小規模事業者は、「人を雇うのは最終手段」と心得よう

独立・起業後に事業が軌道に乗ってくると、どうしても「人手が足りないから、誰かに手伝ってもらいたい」と考え始めるものです。

確かに忙しくなれば人手が欲しくなるのは当然の事ですし、どんなに業務内容を改善したとしても、時間というのは全ての人に平等で一日24時間しかありませんから、一人だけで出来る事というのはどうしても限界があります。

しかし、ここで冷静に考えてみて頂きたいのですが、本当にそれは「人を雇用しないと解決しない」のでしょうか?

人を雇入れるとお金もかかりますし、何よりこれまでになかった様々な問題も生じてきます。人を雇わずに問題が解決するのであれば、そちらの方がお得だと言えますよね。

そこでこの記事において、人を雇用する事でどういった問題が生じるのかや、人を雇わずとも現在の業務が効率化できるサービスなどをご紹介したいと思います。

一度従業員を雇うと、何かと大変

独立して成功したいと考えている人であれば、「どんどん人を雇用して、会社を大きくするぞ」などと希望に燃えているかもしれませんが、人を雇用するというのは中々大変な事なのです。

社会的に見れば、そうした人が増える事で雇用の受け皿が増えますから、とても素晴らしい事ではあるのですが、全ての経営者が人を雇用すべきかというと、実はそうでもありません。

経営者は誰でもが多かれ少なかれ悩みを抱えていますが、その中でも「従業員にまつわる事」というのは、多くの経営者の頭を悩ませている問題です。

それでは具体的に、どのような問題で悩まされるのかについても見ていきましょう。

従業員の離職に悩まされる

まずは、「従業員の離職に悩まされる」という事について。

最近では、テレビや新聞報道などで「終身雇用制度の崩壊」などと騒がれています。これはあたかも会社側の責任ように報じられていますが、実際には従業員側の意識の変化も影響しています。

昔に比べ、転職サイトやヘッドハンティングなどが増えていますから、多くの人にとって転職に対する抵抗感が薄れてきています。ですから、仮に一度就職しても「何か違うから、この会社を辞めて次に行こう」と簡単に考える人が増えてきているのです。

ですから経営者側からすれば、せっかくお金をかけてその従業員を育てたとしても簡単に辞めてしまうので、いつまで経っても経営が安定しないという悩みが付きまといます。

昔のように、「この会社のために働こう」という人はほとんどおらず、「自分のスキルアップのために働こう」と意識が変化しているという事ですね。

行政などへの手続きが増える

次が、「行政などへの手続きが増える」という事について。

従業員を雇い入れるという事は、給与を支払うという事ですから、それに伴い雇用保険や労働保険の加入手続き、保険料の支払いなどの業務が増える事になります。

また、給与計算や年末調整、給与の振り込みなど、一人だけで業務を行っていた時には発生しなかった業務がどんどん増えてしまいます。もちろん、給与計算や年末調整などは社長一人の場合でも行う必要はありますが、それにしても「こんなに手続きが必要なのか」と、初めて従業員を雇い入れた人からすればかなり驚くことになるでしょう。

仮に従業員を雇い入れる事で本業が楽になったとしても、こうした業務がそれ以上の負担となるならば、何のために雇用したのか分からなくなってしまいますよね。

更に言うと社会保険や雇用保険などは、その支払いが「労使折半」となるため、会社側の負担も大きくなります。手続きだけでなく出費も増えるのですから、ここは一番のネックだと言えるでしょう。

行政などへの手続きについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

景気の急激な変動に対応しづらい

そして次が、「景気の急激な変動に対応しづらい」という事について。

世間的に景気が良い時期は問題ないと思いますが、ひとたび経済危機などが発生してしまうと、どんな優良企業であっても少なからず影響を受ける事になります。

仮に従業員を一人も雇わず全て外注に任せていれば、その契約をストップする事で経費も抑えられ、何とかやり過ごすことも出来ますよね。しかし、従業員の給与はストップする事は出来ませんから、売上が無くても従業員の給与は支払い続けなくてはなりません

また、売上が減れば仕事も減る訳ですから、従業員に与える仕事もなくなってしまいます。

このような事を書くと、「会社なんだから従業員を守るのは当たり前だ」などと一部の人からお叱りを受けそうですが、その反面、企業というのは継続して運営できなければ意味がありません。

