収入アップを望むなら、「資格手当」も検討しよう

現在より多くの収入を望む場合、最近であれば副業などを検討する人も多くなっているかもしれません。

ここ数年、「副業解禁」などという言葉を頻繁に耳にするようになったので、昔に比べ、柔軟な働き方を選択できる企業も増えたかと思います。しかし実情から言えば、従業員に対して副業を認めている企業は大企業でも約半数くらいですから、まだまだ「道半ば」といったところでしょう。

では、会社員である以上、それ以外に収入を増やす方法は無いのかというと、そうでもありません。

その方法のひとつが「資格手当」です。

全ての企業がこの資格手当制度を導入している訳ではありませんが、企業によっては、手厚い制度設計をしているところもあるようです。

そこでこの記事では、会社員の収入アップの手段として「資格手当」を利用するための上手な方法、人気の資格などについてお伝えします。

目次

まずは、自社の「社内規定」を確認する

資格手当について考える前に、まずは自分が勤務する会社の「社内規定」を確認し、資格手当の制度があるかどうかを確認しましょう。

意外とこれを怠っている人が多く、「ウチの会社はそんな制度ないよ」なんて言っておきながら、「調べてみたらちゃんとあった」というのはよくある話です。

企業によっても「対象となる資格」「資格による月々の手当て金額」などが変わってきますから、効率よく収入をアップさせるために、それらをよく確認しながら計画性をもって勉強に取り掛かりましょう。

また、「月々の手当て」が付かないにしても、合格時の「一時金」を支払う企業もありますから、そちらもちゃんと確認しておきましょう。

その際にチェックすべきポイントとしては以下の通り。

チェックポイント
  1. 対象となる資格は何があるか?
  2. 部署ごとに対象者が変わるのかどうか(技術系、事務系など)
  3. 月々の手当てになるか、それとも一時金になるか
  4. 手当は出なくても、受験料・受講料の補助があるのか?
  5. 上記の場合、1回で合格しなければいけないのか?

一口に資格手当といっても、会社ごとに取り扱いが異なるので、そこはよく確認してください。

例えば、「受験費用や講座受講料は個人持ちだが、合格すれば月々の手当ては支払う」という企業もありますし、「受験費用・講座受講料は会社が全額負担。月々の手当ては無いが、一時金として10万円を支払う」という企業もあります。

また、「手当も一時金も無いが、受験費用・講座受講料は全額会社負担」という場合、月々の手当てなどには反映されませんが、こうした会社の場合、ボーナスに反映させることが多いですので、あまり落ち込む必要もないと言えるでしょう。

今も昔も「重要視」されている資格

会社が推奨する資格というのは、それぞれの業種により内容が異なります。例えば、金融系の業種の社員が建設系の資格を取得しても、本業に役立つとは言えませんよね。

しかし、今も昔も幅広い業種において「重要視」されている資格というのはあります。それが以下の3種類。

多くの企業で重要視される資格
  1. 簿記検定資格
  2. IT系資格
  3. 英語検定

上記3種類の資格は、「社会人として、最低限知っておきたい知識」を得るための資格と考えられ、どの業界・職種でも「持っていて決して損はない」資格だと言えます。

要は、受験者側に人気の資格というよりは、「企業が従業員に取らせたい資格」という事ですから、これらに合格すれば収入アップに直結しやすいという事ですね。

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

簿記検定資格

まずは「簿記検定」から。

当サイトは、会計に関する情報を中心にお伝えしているサイトですから、もちろん簿記検定についての情報もたくさんお伝えしています。詳しくは当サイトの「簿記検定試験」のカテゴリーをご覧になってみて下さい。

この簿記検定でメジャーなのが、いわゆる「日商簿記」と呼ばれるものですね。正式名称を「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」といいます。

この日商簿記ですが、検定内容は初級から1級まで様々な内容となっており、一般的に資格手当の対象となるのは「日商簿記2級」「日商簿記1級」の上位資格のみになってくるかと思います。稀に、日商簿記3級でも評価してくれる企業もありますが、こちらはそう多くはないでしょう。

しかし、簿記の勉強を始めるとすれば、3級の勉強から始めたほうが効率的なため「3級は自費で受け、2級は会社補助で受ける」など、柔軟に会社の補助を活用していきましょう。

