 【税理士紹介サイト】で税理士を探す
  4. 会計ソフト会社を通じて税理士を探す
  5. 税理士事務所のHPやブログから依頼する
  6. その他

それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

知人などの紹介で税理士を探す

まずは、「知人などの紹介で税理士を探す」という方法。これは昔からある、一番オーソドックスな方法だと言えるでしょう。

具体的な依頼の流れとしては、例えば現在アナタが個人事業を営んでいて、顧問税理士がいないとします。

税金に対して不安を抱くアナタは、同じく個人事業を営んでいる友人に「どこか良い税理士いないかな?」と相談すると、その友人は「だったら、私の顧問税理士を紹介してあげるよ」となり、面談して依頼・・・という流れが一番多いかと思います。

この他にも、最近多いものとしては、「他士業からの紹介」というものがあります。

例えばアナタが新規で法人を設立するとなると、大抵は司法書士に手続きを依頼する事になるでしょう。通常、どこの司法書士事務所でも税理士事務所とは提携しているので、仮にアナタが「税理士さんの知り合いを紹介してもらえませんか?」と司法書士に尋ねれば、「じゃあ」という事で、自社と提携している税理士事務所を紹介してくれます。

むしろ、こういった「アライアンス(提携)」で囲い込む士業のネットワークは、近年増加傾向にあると言えます。

司法書士としては、「こちらの顧客を紹介するんだから、そちら(税理士事務所)で登記業務があれば、ちゃんと回してね」という意味合いがあり、士業間で共存しましょうねという事なのです。

とは言え、現段階で「司法書士さえ見つけられない」なんて人もいるでしょうから、そういった方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

この「知人などの紹介で税理士を探す方法」の利点としては、ネットには書かれていないような税理士の特性などを、事前に詳しく知ることが出来るというところにあるでしょう。

「その税理士さん、どんな分野が得意なの?」とか、「税務調査の対応は?」「顧問料は?」などなど、事前に判断材料が豊富にあるのは便利です。ただし、士業間の紹介となると、あまり提携関係にある税理士の悪口は言えませんから、こうした点は期待できないので注意が必要です。

知人による紹介について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみて下さい。

 

セミナーや無料の確定申告会などで探す

次が「セミナーや無料の確定申告会などで探す」方法です。

新聞や雑誌などを開くと、「〇〇セミナー無料開催!」などという広告を目にすることが多いかと思います。セミナーの種類にもよりますが、大抵そういったセミナーには税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナーといった専門家が登壇する事が多いでしょう。

そういった各種セミナーに参加し、そこで気に入った税理士がいれば、アポを取って改めて顧問契約を依頼するという方法があります。

税理士が登壇するセミナーとして多いのが、銀行などが開催する「相続対策セミナー」や、ハウスメーカーが開催する「不動産セミナー」、保険会社が開催する「資産運用セミナー」が代表的かと思います。

各セミナーとも、その分野を得意とする税理士が登壇していますので、仮にアナタが「相続で困っている」というなら「相続対策セミナー」に参加すれば良いですし、「不動産事業を営んでいる」というなら「不動産セミナー」に参加すれば、お目当ての税理士を見つける可能性が高まるという事です。

この他にも様々なセミナーがありますが、一つだけ気を付けておきたいのが「どのセミナーに参加しても、主催企業に個人情報を提示しなければいけない」という事。

セミナー参加後、主催企業からダイレクトメールが頻繁に送られてくることになりますので、その辺は覚悟しておかなくてはいけません。

また、セミナーではありませんが、毎年確定申告の季節になると税務署や自治体などで「無料確定申告会」というものが開催されます。これは各地域に所属する税理士が持ち回り(当番制)で参加するため、運が良ければ有能な税理士に出会う事も可能です。

ただし、この記事の冒頭でもお伝えしたように、やはり「当たりはずれ」がありますので、ここは運次第といったところでしょうか(ちなみに、「無料相談会」と「無料確定申告会」は別物ですのでご注意ください)。

【税理士紹介サイト】で探す

そして次が「税理士紹介サイトで探す」という方法(税理士検索サイトなどとも呼ばれます)。

この方法、ここ数年でかなりメジャーな方法になってきていますね。インターネット上の「税理士紹介サイト」に登録する事で、アナタに合った税理士をサイト運営企業が紹介してくれるという仕組みです。

 

 

どこのサイトも利用者側は無料となっているので、こうした税理士紹介サイトを利用する人が増えているのにも納得します。しかし、「たくさんサイトがあり過ぎて、どこが良いのかわからない」と悩む人もいるでしょう。

確かに年々こうしたサイトは増加傾向にありますが、メジャーなサイトとしては以下の通り。

どれも似たような名称ですから混乱してしまいそうですが、それぞれアピールポイントが異なり、サイトごとに特性があります。

例えば、税理士ドットコムは弁護士ドットコムの姉妹サイトであり、実績も多いイメージがあるかと思いますが、実は一番実績が多く歴史も長いのは、税理士紹介センターとなっています。

また、どこのサイトも税理士紹介料は無料が当たり前ですが、税理士と顧問契約が成立した場合「成約祝い金」を支払うサイトも存在します(2019年10月現在では、「税理士紹介ネットワーク」のみ)。

詳しくは下の記事をご覧になって頂ければよく分かりますが、「何を重要視するか?」によって利用するサイトも変わってくる事でしょう。

 

