相続税理士の賢い「探し方」

相続が発生する事により、市区町村役場への書類申請や金融機関への手続きなど、様々な作業に追われる事になりますが、何よりも頭を悩ませるのが「相続税の申告」かもしれません。

相続税の申告は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」となっていますので、これを「10ヶ月もある」と捉えるか「10ヶ月しかない」と捉えるかは人それぞれでしょうが、納税もこの10ヶ月以内に行わなくてはいけませんから、実は悠長にしている時間はあまりないのが現実です。

ここで、「税理士に頼むとお金がかかるから」と自分で申告をする人もいるかもしれませんが、出来ればプロである税理士に依頼したほうが安心です。

そこでこの記事では、「税理士に申告を依頼したほうが良い理由」と、「相続税理士の賢い探し方」についてお伝えしようと思います。

申告を税理士に依頼したほうが良い理由

それではまず、「相続税の申告を税理士に依頼したほうが良い理由」について。

主にネットに関する問題が多いですが、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

ネットの情報は最新でない事が多い

昨今のインターネットの利便性向上によって、「大抵の事は、インターネットで調べればなんとかなる」という考えの人が増えているように思います。

確かにそれも一理ありますが、税金に関してはどうしても頻繁な法改正があるため、ネットの情報は最新でない場合が多いのです。

もちろん当サイトも出来るだけ最新の情報を提供しようと努めていますが、やはりある程度の限界は生じます。

しかしその点、税理士の方々はプロという事もあり、様々な情報を勉強会や研修会などで収集していますから、情報量の絶対的な違いというものがあります。

相続財産が預貯金だけという場合なら問題ないかもしれませんが、不動産や複雑な計算が必要となる資産があるのなら、やはり素人で処理するにはハードルが高いと言えるでしょう。

ネットの情報は勘違いしやすい

次の理由が「ネットの情報は勘違いしやすい」という事。

例えば、不動産会社のホームページなどで「小規模宅地の特例を利用すれば相続税を減らせます」なんて事を書いていますが、これを真に受けて「あぁ、この特例を利用すれば、ウチは相続税がかからないから申告しなくていいや」なんて考える人もいるようです。

しかし、ここで注意しておきたいのが「数ある特例は、税金がかからないとしても申告しなければ適用できない」という事。

相続税の特例というのは数々ありますが、そのいずれも「申告している事が前提」ですから、特例に当てはまるからといって申告しなくても良いとはならないのです。

プロからしたら信じられない話かもしれませんが、意外とこういった勘違いを起こしている人がいるのも事実のようです。

実際、こうした「無申告」に対する税務調査は、年間「1000件程度」発生しています。

税理士が申告すると税務調査が来にくい?

そして最後が「税理士が申告すると税務調査が来にくくなる・・・可能性がある」という事。

実際にはこちらの真偽は定かではありませんが、傾向としては「税務調査が来る確率は低下する方向にはある」とは言えます。

まず第一に、「素人が作成した書類は不備が発生しやすい」という理由が考えられます。

やはり税務署としても、申告欄に税理士の押印が無ければ「素人が作成した申告書」と判断し、誤りがあるという前提で内容をチェックするでしょう。

次が、「調査に入れば、素人の方が簡単」という事。

やはり税務署からしても、建前としては「広い範囲で調査する」という前提で調査対象を選定しているでしょうが、取りやすいところから取りに行くというのが本音だと言えるでしょう。

毎年、相続税申告者全体における調査対象者は「12%程度」になると言われていますが、仮に税理士が申告書を作成し、更に「書面添付制度」というものを活用すると、これが6%までに下がると言われていますから、やはり税理士に依頼するメリットはあると言えます。

※「書面添付制度」について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

相続税理士の「賢い探し方」

それでは続いて、相続税理士の賢い探し方についてもお伝えしていきましょう。

基本的に、相続税の申告に対応する税理士も、一般的な申告に対応する税理士も選び方はさほど変わりません。一般的な税理士探しの方法はこちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

 

上記の記事で書かれている税理士探しの方法は、以下の6項目となっています。

税理士を探す方法
  1. 知人などの紹介で税理士を探す
  2. セミナーや無料の確定申告会などで税理士を探す
  3. 【税理士紹介サイト】で税理士を探す
  4. 会計ソフト会社を通じて税理士を探す
  5. 税理士事務所のHPやブログから依頼する
  6. その他