せっかく世間に喜ばれるサービスを提供できても、簡単につぶれてしまってはお客さんに申し訳ないという考え方も重要だと言えます。

一度雇用すると、中々簡単に辞めさせられない

そして最後が、「一度雇用すると、中々簡単に辞めさせられない」という事について。

最近ではそうでもありませんが、一時新聞の紙面上で「ブラック企業」などといった言葉が頻繁に取沙汰されていました。それが原因で自殺するなど、痛ましい事件があったことも影響していると思います。

確かにパワハラやセクハラなどを見て見ぬふりをする企業は論外ですが、逆に企業の中には、信じられない行動をする「ブラック社員」がいるのも事実ではないでしょうか。

実際、当サイト管理人はコンサルタントとしてクライアント企業の相談に乗ったことがありますが、ここで書くのもはばかれるような、普通では考えられないような行動をする従業員がかなり多いことに驚きを隠せません。

例えば、とある経営者が優秀な営業マンを雇い入れ、営業をある程度任せていると、何を勘違いしたのかその営業マン、自分の愛人を秘書に雇い入れたり、昼間から酒を飲んだりととにかくやりたい放題だったなんて企業もあります。

また、一番多い問題が「横領」で、世の中には報道されていない横領事件がたくさんあるという事を、ほとんどの方はご存じないでしょう。

横領がどのようにして発生するかについては、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

こうなると、経営者からしたら即刻「解雇」としたいところですが、日本の法律上、なかなか従業員は辞めさせることが出来ません。要は日本という国は、ガチガチの労働者保護の姿勢であるという事です。

仮に問題のある従業員を解雇したとしても、そのほとんどが労働審判を申し立ててきますし、よほど会社側がしっかりとした証拠集めをしておかないと、どんなに従業員がブラックであったとしても、会社側が敗訴する可能性が高いのです。

これを知っている弁護士などは、そうした従業員に「裁判をやりましょう。よほどの事が無ければ必ず勝てますよ」などとそそのかしたりするくらいですから、日本という国は従業員を一度雇ってしまったら、よほどの事が無い限り辞めさせることが困難なのです。

こうした情報を、もっと報道機関も取材すべきだと思いますが、ブラック企業を報道したほうが万人受けするため、発行部数への影響を考えれば、今後も従業員側の不手際などはあまり報道される事もないのでしょうね。

人を雇う前に考えるべき対策

このように、人を雇うのは簡単な事ではありませんから、特に小規模事業者であれば、まずは他の方法で代用できないかを考えた方が得策です。

そうした対策を行った上で、「それでも従業員が必要だ」という段階まで来てから人の雇用を検討したほうが良いでしょう。

そこで以下において、人を雇う前にまず考えるべき対策についてご紹介していこうと思います。

電話転送・電話代行サービスの検討

まずは、「電話転送・電話代行サービスを検討する」という事について。

業種にもよると思いますが、意外と顧客への電話対応で人手が欲しいと考えている経営者も多くいるようです。

特に小規模経営の場合、社長本人は常に営業へと出歩いていることが多いため、事務所にかかってきた電話に出られず、これを機会損失と捉える人もいます。

そこで電話応対のために従業員を雇用しようと考えるようですが、実際に雇い入れてみると、従業員が暇を持て余しているなんて場面も結構見受けられます。

経営者からすれば「他の仕事も任せれば良い」などと考えるようですが、実は仕事の棚卸をしてみたら、そんなに任せられる仕事が無かったなんて事も多かったりします。そこで敢えてその従業員のために仕事を作ったりする経営者もいるようですが、これでは何のために従業員を雇ったのかが分かりませんよね。

電話応対などの人手が足りないのであれば、電話転送サービスを利用する事で、自分のスマホに直接連絡が入りますし、こちらがスマホからかけても事務所の電話を経由しますから、相手側には事務所の電話番号が表示されるようになっています。

また、「外出先で電話を受けたくない」という場合には、バーチャルオフィスなどを利用する事で、そこの専属秘書が一旦電話を受け付けて、その後契約者に連絡をいれるというサービスも利用できますから、移動が多いという人にも有難いサービスですよね。

電話転送サービスを利用すれば月に数千円で済みますし、バーチャルオフィスのサービスを利用しても月数万円程度ですから、従業員を雇い入れるよりもかなり費用を抑える事が可能となります。

電話転送サービスや、電話代行サービスについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

クラウドソーシングの検討

次が、「クラウドソーシングを検討する」という事について。

クラウドソーシングとは「crowd(クラウド)=群衆」「sourcing(ソーシング)=業務委託」を掛け合わせた造語であり、簡単に言うと「不特定多数に対して、業務委託をお願いする行為」という事になります。