会計ソフト会社を通じて税理士を探す

そして次が「会計ソフト会社を通じて探す」という方法です。

世の中には数多くの会計ソフトが存在し、年々その競争も激化しています。各社とも、あの手この手で自社の製品の販売数を伸ばす努力をしていますが、その方法のひとつとして「自社の製品を利用している税理士を、消費者に紹介する」というサービスを展開し始めています。

消費者側からしても、自分が利用している会計ソフトを顧問税理士も同じように利用していると何かと便利ですし、税理士側からしても同じだという事ですね。

そこで、その中間にある会計ソフト会社が、消費者と税理士をマッチングする事により、他のソフトへの流出を防ぐという狙いも含め、こうしたサービスを提供するようになっています。

以前はセミナーなどで、自社の会計ソフトの使い方などを税理士に説明させるなどしていましたが、近年は自社のサイト内から「税理士を紹介するコーナー」などを設けるようになっています。

こうしたサービスを展開している代表的な会計ソフト会社は以下の通り。

税理士を紹介している会計ソフト会社
  1. マネーフォワード
  2. freee(フリー)
  3. 弥生

どの会社も「クラウド会計ソフト」をメインとしており、それぞれのソフトをどれだけその税理士が熟知しているかなどの面から、ランク分けして紹介しています。

もちろん、それぞれの会計ソフトを利用しない事にはこのサービスを利用する事はできませんが、ソフト利用者に対する税理士紹介料は無料となっています。「どうせ会計ソフトを利用するんだから」という人には便利なサービスと言えるでしょう。

会計ソフトから税理士を探したいという人は、こちらの記事もご覧になってみて下さい。

 

税理士事務所のHPやブログから依頼する

そして次が「税理士事務所のHPやブログから依頼する」という方法。

インターネット技術の発展のお陰で、最近は分からない事があれば、すぐにネットで検索することが増えたかと思います。

例えばアナタが税務調査で悩んでいるとすれば、「税務調査 税理士」などと検索するかもしれませんね。すると大抵、上位に表示されているページを見に行く事になると思いますが、こうした専門的な内容のページは、税理士事務所がホームページなどで書いている記事であることが多いでしょう。

あなたはその中から「有能そう」もしくは「自分に合ってそうな」税理士を見つけ、電話やメールで問い合わせる事になるでしょうが、ここでひとつ注意点があります。

Googleなどの検索結果で上位表示されていると、「人気のある記事なんだな」とか「役に立つ記事なんだな」と考えてしまいそうですが、上位表示されている全ての記事が、必ずしも役に立つ良質な記事ばかりではないという事です(もちろん、良質な記事もたくさんあります)。

というのも多くの税理士事務所は、自社のHPを少しでも多くの人に見てもらうため、SEO対策など様々な対策を行っています。要は、お金を払って上位表示させている場合もあるので、「上位表示されているから安心だ」とはならないという事です。

特に、これはホームページに多いですから注意してください。

これとは逆にブログの場合は、もちろんSEO対策をしている事もありますが、純粋に記事の内容が良質であるから上位表示されているという可能性はあります。

ですからこの方法で税理士を探す場合には、単純に考えず、そのサイト全体を見まわして「ここなら安心」という税理士を見つけるようにしましょう。

その他

それでは最後に「その他」の方法について。

上記以外に考えられる方法としては、税理士の書いた書籍や文献などから探す方法などがありますが、この方法は当サイトとしては少し疑問が残るところです。

というのも、確かに優れた内容の書籍を執筆している税理士もいるにはいますが、中には宣伝目的で適当な内容の書籍を出版している税理士も存在するからです。

これは、税理士業界に詳しくないと見分ける事が難しく、会計初心者の方にはハードルが高いと言えます。耳障りの良い事を聞けば、誰でも「あぁ、この人なら」と考えてしまいそうですが、実際に依頼すると「話が違う」なんて事にもなり得ます。

また、「税理士会から紹介してもらう」という方法もありますが、こちらもあまりお勧めしません。

税理士会としては、所属している税理士の得意分野などをある程度把握していると考えているようですが、あくまでこれは「各税理士の自己申告」ですから、必ずしもその分野で能力が高いとは言い切れないからです。

もちろん、有能な税理士に出会えることもありますが、往々にしてミスマッチが起きやすい方法だと言えます。

これらその他の方法は「やめておいた方が良い」とまでは言いませんが、出来る事なら、これまでお伝えしてきたいずれかの方法で税理士を探すことをお勧めします。

まとめ

既に税理士と顧問契約を結んでいる人からすれば、「私には関係ない話だな」と考えるかもしれませんが、現在依頼している税理士は「本当に自社の役に立っているのだろうか?」と、一度は考えてみたほうが良いでしょう。

確かに「税理士を変えると税務調査が入りやすい」などという都市伝説的なものもあるため、及び腰になっている人もいるかもしれません(この「税務調査が入りやすい」というのは、事実ではありませんし、仮にその傾向があるにしても対策方法はちゃんとあります)。

また、「先代からの付き合いだから・・・」と、税理士に不満を持ちながらも中々ブランドチェンジに踏み切れない経営者の方もいるかもしれません。

しかし、よく考えてみて下さい。

あくまでも税理士は、あなたの事業を支えるための一員であって、「先生」と崇めるための存在ではないはずです。アナタの事業にとって役立たなければ、お金を支払う価値は無いという事であり、そう考えれば、「長い付き合いだし」という理由も無意味なものとなります。

世の中には優秀な税理士が沢山いますから、一度、よく考えてみてはどうでしょうか?

なお、税理士に依頼する際の注意点について詳しくお伝えしている記事もありますから、よろしければそちらも参考にしてみて下さい。