知人の紹介で税理士を見つける「メリット・デメリット」

現在、税理士を探す方法は様々ありますが、昔からこの「知人の紹介」という方法が、最もポピュラーな方法として知られています。

その他の方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

一般的に、今も昔もこの「知人の紹介」で税理士を見つける方法が、「無難で確実」などと言われていますが、果たして本当にそうなのかは疑問が残るところです。

何事もメリットばかりではなく、同時にデメリットも存在するはずです。

そこでこの記事では、こうした「知人の紹介」で税理士を見つける事のメリット・デメリットなどについてお伝えします。

目次

知人の定義とは?

一口に「知人」と言っても、その対象は広範囲に渡りますよね。

そこでまずは、税理士を紹介してくれるであろう「知人の定義」について考えてみましょう。

税理士を紹介してくれる知人
  1. 仕事仲間、友人
  2. 他士業の人間
  3. 金融機関(銀行、保険会社など)

これ以外にもあるかと思いますが、代表的なものとしては上記のように分けられるでしょう。

では、それぞれのタイプの人が、どういった形で税理士を紹介してくれるのかについても見ていきましょう。

仕事仲間、友人

まずは「仕事仲間、友人」から。

こちらの対象となる人は広範囲になるかと思いますが、例えば「仕事仲間」であれば取引先などが考えられるでしょうし、「友人」であれば学生時代の同級生なんて事もあるかと思います。

こうした「仕事仲間、友人」が税理士を紹介する場合は、結局は自分が顧問契約をしている税理士を紹介するだけであって、あまり選択肢はありません。

もちろん、事前にその税理士の得意分野や性格などを知ることが出来るというメリットはあります。

他士業の人間

続いては「他士業の人間」

税理士を紹介してくれる可能性が高い士業として考えられるのが、「司法書士」「行政書士」かもしれません。特に司法書士は、法人を設立する際に依頼される事が多く、その際「どこか、良い税理士さんいませんかね?」と聞かれる事があるようです。

そうなると、その司法書士は「じゃあ」という事で、自社と提携している税理士事務所などに紹介してくれます。

また、行政書士は「許認可」を取り扱っているので、司法書士と同じように、自社に依頼してくれた顧客から税理士の紹介を頼まれれば、提携している税理士事務所に紹介してくれるでしょう。

ただし、これは「社労士」にも言える事ですが、行政書士や社労士は「記帳代行」を収入源にしている事が多く、人によっては税理士に紹介したがらない場合もあります(記帳代行とは、請求書や領収書を預かり、顧客に代わって帳簿などを作成する事を言います)。

この場合、紹介したとしても「決算のみ」なんて事もありますから、この辺は十分注意しましょう。

金融機関(銀行、保険会社など)

そして最後が「金融機関(銀行、保険会社など)」です。

昔からこうした金融機関と税理士とは密接な関係にあり、特に銀行などは、たいてい数件の「お抱え」税理士事務所があります。お抱えと言うと語弊がありますが、要は提携先の税理士事務所があるという事です。

銀行側からすると、例えば「相続セミナー」を開催する場合は、専門家に登壇してもらって集客に繋げたいと考えますし、また、税理士事務所自体が抱えている優良顧客を紹介してもらいたいという狙いもあります。

逆に税理士側からすると、銀行の抱えている顧客を紹介してもらえるというメリットがありますから、お互い「持ちつ持たれつ」と言ったところでしょう。

また、全ての税理士事務所ではありませんが、税理士の中には、節税のために様々な保険を取り扱う人もいます。

ですから、保険会社の営業マンなどもあちこちの税理士事務所と繋がっていますから、保険の営業マンや銀行員などから税理士事務所を紹介されるという事も多いようです。

知人の紹介による「メリット・デメリット」

それでは、上記のような知人から税理士を紹介された場合のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

まずはメリットから。

メリット

メリットとして考えられるのは以下の通りとなります。

メリット
  1. 顧問料や決算料を安くしてもらえる
  2. 事前に税理士の能力が分かる
  3. 無暗に探す手間が省ける

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

顧問料や決算料を安くしてもらえる

まずは「顧問料や決算料を安くしてもらえる」という事。

これは全ての場合で当てはまる訳ではありませんが、特に「仕事仲間、友人」からの紹介の場合は、こういった可能性が高くなります。

実際、当サイト管理人がこうした場面に遭遇したことが何度もありますが、既存顧客が税理士に対し「オレの友達紹介をするから、安くしてあげてね」なんて言いながら紹介する事が多いです。

税理士側からすれば既存顧客の頼みですから、断るに断れませんよね。

ただし、他士業の人間や金融機関の紹介の場合ですと、「値引き依頼」はほとんどありませんから、少しでも顧問料などを安くしたいのであれば、仕事仲間や友人にお願いしたほうが良いでしょう。

事前に税理士の能力がわかる

次が「事前に税理士の能力がわかる」という事。

税理士探しの大変なところは、事前に税理士の能力を伺い知る事が難しいという点にあります。

ホームページやパンフレットなどを見ると、「当事務所は節税に自信があります」とか「税務署OB税理士が〇〇名在籍」など、耳障りの良い事ばかりしか書いていません。実際にそうなのかもしれませんが、あくまで自己評価ですから、依頼してみて「話が違うじゃないか」なんて事もしばしばあります。