またこれ以外にも「全経簿記」とよばれる簿記検定もありますが、こちらは日商簿記に比べるとマイナーであり、会社から評価されるとしても「全経上級」と呼ばれる難易度の高い試験(全経上級の難易度は、日商簿記1級と同程度)ですから、簿記検定試験を受験するなら「日商簿記」を受験すれば間違いないと言えます。

IT系資格

次が「IT系資格」

IT系資格と言ってもその内容は幅広く、一体どれを取得したら良いのか分かりにくい分野だと言えるでしょう。

そういった場合におススメなのがITパスポートです。

こちらは国家資格でもあり、2017年度の受験人数は約8万5千人、合格率は約5割程度でしたから、IT系の入門資格としては最適だと言えるでしょう。

このITパスポートに合格するには、「社会人が、最低限備えておくべきITの知識」を要求されるため、合格者であればわざわざ「私はこのような知識があります」と説明しなくとも、企業に対して自分のIT知識・能力を証明する事が出来ます。

一般的な企業であれば、このITパスポートがあれば十分評価してくれますが、近年はIT系の人材不足もあり、これ以上の知識を保有する人を優遇する企業も増えています。

例えば、これまで金融系の企業であれば簿記検定の資格を重視していましたが、最近はフィンテック(ファイナンスとテクノロジー)技術が進んでいますから、銀行などでもIT技術者を重要視するようになっています。

こうした業種に勤務しているのであれば、更にその上の資格を取得する事で収入アップにつなげる事が可能となります。

IT系の資格

ITにおける最低限の基礎知識を問われる(初級)。

IT(情報処理)技術者となるための入門資格(中級)。

試験内容としては「基本情報技術者」と同じだが、更に深い知識(応用力)を求められる(上級)

応用情報技術者に合格すれば、月々の資格手当どころではなく、マネージャークラスの昇格も期待できるでしょう。

しかしその分、試験難易度は高くなります。

英語検定

そして最後が「英語検定」です。

英語検定と聞くと「英検」を思い浮かべる人もいると思いますが、日本国内におけるメジャーな英語検定としては「TOEIC(トーイック)」「TOEFL(トーフル)」「英検」の3種類になるかと思います。

しかし、「TOEFL」と「英検」はどちらかと言うと学生向けの検定であり、社会人がこちらを取得してもあまり評価されません(一部の企業においては、TOEFLを重視する事もあります)。

その点「TOEIC」は、ビジネスにおける会話を想定した検定となっているので、企業から評価されやすいのはこのTOEICとなります。厳密に言えば資格試験ではなく、「その時点での受験者の英語力を測定する検定」といった方が分かり易いですね。

TOEICの満点は990点となっており、おおよその評価基準としては以下の通りとなっています。

TOEICの評価基準

【800点~990点】

  • 文章の趣旨や目的が推測できる
  • 長い会話において、基本的な文脈が推測できる

 

【600点~795点】

  • 中級レベルの語彙が理解できる
  • 短い会話であれば、ある程度の文脈が推測できる

基本的にTOEICにおいて「何点以上あれば良い」というものはありませんが、履歴書に書くのであれば「600点以上」というのが目安になるかもしれません。

社内規定において「TOEIC〇〇点以上あれば望ましい」と記載があれば、その得点をまず目指しましょう。

資格の専門学校で人気の講座10選

「資格試験に合格して、資格手当をもらう」事を目的とするなら、上記の「企業側が重視する」試験に合格する方が理にかなっていますが、自分に向いていない資格の勉強を続けるのは苦痛でしかありませんよね。

そこで、「他の人は、どんな資格に挑戦しているのか?」「他にはおススメの資格はないの?」という方のために、資格の専門学校で人気の講座についてもお伝えしておきます。

下記は、資格の専門学校大手である「資格の大原」や「TAC」のデータを基にしています。

 

  1. 簿記
    簿記検定
    難易度 :
    3級2級1級
    学習期間:
    2ヶ月~1年
    試験回数:3・2級 年3回、1級 年2回
    合格率 :3級 43.1%、2級 27.1%、1級 9.8%(2019年11月開催分)

     

    資格の専門学校人気講座第1位は「簿記検定」となっています。こちらは多くの企業が推奨する資格であり、実務にも直結するため受講する人が多いのでしょう。1級となるとかなり難しいですが、2級であれば努力次第で1発合格も可能ですから、是非挑戦したい資格です。

