個人や法人が助成金の支給を受けた場合、税金の取扱いはどうなる?

現在(2020年)、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い注目を集めている「助成金・補助金」ですが、生活が困窮しているところに国や地方自治体などの公的機関から現金が給付されるのですから、とても有難い制度だと言えますよね。

昔からあるこの「助成金制度・補助金制度」ですが、お金を受け取った後に、ふと「そう言えば、この受け取ったお金って税金がかかるのかな?」と考える人もいるのではないでしょうか。

そういった場合、ネット検索などで調べる人も多いでしょうが、税理士のブログなどでもいい加減な事を書いている人もいるから注意が必要です。

そこでこの記事では、個人や法人が、国や地方公共団体から助成金の支給を受けた場合、それらに対する税金の取扱いはどうなるのかについてお伝えしようと思います。

法人税は課税対象となる

まず法人についてですが、基本的に法人税においては全て課税対象となります。

法人税の計算上、こうした助成金・補助金は「収入」として扱う事になり、その他の収入とあわせ、経費を引いた差額に対して通常通り課税される事になります。

「助成金なのに税金がかかるのか・・・」と考える人もいるかもしれませんが、残念ながらこれが原則となります。

しかし、助成金や補助金とは少し内容が異なりますが、同様の「事業者支援策」として「設備投資税制」などというものもあり、この制度を利用すれば逆に税金を差し引く事が可能となりますから、「助成事業に税金を引かれるのは納得いかない」と考えるのであれば、こうした支援策を利用するのもひとつだと言えます。

こちらについて詳しくは、以下の記事もご覧になってみて下さい。

 

所得税は「内容による」

続いて所得税に関してですが、こちらについては「内容による」といったところ。

よく税理士などが「所得税も原則課税される」などとブログなどで書いているのを見かけますが、ちゃんと「所得税法第9条」などにおいて、非課税所得となるものについて明記されています。

 【所得税法】

第9条(非課税所得)

一 当座預金の利子(政令で定めるものを除く)

二 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する・・・(以下省略)・・・

ですから、所得税法をよく読めば、どういったものが非課税所得となるかがちゃんと分かります。

ここで例えば、所得税法第9条1項15号などにおいて「学資として支給される金品」については非課税とされるとありますので、「学生支援緊急給付金」などは所得税の課税対象とはならないという事が分かります。

これについては国税庁もちゃんと言及しており、助成金・補助金における「非課税となるもの」「課税となるもの」を以下のように説明しています。

非課税となるもの

次のような助成金(助成金には、商品券などの金銭以外の経済的利益を含みます)は、非課税となります。

  1. 助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの
  2. その助成金が次に該当するなどして、所得税法の規定により、非課税所得とされるもの
  • 学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
  • 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)

出典:国税庁HP

ですから、上記を簡単に説明すると「そもそも、その助成金を支給する際、法律に非課税ですよと明記されていれば課税されませんよ」という事と、「所得税法上の非課税所得に該当するものであれば、課税されませんよ」という事になります。

逆に言えば、上記以外であれば課税所得とされるわけですが、所得税においては「事業所得」「給与所得」「退職所得」など様々な所得分類がありますから、一体どの所得として課税されるのか悩んでしまいますよね。

これについて国税庁は、助成金・補助金の課税は「事業所得」「一時所得」「雑所得」のいずれかでされるものとし、それを以下のように分類しています。

課税となるもの

1【事業所得等に区分されるもの】

事業に関連して支給される助成金(例えば、事業者の収入が減少したことに対する補償や、支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補てんを目的として支給するものなど)

2【一時所得に区分されるもの】

例えば、事業に関連しない助成金で、臨時的に一定の所得水準以下の方に対して一時的に支給される助成金

3【雑所得に区分されるもの】

上記1、2に該当しない助成金

出典:国税庁HP

ここでやはり、「助成金なのに課税されるなんておかしい」という意見があるのかどうなのかは分かりませんが、国税庁としては以下のような注意書きを添えています。

 

  • 補償金の支給額を含めた1年間の収入から、経費を差し引いた収支が赤字となる場合になどには、税負担は生じません。また、支払賃金などの必要経費を補てんするものは、その支出そのものが必要経費になります。
  • 一時所得については、所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用される事から、他の一時所得とされる金額との合計額が50万円を超えない限り、課税対象にはなりません。
  • 一般的な給与所得者については、給与所得以外の所得が20万円以下である場合には、確定申告不要とされています。

 

要は、「そもそも赤字になることに対する補てんなのだから、税負担が発生する可能性は低いですよ」という事と、「課税対象となる人は少ないですよ」という事を言いたのだと思います。

