資格取得のために「給付金制度」を活用しよう

一般的に、様々な資格を取得する事で「収入アップ」に繋がったり、「転職」の際に有利に働くとされています。

このように、何かと便利な「資格取得」ですが、多くの人が「資格講座の受講料」「入学金」など、合格するまでの費用を出来るだけ抑えたいというのが本音でしょう。

勤め先の会社がその費用を負担してくれれば良いですが、全ての企業がそのような制度を設けている訳ではありません。

そこで活用したいのが、国の「給付金制度」です。

この制度を利用すれば、どんなに高額な資格講座を選んだとしても、自己負担額をかなり安く抑える事が出来ます。

そこでこの記事では、この「給付金制度」を有効に活用する方法などについてお伝えします。

給付金制度とは

まずは「給付金制度の仕組み」について。

給付金制度を簡単に説明すると、「一定の要件を満たした人に対し、国や地方公共団体等がその個人を支援するために、費用等を給付する」事を言います。

広義の意味で言うと、保険会社が入院時に支払う「入院給付金」なども給付金に含まれますが、ここでは行政が給付するものについて説明します。

この行政が扱う給付金制度は様々あり、雇用対策における「教育給付金」や、住宅関連の「すまい給付金」、子育て世代を支援する各種給付金があります。

代表的なものとしては以下の通り。

給付金の一例
  • すまい給付金 - 国土交通省
  • 子育て支援  - 各市区町村
  • 教育給付金  - 厚生労働省

当記事においては、資格取得のための給付金について取り上げているため、厚生労働省が所管する「教育訓練給付金事業」について説明します。

教育訓練給付制度

厚生労働省が所管する「教育訓練給付制度」は、その費用が雇用保険を財源としている事からも分かるように、労働者のキャリアアップを支援する目的で運営されています。

この制度は大きく分けて3種類となり、「一般教育訓練給付」「専門実践教育訓練給付」「特定一般教育訓練給付」からなります。

教育給付金制度
  • 一般教育訓練給付金   - 従来からある給付金制度で、幅広い資格が対象となっている。
  • 専門実践教育訓練給付金 - 2014年の法改正から新設された制度で、「専門的な」資格が対象となっている。
  • 特定一般教育訓練給付金 - 2019年10月から新設。一般教育訓練給付金の中でも、特に早期のキャリア形成に役立つ資格を対象としている。

この教育訓練給付制度は1998年からありましたが、2014年の法改正を経て、対象認定講座が増え続けています。

それぞれ、「受給要件」「対象資格」「給付金支給額」が異なりますので、自分が対象となるのかなどについて、事前によく確認しましょう。

それでは、それぞれの内容について見ていきましょう。

一般教育訓練給付金

まずは「一般教育訓練給付金」から。

これは昔からメジャーな教育給付として知られ、多くの人が利用している制度だと思います。

対象資格も幅広く、現時点(2019年11月)では、約1万7,000講座が対象となっているため、一番利用しやすいと言えるでしょう。

受給要件

この一般教育訓練給付金の受給対象者は以下の通り。

【受給対象者】

  • 各種講座を受講する時点で、雇用保険の支給要件期間(簡単に言うと、在職期間)が「3年以上」あること。
  • 上記例外として、この制度を初めて受けようとする場合は、当分の間「1年以上」あること。
  • 各種講座を受講する時点で、雇用保険の被保険者でない人(離職した人など)は、離職日の翌日から1年以内であること(ただし、適用対象期間の延長が行われた場合は、最大20年以内であること)かつ、支給要件期間(在職期間)が3年以上あること。
  • 上記の場合も例外として、初めて支給を受ける場合は、支給要件期間が「1年以上」であること。
  • 前回、この教育訓練給付金を受給している場合は、今回の講座開始日前までに3年以上経過していること。

上記ですと文字ばかりで分かりにくいかもしれませんので、下記のフローチャートも参考にしてみて下さい。

支給対象講座

繰り返しになりますが、この「一般教育訓練給付金」は、3種類ある教育給付金の中でも最もベーシックなものであり、その対象となる講座の範囲は幅広く、2019年4月現在で、約1万1700講座が対象となっています。

その講座の種類を大きく分けると下記のようになります。

対象講座
  • 情報関係 - 情報処理技術者試験、マイクロソフト認定資格など
  • 事務関係 - TOEIC、日商簿記、各種外国語検定など
  • 専門的サービス関係 - 税理士、公認会計士、司法書士など
  • 営業・販売・サービス関係 - 調理師、カラーコーディネーターなど
  • 社会福祉・保健衛生関係 - 保育士、柔道整復師など
  • 自動車免許・技能講習関係 - 大型自動車第1種免許、移動式クレーン運転士免許など
  • 技術関係 - 建築士、自動車整備士など
  • その他