    合格率を見ると、3級は毎回40~50%台で推移しているため、完全初心者の方はまず3級から挑戦する事をお勧めします。

  2. 社労士
    社会保険労務士
    難易度 :
    学習期間:6
    ヶ月~1年半
    試験回数:年1回(毎年8月)
    合格率 :6.6%(2019年度)

     

    近年の少子高齢化による人手不足などにより、人事コンサルタントとしての社会保険労務士の需要は増加しています。社会保険労務士試験で学習する内容は、職場における労務関係だけでなく、年金などといった日々の暮らしに関係するものも多いですから、様々な場面で知識を活用する事が出来ます。

    また、士業として「独立開業」することも出来ますから、将来を見据えてこの資格に挑戦する人も多いようです。

  3. 税理士
    税理士
    難易度 :
    学習期間:2年~5年
    試験回数:年1回(毎年8月)
    合格率 :18.1%(2019年度)

     

    難関国家資格として有名な税理士試験ですが、こちらも資格の専門学校における人気講座上位にランクインしています。独立開業しやすい資格であることもそうですが、企業によっては税理士資格保有者に「資格手当10万円/月」を支払うところもあるそうですから、頑張る価値はありますよね。

    当サイトにおいて、税理士試験合格法などの記事も多くありますから、詳しくはそちらの記事もご覧になってみて下さい。

  4. 宅建士
    不動産取引に必要不可欠なこの「宅建士」ですが、近年の不動産市場の活況により、徐々にニーズが高まってきています。不動産業に勤務する人はもちろん、金融業に勤務する人においてもキャリアアップを目指せる資格と言えます。独立開業も〇。

    宅建講座【資格の大原】

  5. 中小企業診断士
    経営コンサルタントとして活動するには資格は必要となりませんが、そんなコンサルタントの中でも唯一国家資格として認められているのは、この「中小企業診断士」のみです。学習内容も幅広く、「経営戦略」に始まり「マーケティング」「店舗運営」など様々な知識を得る事が出来るので、多くの業種で活用できます。

    中小企業診断士講座【資格の大原】

  6. FP(ファイナンシャルプランナー)

    FP講座【資格の大原】

  7. IT系資格

    ITパスポート

  8. 公認会計士

    公認会計士講座【資格の大原】

  9. 介護系資格

    介護職員初任者研修【資格の大原】

  10. 行政書士

    行政書士講座【資格の大原】

おススメの学校

現在資格の学校は様々ありますが、上記の資格全てを網羅しているスクールは中々ありません。

そこで、ここでは代表的な学校をお伝えしておきます。

資格の大原

まずは何と言っても「資格の大原」です。

こちらは資格の専門学校最大手ですから、ほとんどの講座を網羅しています。

また、全国各地に校舎がありますから、通いやすいという面でも便利ですね。

TAC(タック)

次が「TAC」です。

こちらも資格の大原と並び、資格スクールとしては大手の学校です。

教材の販売にも力を入れているので、独学で勉強する人にとってTACの教材は便利だと言えます。

LEC(レック)

そして次が「LEC」

こちらも大手ではありますが、上記の2校に比べるとやや規模は劣ります。

こちらの特徴としては、「通信講座」に力を入れているので、教室通学よりWeb通信で勉強したい人には向いている学校だと言えるでしょう。

その他

当記事内でお勧めしている資格を取得したいのであれば、上記のいずれかのスクールでしか全ての講座を開設していません。ひとつのスクールで資格を取得し、次の資格をとなった場合、様々な割引制度もあるため同じ学校を選択すると便利だと言えます。

しかし、「全て網羅してなくても良いから、少しでも安いスクールが良い」というのであれば、Web通信専門のスクールに行けば、いくらか費用を抑える事が出来ます。

それが「クレアール」「スタディング」です。

どちらもスマホで学習できるため、通勤時の移動時間を有効活用して学習したいなどという人には向いている学習方法だと言えますね。

まとめ

世の中には様々な資格がありますが、前述したようにまずは自社の社内規定を確認し、会社が推奨している資格取得からチャレンジしてみましょう。

最初は自分が得意だと思える分野から挑戦し、徐々にレベルアップする方が良いでしょう。

仮に、勤め先の会社が資格取得費を負担してくれないのであれば、国の給付金制度もありますから、そういったものを活用するのもひとつです。

給付金制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。