テレワークに必要な「コミュニケーションツール」の選び方

近年のテレワーク普及に伴って、注目され始めているのが「Web会議システム」「ビジネスチャット」などのコミュニケーションツール

現在、多くの企業が導入を始めていますが、利用当初はこうしたコミュニケーションツールに懐疑的だった人達も、今では「これが無いと仕事にならない」と、意外なほど好感を持って受け入れられているようです。

こうしたコミュニケーションツールを上手に利用する事で、遠隔地の取引先や、自宅で仕事をしている同僚たちとストレスなく仕事を進める事が出来ます。

しかし、世の中には数多くのコミュニケーションツールがあり、これから導入を検討している人からすれば「結局、どれが一番便利なの?」というのが本音かと思います。

そこでこの記事では、こうしたコミュニケーションツールの種類や選び方などについて詳しく説明していこうと思います。

コミュニケーションツールって何?

それではまず最初に、そもそも「コミュニケーションツールって何?」という事から。

コミュニケーションを直訳すれば、「意思疎通」「伝達」という事になり、言葉や動作を用いながら相手と意思疎通を図る事を意味します。

また、ツールとは道具の事ですから、コミュニケーションツールとは「意思疎通を図るための道具」とか、「相手と交流を図るための手段」という意味になります。

広義の意味で言えば電話やメールなどもコミュニケーションツールとなりますが、テレワークなどで用いられるツールとしては、以下のようなものが挙げられます。

コミュニケーションツール
  1. Web会議(ビデオ会議)システム
  2. ビジネスチャット
  3. グループウェア(社内SNS含む)
  4. プロジェクト管理ツール

上記はテレワークで必要とされる代表的なコミュニケーションツールですが、上から下へ行くほど利用数が減っていき、ほとんどの企業が「Web会議システム」と「ビジネスチャット」は最低限利用するにしても、「グループウェア」「プロジェクト管理ツール」などは大企業など以外はあまり導入していないようです。

それでは、それぞれの内容についても見ていきましょう

Web会議(ビデオ会議)システム

まずは、「Web会議(ビデオ会議)」システムについてから。

ここで何故、Web会議・ビデオ会議と分けて表現しているかというと、厳密に言えばWeb会議システムとビデオ会議システムでは内容が少し異なるからです。

ここを混同している人が多いようですが、例えば最近流行しているZoom(ズーム)などは、Web会議システムに分類されることになります。

では一体、両者のどの部分が異なるかというと、その一番の違いは映像・音声の品質の違いと言えるでしょう。ビデオ会議・TV会議は専用の回線や端末を使用しますから、Web会議に比べてかなり高品質な映像、音声が期待できます。

これら以外にも様々な違いがあり、代表的なものとしては以下の通り。

Web会議ビデオ(テレビ)会議
映像・音声の品質低い高い
専用機器の有無PCとインターネット環境さえあれば導入可能専用の機器が必要
導入費用安価。無料のサービスも多い。高額。専用機器、保守などに費用がかかる。
利用場所回線さえあれば、どこでも利用可能機器の設置場所でしか利用できない
セキュリティ無料サービスだと不安もある高い

 

上記のようにビデオ会議やTV会議に比べ、Web会議システムは場所を選ばずしかも安価に導入できることから、多くの企業がテレワークにおいてWeb会議システムを導入するようになっています。

ただし、セキュリティや映像の品質などの点から、ビデオ会議システムを併用して利用している企業も存在するようです。

とはいえ、テレワークにおける会議システムとなれば、Web会議システムとなると覚えておけば良いでしょう。

ビジネスチャット

続いて「ビジネスチャット」について。

昔からチャットツールは存在しましたが、最近ではビジネス用に特化したチャットが続々と登場しています。

従来のチャットのイメージとしては、「1対1」の利用がメインだったと思いますが、こうしたビジネスチャットは基本的に複数人で利用する事が多く、「プロジェクト」や「社内・社外」ごとに使い分けをしながら、グループチャットとして利用する事が多くなっています。