このように、幅広い資格講座に対応しているため、逆に対象となっていない資格のほうが少ないかもしれません。

ちなみに、対象となるスクール、講座内容について詳しく知りたい方は、厚生労働省の「講座検索システム」のページでご確認ください。

給付金支給額

一般教育訓練給付金の対象となる講座を受講し、それを修了すると、そのかかった費用の20%についてハローワークから支給されます。

支給額上限は10万円であり、4千円を超えない場合は支給されません。

イメージとしては下図のようになります。

上記の図からわかるように、この一般教育訓練給付制度をフルに有効活用しようと思うのであれば、費用が50万円以下の講座を受講すれば良い事が分かりますね。

専門実践教育訓練給付金

そして次が「専門実践教育訓練給付金」

こちらは2014年の法改正によって新設された給付金制度となっています。

基本的に、「一般教育訓練給付金」や「特定一般教育訓練給付金」は、早期キャリア形成のための資格取得を目的としているため、講座期間が長くても1年以内となっています。

しかし、専門的な知識を取得するためには長い年月の学習が必要となりますから、長ければ3年程度学習しなければいけないという講座もあります。

そこでこの制度は、そういった長期間にわたって専門的な資格取得を目的とする講座を主な対象として、最長4年までの専門資格講座費用について支給する制度となっています。

2019年4月時点において対象となっている講座は約2,400講座あり、厚生労働省としては2022年度までに、これを5,000講座まで拡大させようと検討しているようです。

受給要件

この専門実践教育訓練給付金の受給要件は以下の通り。

【受給対象者】

  • 各種講座を受講する時点で、雇用保険の支給要件期間(簡単に言うと、在職期間)が「3年以上」あること。
  • 上記例外として、この制度を初めて受けようとする場合は、当分の間「2年以上」あること。
  • 各種講座を受講する時点で、雇用保険の被保険者でない人(離職した人など)は、離職日の翌日から1年以内であること(ただし、適用対象期間の延長が行われた場合は、最大20年以内であること)かつ、支給要件期間(在職期間)が3年以上あること。
  • 上記の場合も例外として、初めて支給を受ける場合は、支給要件期間が「2年以上」であること。
  • 前回、この教育訓練給付金を受給している場合は、今回の講座開始日前までに3年以上経過していること。

上記ですと文字ばかりで分かりにくいかもしれませんので、下記のフローチャートも参考にしてみて下さい。

内容としては一般教育訓練給付金とほぼ同じですが、初めてこの制度を利用する場合の「雇用保険被保険者期間」が「2年以上」必要であることに注意が必要です。

また、この制度の適用を受けるには、講座の受講開始前に「訓練対応キャリアコンサルタント」による「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります(一部例外あり)。

そこでジョブ・カードの交付を受けた後、他の必要書類と共にハローワークへ申請しなくてはなりません。

この手続きは、受講開始日の1ヶ月前までに行う必要があり、4月開講の講座の場合は、2月末までの申請が必要となります。

支給対象講座

前述したように、この専門実践訓練給付金の対象講座は、現在約2,400講座あり、今後順次拡大していく予定です。

対象となる講座には「専門性」が求められており、例えばその資格が無いとその職に就けないような「業務独占資格」「名称独占資格」などを対象にしています。

代表的なものとしては以下の通り。

対象講座
  • 業務独占資格・名称独占資格

看護師、介護福祉士、美容師、調理師、美容師、税理士、公認会計士など

  • 専門学校の職業実践専門課程等
  • 専門職大学院
  • 職業実践力育成プログラム
  • 一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程
  • 第四次産業革命スキル習得講座
  • 専門職大学・専門職短期大学・専門職学科の課程

この他にも様々な講座が対象となっていますので、詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください。

給付金支給額

専門実践教育訓練給付金の支給額は、そのかかった費用の50%まで支給してくれるため、他の給付制度に比べるとかなり高額になっています。

年間の上限金額は40万円までとなっていますが、仮に3年制の講座を受講すれば、最高で「40万円×3年=120万円」まで受け取る事が出来ます。

また、対象講座の資格に合格し、講座終了後1年以内に就職などすれば更に2割加算され、最大で「年間56万円」、これが3年間だとすれば「168万円」まで受け取ることが可能となります。

ほとんどの講座は2年から3年の期間となっていますが、2019年から4年制の講座も一部追加されましたから、この場合「56万円×4年=224万円」まで支給されることになります。

