【クラウド会計ソフト】中小企業向けシェア上位ソフトを徹底比較

個人事業主を中心に、年々認知度の高まっている「クラウド会計ソフト」ですが、この波は中小企業へも押し寄せてきています。

クラウド会計ソフトの利点としては、銀行口座明細やクレジットカード明細の「自動取込機能」や、その取り込んだデータを科目ごとに自動で振り替えてくれる「自動仕訳(作成)機能」など、便利な機能が豊富にある事が挙げられます。

また以前まではクラウドと聞くと、どうしても「情報漏洩などのセキュリティー」を心配する企業も多かったのですが、クラウド市場全体の認知度の高まりもあり、そういった不安を持つ企業は年々低下しています。

こういった背景もあり、ただでさえ人手不足の時代ですから、省力化を見据えた企業が次々とクラウド会計ソフトを導入する事となっているようです。また同様に、今後「自社でもクラウド会計ソフトの導入しようか」と、検討し始めている企業も増加しています。

しかし実際に選ぶとなると、「いったいどのソフトが良いんだろう?」と頭を悩ませている人が多いのも事実。

そこでこの記事では、中小企業向けクラウド会計ソフトの「売上げシェア上位」ソフトにおいて、「価格」「機能」「使い勝手」など、あらゆる面から徹底的に比較してみたいと思います。

なお、この記事における中小企業とは、「従業員数300名以下」の企業を対象にしています。

目次

中小企業における会計業務の実態

それではまず、多くの中小企業は、実際にどのような方法で会計業務を行っているかについて見てみましょう。

以下のデータは、MM総研という調査会社が、中小企業にアンケート調査を行った結果となっています。

データ出典:MM総研

上記の結果を見ると、2016年時点で約半数の中小企業が、会計ソフトを利用して会計処理を行っている事が分かります。

これが個人事業主となると、会計ソフトの利用割合が3割程度まで低下しますから、やはり法人の会計業務は簡単にできるものではない事がわかります。

では次に、2017年のデータも見てみましょう。

データ出典:MM総研

アンケート先や、抽出データ数が同様ではないので完全な比較は出来ませんが、やはり会計ソフトを利用するか税理士に委託する企業がほとんどである事がわかります。

ちなみに、「全て税理士任せ」という企業は、レシートや各種明細を税理士事務所に送り、データ入力から申告まで全てお願いしている企業を指します。

また、「その他」の中には、「自社でシステムを構築」という企業もありますから、エクセルで会計業務を行う企業は、ほとんど少数であることがわかります。

クラウド会計ソフトの利用状況

では、約半数の中小企業が会計ソフトを利用する中で、その内どれだけの企業がクラウド会計ソフトを利用しているのかについても見てみましょう。

以下も同様に、MM総研の調査データとなっています。

データ出典:MM総研

2017年におけるクラウド型会計ソフトの利用割合は14.5%と、まだまだインストール型会計ソフト利用企業が多い事がわかります。

しかし、年々利用者が増えているようですので、現時点(2021年)においては、更にクラウド型の割合が増えている事は間違いありません。

クラウド会計ソフトのシェア

世の中には数多くのクラウド会計ソフトがありますが、ここで中小企業におけるクラウド会計ソフトのシェアについても見てみましょう。

こちらもMM総研の調査データとなっています。

データ出典:MM総研

このデータを見ると、2016年においては上位3社でほぼ7割のシェアを占有している事がわかります。弥生会計は、インストール型会計ソフトで断トツのシェアですが、クラウド型ではfreeeが先行していますね。

では続いて、2017年のデータも見てみましょう。

データ出典:MM総研

これを見ると、弥生会計がマネーフォワードから2位の順位を奪われている事がわかります。また、その他のソフトも増えてきているので、このクラウド会計ソフト市場は、年々競争が激化している事が伺えます。

ちなみに、個人事業主向けのクラウド会計ソフトシェアは、これとは異なり、1位が弥生会計、2位がマネーフォワード、3位がfreeeとなっています。

これについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧になってみて下さい。

 

項目別ソフト比較

それではさっそく、それぞれの項目ごとに、クラウド会計ソフトを比較していきたいと思います。

ここで取り上げるソフトは、freeeマネーフォワード弥生会計のシェア上位3ソフトとさせて頂きます。

シェア

freee4.0
マネーフォワード3.5
弥生会計3.0

まずは「シェア」について。

前述した内容からもわかるように、現在クラウド会計ソフトにおける導入シェアは、1位freee、2位マネーフォワード、3位弥生会計となっています。今後も順位の変動があると思いますが、ここ数年のマネーフォワードの追い上げは目を見張るものがあり、今後1位となる可能性もありそうです。