同じような言葉で「アウトソーシング」というものがありますが、こちらは特定の企業に外注する事となりますから、ニュアンスとしてクラウドソーシングは「軽めの外注」といったところでしょう。

実際、こうしたクラウドソーシングは個人が請け負う事が多く、単発であっても発注が出来ますから、その仕事ぶりが気に入らなければ他のクラウドワーカーに切り替えれば良いですし、気に入れば継続的に発注する事も可能となります。

アウトソーシングで企業と業務委託を締結した場合、なかなか簡単に契約解除とはいきませんから、この点においては優れたシステムだと言えるでしょう。

基本的に、クラウドソーシングを仲介する企業が間に入るため、「仕事が納品されない」とか「納期に間に合わない」などといった事はそうそう起きません。

ただし、世の中にはクラウドソーシングを提供しているサービスがいくつもありますが、そのサービス会社によっては「ワーカーの質が低い」とか、「得手不得手がある」なんて事もありますから、サービス提供会社の選定は慎重に行った方が良いでしょう。

クラウドソーシングサービスの選び方などについては、こちらの記事で詳しく触れています。

 

オンラインアシスタントの検討

そして次が「オンラインアシスタントを検討する」という事について。

オンラインアシスタントとは、サービス提供会社に勤務する社員が、あなたの困りごとをオンライン上で解決してくれるというサービスです。

具体的には、「会議室や会食場所のリサーチ業務」といったものや、「データ入力業務、文字の書き起こし」「メールの対応業務」など、バックオフィスに必要なありとあらゆる業務に対応してくれます

言わば、「オンライン秘書」といったところでしょう。

例えば、副業でYouTubeを始め、そこから集客活動を開始するとします。爆発的に人気が出てしまった場合、コメント欄の確認や問い合わせメール確認など、とても一人では対応できなくなってくるでしょう。

そういった場合にこのオンラインアシスタントに依頼すれば、そうした確認作業なども日中に行ってくれて、自分は帰宅後にその整理された内容を確認するだけで済みますから、時間のない人にはかなりお勧めのサービスです。

どこのサービス会社に依頼しても、月当たりの時間制となっており、高くても月に10万円程度で済みますから、従業員を雇い入れる事を考えればかなりお得だと言えます。

また、前述したクラウドソーシングの場合、仕事を依頼するたびにその内容を指示しなくてはならないという負担がありますが、このオンラインアシスタントサービスを利用すれば、既に一度お願いしている業務であれば、「前回と同じように」と伝えるだけで通じるので、この辺も効率的だと言えますよね。

ある程度の売り上げがあって、自分一人で業務をこなせないという人には必ず検討してほしい選択肢だと言えます。

オンラインアシスタントについて更に詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

外注の検討

そして最後が「外注を検討する」という事について。

前述したクラウドソーシングやオンラインアシスタントも「広義の意味で言えば外注」とはなりますが、単発業務であったり単月契約の事が多いため、いつでも契約解除が出来るという手軽さがあります。

しかしその反面、支払額が高額になりやすい傾向があるので、「外部委託はしたいけど、出来るだけ費用を抑えたい」と考えている人であれば、特定の企業へ外注をした方がコストを安く済ませる事が出来ます。

ただし、その分契約解除がしにくいというデメリットもありますから、こちらは最終手段として考えておいた方が良いでしょう。

以上をまとめると

という事で、以上をまとめると以下のようになります。

まとめ

  • 小規模事業者、一人社長の会社であれば、簡単に人を雇ってはいけない。
  • まず最初に、仕事の棚卸をしてみる。
  • そして「電話対応」だけが必要であれば、「電話転送・電話代行サービス」を利用する。
  • 次に、「単発のちょっとした仕事」だけを依頼したいのであれば、クラウドソーシングを利用する。
  • いよいよ自分一人では限界だなと感じ始めたら、オンラインアシスタントを利用する。
  • 経費を抑えたいと考え始めたら、外注(アウトソーシング)を利用する。
  • 最終的に、「これ以上はムリ」となった段階で従業員を雇用する。

上記の流れに沿って行動すれば、費用を抑える事ができますし、よほどの事が無い限り、従業員を雇用せずともかなりの成功を収める事が出来ると言えるでしょう。

これからの時代、企業に求められるのは規模よりも「能力」や「機動力」だと言えますから、「人手が足りないな」と感じたら、これらの方法を一度試してみては如何でしょうか。