基本的にテキストでの利用となりますが、メールのように「宛名」や「挨拶文」を記載する必要が無く、迅速な意思疎通が可能となります。

ここで、「簡単なやり取りなら、LINE(ライン)でも十分じゃない?」と考える人もいるかもしれませんが、LINEはアカウントの乗っ取りなどセキュリティ上の問題がありますから、ビジネスシーンでの利用には向かないと言えます。

その点、ビジネスチャットは銀行並みのセキュリティ機能がありますから、情報漏洩対策の面から見ても安心して利用できます。

ここで、ビジネスチャット、メール、LINEの違いについて見てみましょう。

ビジネスチャットメールLINE
手軽さ簡単、早い手間がかかる簡単、早い
セキュリティ高いやや高い低い
過去のやり取りの確認簡単困難困難
転送できるファイルの容量容量が大きい容量が少ないすぐに削除される事も
タスク管理使いやすいほぼ不可可能だが使いにくい

 

上記を見ると、いかにチャットがビジネス向きなのかがお分かり頂けると思います。無料のビジネスチャットも数多くありますから、費用面でもそれほど心配する必要はありません。

ただし、有料のビジネスチャットの方が機能が充実していますし、セキュリティも高いですから、導入を検討しているのなら有料版をお勧めします(それほど高額ではありません)。

グループウェア

そして次が「グループウェア」について。

前述した通り、このグループウェアに関しては、導入している企業はまだまだ少数派と言ったところでしょう。

導入費用が高額になるという理由もありますが、従業員が多い企業の導入を想定しているため、中小企業で導入している企業は少ないと言えます。

業種にもよりますが、導入の目安としては従業員数50名以上といったところでしょうか。

グループウェアの主な機能としては、以下のようなものがあります。

グループウェアの機能
  • 社員の入退室管理機能(タイムカード)
  • 社員のスケジュール管理機能
  • 会議室、車両等の施設予約機能
  • 社内SNS、チャット機能
  • Web会議機能
  • ファイル共有機能
  • 社内掲示板機能

これだけの機能がありますから、あえてビジネスチャットやWeb会議システムを導入しなくとも、グループウェアを導入するだけで、テレワークなどに必要な機能をほとんど揃える事が出来るという訳ですね(もちろん、社外とのやり取りには別途ビジネスチャットなどは必要)。

しかしその分、導入費用が高額となり易いですから、「とりあえず、そこまでは必要ない」と考えるなら、あえて導入する必要もありません。

グループウェアを提供するサービスとしては、以下のサービスが有名です。

代表的なグループウェアサービス

このうち、マイクロソフトが提供する「Office365」が全体の5割以上のシェアとなっていますから、導入を検討しているのであれば、まずこちらを検討するのも良いでしょう。

プロジェクト管理ツール

そして最後が「プロジェクト管理ツール」について。

昔から、多数の人間が関与するプロジェクトなどにおいて、「誰が、いつ、どのように」そのプロジェクトに携わるかを決める管理ツールが存在します。

例えば、大型の建設工事などに利用される「ガントチャート」などは有名ですよね。

大規模なプロジェクトをスムーズに進行させるには、単に大量の人員を投入すれば良い訳でなく、その関与するタイミングなども重要な要素となります。

それを管理するのが、このプロジェクト管理ツールとなる訳ですが、よほど大きな企業でない限りはあまり必要性は無いかもしれません。

大抵の場合、前述したグループウェアにある機能で対応できますし、ビジネスチャットでも簡単な「タスク機能」がありますから、現実的にプロジェクト管理ツールを必要とする企業は少ないと言えるでしょう。