また、この3社以外のソフト会社に関して言えば、2018年に数社が撤退しましたが、また新しい企業も参入しているため、今後どうなるかはわかりません。

利用者からすれば、今後撤退するかもしれないサービスを利用するのも不安ですから、そういった面から考えると、上位3社を利用するほうが安心だと言えます。

自動連携機能

マネーフォワード4.5
freee4.0
弥生会計2.5

次が「自動連携機能」について。

この自動連携機能とは、自社が利用している銀行口座やクレジットカードなどを登録する事で、それらの明細が会計ソフトに自動的に取り込まれるという便利な機能です。

これまで、金融機関から送られてきた明細を手打ちで入力していたことを考えると、大幅な負担減となります。

各社とも、年々この機能の充実を図っていて、現在では下記のような連携先があります。

自動連携先
  1. 銀行などの金融機関
  2. 信用金庫
  3. 農協、漁協
  4. クレジットカード会社
  5. 電子マネー(交通系も対応)
  6. POSレジ
  7. 通販(Amazon、楽天など)
  8. アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)

例えば、小売店などでPOSレジを導入していれば、クラウド会計ソフトに自動的に取り込みが出来るため、売上げの管理が楽になるばかりか、販売データの管理もスムーズになります。

各社ごとに提携先が異なるため、内容をよく精査しなくてはいけませんが、この自動連携機能で提携先が一番多いのがマネーフォワードであり、その次にfreeeが続く形となっています。

弥生会計に関しては、この2社に追随する形となっているため、少し不便に感じるかもしれません。

自動仕訳(作成)機能

マネーフォワード4.0
freee4.0
弥生会計3.5

そして次が「自動仕訳(作成)機能」について。

この自動仕訳機能とは、上記の自動連携機能により、各提携先より取り込んだデータを会計ソフトがAI(人工知能)などを用いて、科目ごとに振り分けてくれるという機能です。

クラウド会計ソフトの一番の利点は、ここにあるかもしれません。

この自動仕訳機能は各社ともにスタンスが異なり、例えばfreeeでは完全自動作成が可能となりますが、マネーフォワードでは科目の推測まで行い、登録は「登録ボタン」を押すという手間が必要となります。

しかし、ここは利用者側にしてみると捉え方も異なるので、一概にどちらが優れているとは言えないと思います。

機能開発

freee4.5
マネーフォワード4.0
弥生会計3.0

そして「機能開発」について。

この機能開発に関しては、freeeが先行していると言えるでしょう。特に、法人税の申告書まで完全にクラウド上で作成できる「クラウド申告freee」などは、会計業界にとって衝撃だったようです。

また、株式店頭公開を目指しているスタートアップ企業において、freeeの導入企業が多い事を考えると、内部統制などの監査機能も優れていると言えます。

ただ、マネーフォワードも経費精算が簡単に行える「クラウド経費」などを提供しているので、各社とも独自性を打ち出しているといったところでしょうか。特にこのクラウド経費に関しては、「電子帳簿保存法」にも対応しているため、ペーパーレスを推進したい企業にとってはかなり便利なソフトとなっています。

電子帳簿保存法に関して詳しくは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

動作安定性

マネーフォワード4.0
弥生会計3.0
freee2.5

そして次が「動作安定性」について。

動作安定性とは、システム障害であったりシステムバグの対応などにおいて、各社がどういった対策を行っているかによって変わってきます。会計ソフトを利用し、申告期限間近で「システム障害が起きてしまったら?」と考えるだけで恐ろしいですよね。

この動作安定性において、一番優れているのがマネーフォワードだと言えるでしょう。

それに続き、弥生会計となりますが、freeeに関して言えば何度もシステム障害を起こしているので、少し不安要素が残ります。

これに関して詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみて下さい。

 

サポート

やよい4.5
マネーフォワード3.5
freee3.0

そして最後が「サポート」について。

会計ソフトを導入するとなると、ソフトの利用方法など様々な疑問が湧いてきます。そこで頼りになるのがサポートデスクと言えるでしょう。

このサポートデスクが一番充実しているのが弥生会計であり、プランによっては仕訳の相談なども出来るため、経理初心者にとってはとても心強いです。また、ほとんどの税理士事務所で弥生会計が導入されているので、いざとなれば、顧問税理士に操作などを尋ねる事ができるのも利点です。

一方、freeeマネーフォワードに関しては、年々サポートデスクも充実させていますが、弥生会計に比べるとまだまだ見劣りするといったところです。

総合評価

それでは、上記の内容をもとに、当サイトにおける中小企業向けクラウド会計ソフトの「お勧めランキング」をお伝えします。

おススメ第3位【弥生会計】

出典:弥生会計

まず、おススメ第3位が「弥生会計」。

インストール型会計ソフトにおいては、断トツのシェアを誇りますが、クラウド型においては少し出遅れている感は否めません。

しかし、操作性やサポートでは他のソフトに負けていませんし、今後の機能開発次第では期待が持てます。

これまで、インストール型会計ソフトを利用していて、そのソフトが弥生会計であったなら、そのまま弥生会計のクラウド型に乗り換えるのが一番便利かと思います。

料金プラン

サービス名:弥生会計オンライン

セルフプランベーシックプラン
WebFAQ
スマート取込
チャット・メールサポート
電話サポート
仕訳等相談
無料トライアル有り(2ヶ月)有り(2ヶ月)
年額基本料金26,000円(税抜き)30,000円(税抜き)