しかし相続税に関しては、上記4などは適当でない為、以下のように変わってきます。

「相続」において税理士を探す方法
  1. 知人などの紹介で税理士を探す
  2. セミナーや無料の相談会などで税理士を探す
  3. 【税理士紹介サイト】で税理士を探す
  4. 税理士事務所のHPやブログから依頼する
  5. 現状の顧問税理士に依頼する
  6. その他(プライベートバンクなど)

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

知人などの紹介で税理士を探す

まずは「知人などの紹介で税理士を探す」方法。

ネット検索が一般的になったとはいえ、これが今も昔も一番メジャーな方法かもしれません。やはりインターネットに書かれている事より、身近な人間の意見の方が信頼できると言えます。

実際に依頼した人の意見を参考にできるため、安心感がありますよね。

しかしその分、自分とその税理士の相性が悪かったりした場合、断りづらいという難点もあります。要は、「しがらみが多い」という事ですね。

こちらのメリット・デメリットについては、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

この知人の定義は友人だけでなく、取引先の「銀行」や「保険会社」などの金融機関も含まれます。

こうした金融機関の紹介ですと、税理士に支払う報酬が高額になり易いので、こちらもよく精査したいところです。

セミナーや無料の相談会などで税理士を探す

次が「セミナーや無料の相談会などで税理士を探す」方法。

よく新聞の折り込み広告や雑誌などで、「〇〇無料セミナー開催」などという文言を目にする事があるかと思います。

こうしたセミナーで有名なのが、銀行や不動産会社などが開催する「相続対策セミナー」や、保険会社などが開催する「資産活用セミナー」などでしょう。

大抵の場合これらの無料セミナーには、専門家として税理士や司法書士が登壇する事がほとんどですから、実際にセミナーに参加して「これは」という税理士を探すのもひとつの手段だと言えます。

しかしこうしたセミナーというのは、あくまでも主催者企業の商品を宣伝する事が主目的ですから、様々な営業アプローチを受ける事を覚悟しなくてはいけません。

不動産会社のセミナーなどでは、「アパートを建てて相続対策しましょう」なんていうのが定番ですから、求めてもいない節税商品を押し付けられる事にもなります。

また、「相続対策」として税理士を探している人には有効な手段ですが、既に相続が発生している人にとってはあまり現実的な方法とは言えないでしょう。

ただし、こうしたセミナーに登壇する税理士などは、地元で有力な事務所であることが多いですから、銀行や不動産会社などの営業をキッパリと断れる自信があれば、参加してみる価値はあるかもしれません。

この他、税理士会などが開催する「無料の確定申告会」や「無料の相談会」などで探す方法もありますが、こちらはその税理士会に所属する税理士の持ち回り(当番制)となっているため、当たり外れが大きいというデメリットがあります。

【税理士紹介サイト】で税理士を探す

そして次が「税理士紹介(検索)サイトで税理士を探す」方法。

近年、こうした税理士紹介(検索)サイトが増えていますが、これらのサイトに登録する事で、自分が希望する税理士が見つかるまで何度も「無料で」紹介してくれるため、かなり便利なサービスだと言えます。

例えば、「地域」や「希望する条件」などを税理士紹介サイトに伝える事により、アナタに合った税理士をサイト側で選択し、面会の調整まで行ってくれます。

そこでアナタが気に入らなければ再度調整してくれるのですが、基本的に何度依頼しても面談までは無料となっています(内容による)。

しかもサイトによっては、「コーディネーター」と呼ばれるサイト側の社員が同席してくれるため、税理士に聞きづらい事もコーディネーターを介する事で円滑なやりとりが可能となります。

※サイトによっては、コーディネーターが同席しない事もありますからご注意ください。

イメージとしては、下記のようになります。

しかし、「たくさんサイトがあり過ぎて、どこが良いのかわからない」と悩む人もいるでしょう。

確かに年々こうしたサイトは増加傾向にありますが、相続税理士を探すためのメジャーなサイトとしては以下の通り。

どれも似たような名称ですから混乱してしまいそうですが、それぞれアピールポイントが異なり、サイトごとに特性があります。

まず、税理士紹介サイトは数多くありますが、基本的に相続税理士に対応しているのは上記の3つのサイトのみとなります。

上記2の「税理士ドットコム」は弁護士ドットコムの姉妹サイトですから、最近よく目にする方も多いかもしれませんが、実績で言えば上記1の「税理士紹介センター【ビスカス】」が断トツとなっています。

また、前述したコーディネーターが同席してくれるサイトは「税理士紹介センター」と「税理士紹介エージェント」のみとなっていますから、当サイトとしては総合的な面から見て「税理士紹介センター」をお勧めしています。