少し無理のある言い訳に聞こえますが、法律上で決められているので仕方がありませんね。

それでは次に、具体的にどの助成金・補助金が「非課税対象」となり、また「課税対象」となるのかについて国税庁が例示していますから、それについても見ていきましょう。

新型コロナウイルス関連の助成金等の課税取扱い例

まずは、新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して、国等から支給される主な助成金等における課税取扱いについて。

非課税となるもの

【支給の根拠となる法律が、非課税の根拠となるもの】

  • 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)

【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】

  • 特別定額給付金(新型コロナ税特法4条1号)
  • 子育て世帯への臨時特別給付金(新型コロナ税特法4条2号)

【所得税法が非課税の根拠となるもの】

  • 学生支援緊急給付金(所得税法9条1項15号)
  • 低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金(所得税法9条1項17号)
  • 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金(所得税法9条1項17号)
  • 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券(所得税法9条1項17号)
  • 東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(所得税法9条1項17号)

どれも似たような名前ばかりで分かりにくいかもしれませんが、例えば「特別定額給付金」とは、国民一人当たり10万円を給付するものと言えば分かるかもしれませんね。

それでは続いて、課税対象となる助成金・補助金等について。

課税対象となるもの

【事業所得等に区分されるもの】

  • 持続化給付金(事業所得者向け)
  • 家賃支援給付金
  • 農林漁業者への経営継続補助金
  • 東京都の感染拡大防止協力金
  • 雇用調整助成金
  • 小学校休業等対応助成金
  • 小学校休業等対応支援金

【一時所得に区分されるもの】

  • 持続化給付金(給与所得者向け)

【雑所得に区分されるもの】

  • 持続化給付金(雑所得者向け)

その他助成金等の課税取扱い例

それでは続いて、その他助成金等の課税取扱い例にについて。

上記では新型コロナウイルスに関連した助成金等の取扱いについて説明しましたが、こちらではそれ以外の代表的な助成金等について説明します。

非課税となるもの

【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】

  • 雇用保険の失業等給付(雇用保険法12条)
  • 生活保護の保護金品(生活保護法57条)
  • 児童(扶養)手当(児童手当法16条、児童扶養手当法25条)
  • 被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法21条)

【租税特別措置法が非課税の根拠となるもの】

  • 簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法41条の81項1号)
  • 子育て世帯臨時特例給付金(措置法41条の81項2号)
  • 年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法41条の81項3号)

【所得税法が非課税の根拠となるもの】

  • 東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項15号)

それでは続いて、課税対象となるものについて。

課税対象となるもの

【事業所得等に区分されるもの】

  • 肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金

【一時所得に区分されるもの】

  • すまい給付金
  • 地域振興券

【雑所得に区分されるもの】

  • 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
  • 東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)

上記を見ると、新型コロナウイルス対策にも似たような助成事業がありますから、「これはコロナ対策なのか?それとも通常時の助成事業なのか?」と事前によく確認する必要があります。

また、助成事業・補助事業は、これ以外にもたくさんありますので、「自分の受給している助成金はどうなのか?」と悩んでいる人は、顧問税理士に相談するか、若しくはその助成金等の支給元である国や地方公共団体の窓口にて確認するようにしましょう。

消費税は「不課税」

そして最後が消費税についてですが、こちらは原則「不課税」となります。

「不課税?非課税と違うの?」と思うかもしれませんが、消費税は「不課税」と「非課税」という表現を使い分けており、内容としてはそれぞれ以下のように異なります。

【不課税取引】

 

課税の対象となる取引に該当しない取引は「不課税取引」とされ、原則として消費税の計算上は考慮されない。

(例)

  • 給与
  • 寄付金、祝金、見舞金等
  • 補助金、奨励金、助成金等
  • その他

【非課税取引】

 

国内において行われる資産の譲渡等のうち、次に掲げる非課税取引については消費税は課されない。

(例)

  • 土地の譲渡、貸付け等
  • 有価証券、支払手段の譲渡等
  • 郵便切手類、印紙の譲渡
  • その他

あまり難しく考える必要はありませんが、いずれにしても「助成金・補助金に消費税はかからないんだな」と覚えておけば大丈夫です。

それでも困ったら、税理士に相談する

上記は、国税局HP内にある「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」のページを参考としていますから、この内容は国税庁がハッキリと明言していますので、ご安心頂ければと思います。

しかし、それでも不安だという場合には、やはり税理士に相談される事をお勧めします。

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また、「税理士だけじゃなく、社労士にも相談したい」という場合にもココナラは便利ですので、一度検討してみては如何でしょうか?