その点、知人の紹介であれば、実際のやり取りや具体的な話などを事前に聞けますから、こうした面では非常に便利だと言えます。

無暗に探す手間が省ける

そして最後が「無暗に探す手間が省ける」という事。

現在納税などで悩んでいるのであれば、「今すぐ」にでも税理士に相談したいというのが本音でしょう。

しかし、税理士は全国に約8万人もいますから、しらみつぶしに探すのはかなり苦労します。また、税理士探しに労力をかけすぎると本業に支障も出るでしょうから、「簡単に」探したいというのも本音だと思います。

そこで、「今すぐ」「簡単に」というのであれば、この知人に紹介してもらう方法はベストな選択だと言えます。

税理士としても色々と都合があり、重要度の低い案件は後回しにしてしまいがちになりますが、顧問先から「急いで相談に乗ってあげて欲しい」なんて言われれば、そちらを優先せざるを得ません。

ですから、税理士からしたら迷惑な話かもしれませんが、顧客側からすればとても有難い方法だと言えます。

デメリット

それでは続いてデメリットについても見ていきましょう。

デメリットとして考えられる事項はこちら。

デメリット
  1. 「しがらみ」が多くなってしまう
  2. あなたに合った税理士に出会えるとは限らない
  3. 紹介者は「仲介者ではない」

こちらについても、それぞれ見ていきましょう。

「しがらみ」が多くなってしまう

まずは、「しがらみが多くなってしまう」という事。

知人からの紹介という事は、その紹介してもらった税理士事務所は、アナタの知人と何かしらの繋がりがあるという事ですね。

アナタとその知人の関係性が良好なら良いのですが、仮に何かの原因で仲たがいしてしまうと、その紹介してもらった税理士事務所との関係もギクシャクしてしまいます。そうなると、その税理士事務所との顧問契約を解消しなくてはならない場合もあり、アナタがその税理士を気に入っていたとすれば、かなりのダメージを受けます。

また逆に、税理士を紹介してもらったのは良いのですが、アナタがその税理士に不満を抱いたとしても、知人からの紹介だと言いたいことも言えず、契約の解消も簡単には出来ません。

知人の紹介で税理士を見つけるのは簡単なのですが、その後の事を考えると、ある意味リスクが高い方法だとも言えます。

ですから、アナタの知人が「税理士探しているの?だったら紹介してあげるよ」と親切心で言ってくれても、少しこういった事について考えてみてから返事をした方が良いと言えるでしょう。

あなたに合った税理士に出会えるとは限らない

次が「アナタに合った税理士に出会えるとは限らない」という事。

仕事上の付き合いとは言え、人間関係である以上は「相性」というのがとても大事になってきます。仮に紹介してもらった税理士が有能だとしても、苦手なタイプであれば、お付き合いしたくないというのが本音かと思います。

また、税理士にも「得手、不得手」というものがあり、仮に有能だとしても、必ずしもアナタの営んでいる業種に精通している訳ではありません。

知人としては、「有能だから役に立つだろう」とアナタの事を考えて紹介してくれているのでしょうが、「有能だからアナタにベストな選択」とはなりませんよね。

こうした場合、アナタは「ちょっとなぁ~」と思いながらも、知人の手前キッパリと断る事も難しいですから、かえってストレスが溜まるという事にもなりかねません。

紹介者は「仲介者ではない」

そして最後が「紹介者は仲介者ではない」という事。

前述したメリットの中で、「知人の紹介であれば、顧問料や決算料が安くなる可能性がある」とお伝えしましたが、その知人は「出来るだけ安くしてあげてね」と言うだけで、実際の交渉はアナタ自身がしなくてはいけません。

また、顧問料や決算料以外にも「年末調整」や「給与計算」など、細かい取り決めも必要となります。

知人はあくまで紹介してくれるだけですから、細かい交渉までしてくれるわけではありません。

「そんなの自分でできる」という人なら構いませんが、こうした交渉事が苦手な人だと、「あんまりお願いすると、知人にも迷惑がかかるかな?」なんてあれこれと考えてしまい、かえって不利な契約になってしまう事もあります。

ですから、こうした交渉事を第三者にお願いしたいと考えるなら、この「知人からの紹介」はお勧めできませんし、そのような人は「税理士紹介サイト」に依頼したほうがしがらみも無く、楽に税理士を見つける事が出来るでしょう。

税理士紹介サイトについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧になってみて下さい。

 

まとめ

当サイト管理人は、これまで数多くのこうした「知人による税理士紹介」を横で見てきましたが、必ずしも依頼者・税理士双方にとって、ベストな選択とは言えないと感じています。

管理人の場合は、数百人の税理士の中から依頼者にとって「合っているだろう」税理士を紹介する事が出来ていたように思いますが、それでも多少のミスマッチは発生したように感じます。

あれこれと「メリット・デメリット」についてお伝えしましたが、何よりもこの「知人の紹介」において注意したいことは、「どこまで行っても、しがらみがある」という事。

これは税理士側にとってもそうですから、事前によく考えてから行動するようにしたいものです。

ちなみに、どの方法で税理士を探すにしても、契約前に必ず確認しておいた方が良いことがありますので、それについては下記の記事も参考にしてみて下さい。