詳しくは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

ちなみに、税理士紹介センターと名の付くサイトが数多くありますから勘違いしやすいかもしれませんが、「ビスカス」と検索すればこのサイトが表示されます。

税理士事務所のHPやブログなどから依頼する

そして次が「税理事事務所のHPやブログなどから依頼する」という方法。

最近ではこの方法を利用して、相続税理士を探す人も増えているようですね。

GoogleやYahoo!などで「相続 税理士」などと検索すれば、実に多くの「相続専門税理士」と名の付く税理士事務所のホームページが表示されます。

ここで、「上位表示されているから有名で安心できるのかな?」と考えるかもしれませんが、実は単純にそうでもないのです。

もちろん、検索結果の中には相続において有名どころの税理士事務所も見かけますが、全てが「実力があるから上位表示されている」訳でなく、SEO対策などをして上位表示させている場合もあるのです。

SEO対策とは、専門の業者などに依頼して、自社のサイトを検索上位に表示させる技術ですから、簡単に言えば「お金を払って上位表示させている」という事なのです。

こうした税理士事務所の特徴は、「相談件数〇〇〇件」とか、「調査率〇%以下」という事を強調していますが、だからと言って必ずしも優秀だとは限らないのが現実です。

特にこうした税理士事務所は「報酬額が高くなる傾向」にありますから、慎重に選択する必要があります。

確かに、明確な料金表示をしている税理士事務所もありますが、オプション価格がドンドン追加され、結果、報酬額が高額になってしまう事もあるのでご注意ください。

現状の顧問税理士に依頼する

そして次が「現状の顧問税理士に依頼する」という方法。

この方法を利用できるのは、現在、中小企業などの経営者の方で、その会社において顧問税理士を依頼している場合に限ります。

この場合、法人の経理だけでなく、経営者個人の資産を把握している事が多いですので、相続財産の把握などにおいてスムーズな処理が出来るという利点があります。

また、日常的に後継者の相談などもしていれば「どの財産を」「誰に相続させるか」などといった遺産分割内容を決定する上でも、効率的だと言えるでしょう。

しかし問題点として、「そもそも、その税理士が相続に精通しているか」という点がネックとなってきます。

一般的に相続税の申告を経験する税理士は少ないですから、こうした中小企業の顧問をメインとしている税理士は、相続税の申告に精通していない事が多いのです。

長い付き合いという点からも、相続税の申告に対する報酬は安くしてもらえるかもしれませんが、様々な特例などを見逃してしまい、かえって高くつくなんて事もあります(当サイト管理人は、実際にこういった方を見た事があります)。

ですから、一度は声を掛けるにしても、出来れば「税理士紹介サイト」などを利用し、他の税理士の意見も聞くようにした方が良いでしょう。

その他(プライベートバンクなど)

そして最後が「その他」という事ですが、これはプライベートバンクなどを利用する方法があります。

プライベートバンクは、「バンク」と名が付きますから「銀行」とも言えますが、実際には融資を行ったりはせず、富裕層の資産運用などを請け負います。

ただし、資産が最低でも1億円以上必要となりますから、誰でもこのプライベートバンクを利用できるわけではありません。

これまでにも日本国内にプライベートバンクはありましたが、外資系のシティグループなどはすでに撤退し、野村グループなどが国内では有名かもしれません。

しかし近年、ゴールドマン・サックス・グループが日本に参入してきていますから、こうした「富裕層ビジネス」はこれから再度注目されていく事でしょう。

こうしたプライベートバンクは、資産運用にとどまらず、相続対策においてもチームで取り掛かり、様々な専門家を用意してくれます。

もちろん報酬額は高額となりますが、富裕層にしか利用できないスキームなどにも精通している事から、一定の資産をお持ちの方は、一度検討してみるのも良いかもしれません。

まとめ

現状、相続の税理士を探す方法は上記の通りとなりますが、どれも一長一短ありますから、「自分に合った方法はどれかな?」とよく考えた上で利用してみて下さい。

しかし、あまりギリギリまで引き延ばすと、どこの税理士事務所も依頼を受けたがりませんので、早めの行動をお勧めします。

冒頭でお伝えしたように、相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」となっていますが、相続税の計算は不動産などの調査も必要となりますから、それなりの時間を要します。

一般的に、「申告期限3ヶ月前の依頼」から報酬額を割り増しにしている税理士事務所が多いですから、出来れば亡くなってから、最低でも半年以内には行動するようにして下さい。