最低限、「ああ、こんなツールもあるんだな」程度で覚えておけば十分です。

コミュニケーションツールの選び方

このように便利なコミュニケーションツールですが、世の中には数多くのツールが存在するため、一体どれを選べば良いのか分からないという人も多いかと思います。

「機能性」などに焦点を当てて選択する方法もひとつですが、あまり難しく考えすぎると、かえって頭が混乱してしまいますよね。

そこで当サイトでは、「最低限、ここに着目しておけば十分」という簡単な選択方法をお伝えしようと思います。

市場シェアで決める

まずは、「市場シェアで決める」方法。

この方法は単純に見えて、実は一番理にかなっている方法だと言えます。

例えば、新しいビジネスの導入期というのは、少数の企業がサービスの内容や仕組みなどを開発します。しかしこの時点では、世間にはサービスの内容も分かりにくく、また開発費用なども掛かるため、この時点で参入しようという企業はごく僅かです。

しかしこのサービスが世間から認知され始めると、多くの企業が「儲かりそうだ」ということでドンドン参入し始めます。これが成長期の段階ですね。

更にこれが一定の段階まで進むと、ポツポツと脱落し始める企業が増え、最終的には数社のみがサービスを提供する事になります。

この残った企業というのは、大抵「シェア上位」であることが多いため、最初からこうしたシェア上位のサービスを利用しておけば、将来的にサービスを乗り換える必要も出てきません

実際、IBMはグループウェアの事業を2019年に売却していますから、これまで利用していた企業などは乗り換えなどで苦労しているかもしれません。

また、シェア上位であるという事は、多くの利用者が「使いやすい」「便利だ」と感じていることの現れでもありますから、あれこれ機能性について考える必要もないという事ですね。

特にビジネスにおいては、取引先との関係もありますから、市場シェアが高いサービスを利用していれば相手先にとっても都合がいい場合があります。

もちろん、一つだけのサービスにこだわらず、シェア上位のうち2~3のサービスを選択しておけば何かと便利でしょう。

ポイント

  • シェア上位サービスは、将来的にサービス停止になりにくい
  • 多くの人が利用しているという事は、それだけ利便性が高い可能性がある
  • 取引先も同じサービスを利用している可能性がある
  • ひとつだけのサービスを利用するのではなく、幾つか選択しておく

セキュリティの高さで決める

次が「セキュリティの高さで決める」方法。

市場シェアで決めるだけでも十分ですが、中には「セキュリティ面で問題はないの?」と不安に感じている人もいるでしょう。最近で言えば、Zoomの乗っ取り事件などは注目されましたから当然と言えば当然かもしれません。

確かにビジネスで利用する以上、このセキュリティ面はかなり気になるところです。顧客情報や企業機密の流出が起これば、企業が受けるダメージは計り知れません。

とは言え、コミュニケーションツールを提供する企業において、セキュリティ面で問題視されている企業は少ないですから、そこまで心配する必要も無いと言えるでしょう。

それこそZoomなどもこうした状況を重く受け止め、現在はセキュリティ対策に全力を注いでいますから、今後は大幅な改善が見込まれます。

現状、どのコミュニケーションツールも無料版がありますが、セキュリティが心配であれば有料版を申し込めばまず間違いないと言えます。

ビジネスチャット、グループウェアにおけるそれぞれのサービスのセキュリティ面の違いはほとんどありませんが、Web会議システムにおいては多少の差がありますから、以下に参考となるデータをお伝えしておきます。

以下のデータは、現在Web会議システムを導入している企業に対し、市場調査コンサルティングを行っているMM総研という企業が「Web会議システムにおけるセキュリティの満足度」について調査したものです。

Web会議システムのセキュリティ評価
  1. Live On      - 69.9点
  2. Microsoft Teams    - 69.3点
  3. Cisco WebEx     - 68.9点
  4. Skype(スカイプ)   - 68.3点
  5. Zoom(ズーム)     - 56.4点