プランの詳しい内容はこちら

弥生会計オンラインのプランには、請求書作成ツールや給与計算ツールは含まれておらず、そういった業務ソフトを利用する場合は、別途「MISOCA(ミソカ)」や「やよいの給与明細オンライン」というサービスに申し込む必要があります。

キャンペーン情報

現時点で弥生会計において開催されているキャンペーンとしては、以下の通りとなります。

Misoca初年度無償キャンペーン

見積書、納品書、請求書が作成できる「Misoca(みそか)」というサービスが、初年度のみ無償で利用できる。

期間は、2022年3月31日申し込み分まで。

起業家応援キャンペーン

弥生会計オンラインを初年度無料で利用できる(ベーシックプランのみ)。

対象企業:2016年1月1日以降に法人登記した企業

期間  :2021年12月31日まで

弥生会計オンライン初年度無償キャンペーン

弥生会計オンラインを初年度無償で利用できる(セルフプランのみ。ベーシックプランは半額)。

期間  :2021年12月31日まで

おススメ第2位【freee(フリー)】

出典:freee

そしておススメ第2位が「freee(フリー)」。

シェアから見ると、機能開発などの面から多くの企業から支持されているのがfreeeです。特に、上場を目指しているスタートアップ企業の導入が多く、上場後の監査対応を見据えた機能開発において評価が高い会計ソフトだと言えます。

ただ、動作安定性やサポートの面から考えると、社内体制に不安が残り、客観的に当サイトとしては第2位とさせて頂きました。

今後の成長に期待です。

料金プラン

サービス名:会計freee

ミニマムベーシック
決算書作成
請求書作成
請求書の定期・一括請求
経費精算
インターネットバンキングへの振込依頼
チャット・メールサポート
電話サポート
無料トライアル有り(1ヶ月)有り(1ヶ月)
月額基本料金2,380円(税抜き)4,780円(税抜き)
年額基本料金23,760円(税抜き)47,760円(税抜き)

プランの詳しい内容はこちら

第3位の弥生会計との違いとしては、請求書作成もプランに含まれているという所でしょう。ただ、給与計算に関しては、別途「人事労務freee」というサービスに申し込まなくてはなりません。

キャンペーン情報

現在freeeにおいて、キャンペーン情報はありません。

 

おススメ第1位【マネーフォワード】

出典:マネーフォワード

そしておススメ第1位が「マネーフォワード」です。

ここ数年、様々なサービスを展開し、シェア1位のfreeeを猛烈な勢いで追い上げています。その使い易さから税理士の方々にも人気があり、導入済みの税理士事務所が年々増加しています。

個々の項目別にみると平均的な感はありますが、総合的に見た場合、一番安定感のあるクラウド会計ソフトだと言えるでしょう。

料金プラン

サービス名:マネーフォワードクラウド会計

スモールビジネスビジネス
決算書作成〇(一部機能のみ)〇(全ての機能)
請求書作成〇(一部機能のみ)〇(全ての機能)
クラウド経費
クラウド給与
クラウドマイナンバー
チャット・メールサポート
電話サポート
無料トライアル有り(1ヶ月)有り(1ヶ月)
月額基本料金3,980円(税抜き)5,980円(税抜き)
年額基本料金35,760円(税抜き)59,760円(税抜き)

プランの詳しい内容はこちら

マネーフォワードの特徴としては、他のクラウド会計ソフトに比べ利用料金が高いというイメージがありますが、その分、利用できる周辺業務のソフトが充実しているという点にあります。

利用人数に制限はありますが、「トータルで便利に利用したい」という企業にとっては嬉しいソフトです。

ただ、「そこまで必要ない」というのであれば、他社ソフトを検討しても良いかもしれません。

キャンペーン情報

現時点でマネーフォワードで開催されているキャンペーンは以下の通り。

【クラウド会計はじめよう】キャンペーン

新規契約した法人に対し、amazonギフト券50,000円分をプレゼント。

対象:新規でクラウド会計を始める方

期間:2021年7月1日~2021年10月29日まで

ビジネス年額プランを契約すれば、Amazonギフト券50,000円分、スモールビジネス年額プランの場合は、Amazonギフト券20,000円分

 

マネーフォワードは定期的にキャンペーンを開催しますから、要チェックと言ったところでしょう。

まとめ

現状、会計ソフト市場は、依然としてインストール型が主流となっていますが、徐々にクラウド型へ移行する企業が増えています。

とは言え、クラウド会計ソフトは設立後間もない企業の利用が多い傾向がありますから、長い間インストール型に慣れてきた企業からすれば、移行に二の足を踏むかもしれません。

しかし、実は使ってみると現在利用しているソフトより使い易かったなんて事もありますので、一度検討してみるのは如何でしょうか?