その他の特徴

このように、専門実践教育訓練給付金は、かなり手厚い制度となっていますが、その学習期間が平均して2年~3年と長いだけに、仕事を辞めて学習する人もいます。

こうした場合、収入がなくなる訳ですから、生活面での不安もよぎりますよね。

しかし、こうした事態に対応するため、厚生労働省は「教育訓練支援給付金」という制度も設けています。

この制度を利用すれば、雇用保険の失業手当(基本手当)の期限が切れた後でも、基本手当の8割を上限に生活費の給付を受ける事が出来ます。

受講開始時に45歳未満であることなど、様々な要件を満たす必要がありますが、この制度を併用する事で資格取得に集中する事ができると言えるでしょう。

特定一般教育訓練給付金

そして最後が「特定一般教育訓練給付金」です。

こちらは2019年10月に新設されたばかりの給付事業で、現在対象となっている講座数は150講座と少ないですが、今後順次、対象講座を拡大していく予定です。

こちらは「一般教育訓練給付金」に比べ支給額が高い事が特徴ですが、対象となっている講座が「資格の合格率が全国平均以上」などの条件を満たす講座ですから、利用者側にとっても有難い制度だといえます。

基本的に、1年以内の資格取得を目指す講座が対象となっています。

受給要件

この特定一般教育訓練給付金の受給要件は以下の通り。

【受給対象者】

  • 各種講座を受講する時点で、雇用保険の支給要件期間(簡単に言うと、在職期間)が「3年以上」あること。
  • 上記例外として、この制度を初めて受けようとする場合は、当分の間「1年以上」あること。
  • 各種講座を受講する時点で、雇用保険の被保険者でない人(離職した人など)は、離職日の翌日から1年以内であること(ただし、適用対象期間の延長が行われた場合は、最大20年以内であること)かつ、支給要件期間(在職期間)が3年以上あること。
  • 上記の場合も例外として、初めて支給を受ける場合は、支給要件期間が「1年以上」であること。
  • 前回、この教育訓練給付金を受給している場合は、今回の講座開始日前までに3年以上経過していること。

上記ですと文字ばかりで分かりにくいかもしれませんので、下記のフローチャートも参考にしてみて下さい。

 

基本的に、一般教育訓練給付金と内容は同じですが、この特定教育訓練給付金を利用するには、講座の受講開始前に「訓練対応キャリアコンサルタント」による「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります

そこでジョブ・カードの交付を受けた後、他の必要書類と共にハローワークへ申請しなくてはなりません。

この申請手続きは、講座開始の1ヶ月前までに行う必要があり、ここが一般教育訓練給付金との一番大きな違いだと言えます。

支給対象講座

この特定教育訓練給付金の対象講座は、前述したように「資格の合格率が全国平均以上」などの条件を満たす講座となりますから、対象講座はかなり少なくなっています。

また仮に、Aという資格の学校において「東京の校舎の講座は対象」になっていても、「地方の校舎は対象外」なんてこともありますから、対象講座については事前に厚生労働省のホームページでご確認ください。

基本的に、1年以内で取得できるような公的な職業資格や、難易度の高いIT資格などを対象としています。

対象講座
  • 業務独占資格、名称独占資格など

税理士、社労士、行政書士、宅建士など

  • 社会福祉・保健衛生関係

保育士、介護福祉士など

  • 自動車免許・技能講習関係

大型自動車第2種免許、移動式クレーンなど

  • IT関係

基本情報技術者など

この特定一般教育訓練給付金の対象となっている講座の特徴としては、現在(2019年10月)150講座が対象となっているうち、そのほとんどが「資格の大原」が独占しているという点が注目されます。

資格の学校大手と言えば「資格の大原」「TAC」「LEC」が有名ですが、TACはゼロで、LECはかろうじて1講座のみ対象となっています。

税理士講座は全て「資格の大原」が独占していますから、それだけ実績があるという裏返しですね。

この特定一般教育訓練給付金を活用しようと考えている方は、まずは資格の大原かLECに資料請求してみては如何でしょうか。

 

給付金支給額

この特定一般教育訓練給付金の「給付支給額」は、その講座にかかった費用に対し、40%まで支給してくれます。

これはかなり有難い制度ですよね。

ただし、上限が20万円までとなっており、また下限は4千円を超えないと支給されない事になっています。イメージとしては以下の通り。

上の図からわかるように、この制度をフルに活用するのであれば、50万円の講座を受講すれば良いという事になります。

まとめ

大まかな制度の内容としては以上となりますが、さらに詳しく知りたい方は、厚生労働省ハローワークのホームページにてご確認ください。

特に、講座の受講開始時期や受給要件については、事前によく確認しておきましょう。

講座を受講した後、申請時に「アナタは対象にはなりませんよ」なんて事になっては大変です。せっかくの便利な制度ですから、最大限有効活用したいものです。