出典:MM総研

あくまでも参考数値ではありますが、Zoom以外はそれほどセキュリティ面において差が無いことが分かります。

コミュニケーションツール市場シェア上位

それでは上記の内容を踏まえ、以下においてコミュニケーションツールの市場シェア上位サービスをご紹介します。

前述したように、プロジェクト管理ツールは利用する企業が少ないため、ここでは「Web会議システム」「ビジネスチャット」「グループウェア」についてのみお伝えします。

以下の情報は、市場調査コンサルティングを行うMM総研という会社が、2020年4月~5月初旬にかけて全国の企業などに向けて実施した調査結果となっています。

Web会議システムのシェア上位サービス

まずは「Web会議システム」のシェアから。

「Web会議システム」シェア上位
  1. Zoom(ズーム)    - 35%
  2. Skype(スカイプ)     - 18%
  3. Microsoft Teams    - 11%
  4. Cisco WebEx     - 11%
  5. Live On         - 3%

出典:MM総研

上記が見るとZoomの利用が断トツとなっていますが、厳密に言えば2位のスカイプと3位のTeamsはどちらもマイクロソフトのサービスですから、簡単に言えばこのWeb会議システムは「Zoomとマイクロソフトが二分している」とも言えます。

企業によっては、この両方を利用している事も多いですから、手始めにZoomとMicrosoftの両方を導入するのも良いでしょう。

ちなみに、スカイプというと一般的に無料で利用できるWeb会議サービスというイメージがありますが、「Skype for Business」というサービスもあり、少し混乱する人もいるようです。

現状マイクロソフトは、この「Skype for Business」を2021年中に終了し、Teamsに統一するようですからTeamsは後継サービスという位置づけですね。

しかし、通常のSkypeは継続しますので、ここが少し分かりにくいところかもしれません。要は、Web会議システムにおいては、上位3サービスを利用しておけば間違いないと言ったところです。

ビジネスチャットのシェア上位サービス

そして次が、「ビジネスチャットツール」の上位シェアについて。

「ビジネスチャット」上位シェア
  1. Microsoft Teams    - 26%
  2. LINE Works       - 16%
  3. Slack          - 12%
  4. Google Hangouts Chat  - 9%
  5. ChatWork        - 9%

ビジネスチャットにおいてはマイクロソフトが上位となっていますが、断トツとまでは言えず、まだまだ競争が激しい分野であることが分かります。

ここは好みの分かれるところですが、1位のTeamsはマイクロソフト製品ですから消える事はありませんし、3位のSlack(スラック)はアメリカで人気があり、最近ではAmazonと提携しているので今後も伸びてくる可能性が高いと言えます。ですから、この2つは安心して導入できると言えます。

また、5位のChatWorkは日本企業が提供しているサービスという事もあり、国内での人気が増加していますから、こちらの導入を検討するのも良いでしょう。

グループウェアのシェア上位サービス

そして最後が「グループウェア」の市場シェア。

「グループウェア」の上位シェア
  1. Office365       - 51%
  2. サイボウズ Office    - 14%
  3. IBMグループウェア   - 9%
  4. Gsuite         - 6%
  5. desknet's NEO      - 3%

上記を見るとマイクロソフトの「Office365」が高いシェアを占めている事が分かります。その次が「サイボウズOffice」となりますから、やはりビジネスにおいてマイクロソフトのオフィスを使用する事が多いためこのような結果になっているのかもしれません。

グループウェアはあくまで社内での利用となり、取引先と合わせる必要もありませんから、こちらに関しては使い易いサービスを選択すれば良いでしょう。

まとめ

全般的にマイクロソフトのサービスがシェア上位になっていることが分かり、確かにビジネス利用においては無難な選択肢かもしれません。

これに対し、アマゾンがスラックと提携したり、グーグルが独自のコミュニケーションツールの事業に参入したりと、し烈な争いが繰り広げられていますので、今後もシェアの変動はあるでしょう。

ただし、Web会議システムのZoomやビジネスチャットのChatWorkのように、新興企業でも人気のあるサービスも多いですから、「メインでマイクロソフト」「サブでその他」という使い方が、一番簡単かもしれません。