士業の男女比率 - 女性が多く働いているのはどの士業?

近年、「男女共同参画社会を目指す」として、国が主導となり女性の活躍を促す機運が高まっています。

これは士業においても同様で、各士業とも女性へのアプローチを積極的に行っており、その甲斐もあってか、昔に比べれば士業における女性の割合はかなり増えていると言えるでしょう。

しかし、それでも社会全体で見ればまだまだ士業で働く女性の割合は低い傾向にあり、国などは業界団体などに対して周知徹底を求めています。

そこでこの記事では、各士業において一体どの程度の女性が資格を有しており、また資格者以外も含め、各事業所においてどの程度の女性従業員が働いているのかなどについてお伝えします。

目次

有資格者の女性比率

まずは、各士業における「有資格者の女性比率」について。

士業の種類は様々ありますが、現在、その士業における女性比率を積極的に公表しているのは、「弁護士」「公認会計士」「税理士」「司法書士」くらいかもしれません。

他の士業も会報などでは発表しているようですが、士業団体のHPなどで公表する事は少ないようです。

士業ごとの登録者数に関しては、こちらの記事もご覧になってみて下さい。

 

 

各士業の女性比率に関しては、それぞれ算出年度が異なるためあくまで参考程度にしてもらえばと思いますが、数年で大きく変わる事もありませんから、概ね以下の比率で推移していると考えられます。

全登録者数うち女性登録者女性登録者割合調査年度
弁護士42,200人8,028人19.0%2020年
税理士75,643人10,859人14.4%2016年
公認会計士31,214人4,406人14.1%2018年
司法書士22,724人4,067人17.9%2020年

 

上記のデータから読み取れる事として、弁護士や司法書士といった「法律系」の士業において女性の有資格者率が高い傾向にあり、またこれらの士業は、「毎年積極的にデータを公表している」という事が読み取れます。

対して、税理士や公認会計士といった「会計系」の士業においては女性登録者が少ない傾向にあり、しかも調査年度を見ると、あまり積極的にデータを公表していない事も分かります。

とは言え、全般的に女性の登録者割合は「2割以下」となっていますから、相変わらず士業は男社会の印象が強いと言えます。

ただ、擁護する訳ではありませんが、これでも10年前よりはかなり女性比率は上昇しています

事業所全体の女性就労率

それでは次に、各士業における「事業所全体の女性就労率」についても見ていきましょう。

先ほどは「有資格者」に限って見ましたが、事務所全体では資格を所持していないスタッフもいるため、これも含めた就労率でみると比率が変わってきます。

以下のデータは、経済産業省と総務省が国内の経済構造を把握するために行っている「経済センサスー基本調査」のデータを基にしています。この調査は5年毎に行われており、以下は2014年調査時のものとなっています。

全事業所が回答している訳ではなく、またデータも多少古いですので、あくまで参考程度にして下さい。

全従業者数うち女性従業員女性従業員割合
弁護士50,580人26,115人51.6%
税理士136,392人63,702人46.7%
公認会計士34,681人11,229人32.3%
行政書士11,939人4,874人40.8%
社会保険労務士17,015人9,112人53.5%

出典:経済センサスー基礎調査

こちらの表には司法書士が含まれていませんが、「経済センサスー基礎調査」において司法書士事務所は、公証役場などと一括で表示されており正確なデータを確認できない為、ここでは除外させて頂きました。

それでは、上記のデータから読み取れる内容について見ていきましょう。

女性が多く働いているのは「弁護士事務所」「税理士事務所」

まず、女性が多く働いているのが「弁護士事務所」「税理士事務所」だという事。

どちらも「有資格者に占める女性割合」は2割以下でしたが、スタッフ全体でみると5割前後の女性が働いている事が分かります。

当サイト管理人は、これまで何度も弁護士事務所や税理士事務所を訪問していますが、肌感覚としても弁護士事務所、税理士事務所の女性比率は高いと感じます。ですから、上記のデータはかなり信ぴょう性が高いと言えるでしょう。

例えば、弁護士事務所においては弁護士一人に対して、大抵1人~2人の事務職員が勤務しています。事務職員とは、弁護士の秘書代わりのような仕事をしたり、資料の作成をしたりする従業員です(事務局などと呼ばれることもあります)。

大抵の場合この事務職員は女性であることが多く、事務所全体における男性スタッフの比率よりも女性比率の方が多い法律事務所も時折見かけます。

また税理士事務所の場合は、クライアント先に訪問する従業員は男性であることが多いのですが、データ入力などの作業は女性が担当する事が多いですから、上記のデータにも納得できます。

必ずしも「女性が多い=女性が働きやすい」とはなりませんが、女性が多い事務所などは結婚や出産などに対する福利厚生がしっかりしている事が多いですから、あなたが士業で働きたいと考えている女性であれば、弁護士事務所か税理士事務所に勤務するのも良いかもしれません。

ただし、弁護士事務所はそもそも求人数が少ないため、税理士事務所の方が入社しやすい傾向があります。

 

女性が働きにくいのは「公認会計士事務所」?

それでは次に、「公認会計士事務所」についても考えてみましょう。

有資格者の女性比率が少ない公認会計士ですが、従業者全体で見ても女性が少ない事がよく分かります。

2019年度の公認会計士試験合格者における女性合格比率は23.6%と、上昇傾向にはありますが、依然として女性登用が進んでいない印象があります。

公認会計士協会でもこの辺の危機意識はあるようで、「2048年度までに会員・準会員の女性比率を30%へ上昇させる」などといった目標を掲げています。しかしこれはあくまで「有資格者」に対する目標であり、従業者全体ではあまり深く突っ込んだ話はありません。

公認会計士事務所で女性就労者が増えない理由は様々あると思いますが、まず有資格者に関して言えば「業務が多忙である」「出張が多い」などといった意見も聞こえてきます。

実際、若手の女性会計士が数年で退職する傾向が高まっており、いくら合格者が増えて一時的に女性が増えたとしても、結局は「離職に歯止めが利かない」というのが現実なのでしょう。

これは女性だけに限った話ではなく、男性にも言える事ですから、業界全体において根本的な問題があるという事です。

公認会計士協会としても、会長に女性会計士を据えるなどとしてイメージ回復に努めているようですが、実際にはデータ数値が多くを物語っているのがよく分かります。

 

その他

最後に「その他」として、行政書士社会保険労務士についても触れておきましょう。

行政書士事務所の女性比率は40.8%、社会保険労務士事務所の女性比率は53.5%とどちらも高い傾向にはありますが、全体的に事業規模が小さいため、これが「女性が働きやすい環境にあるかどうか」について考えれば、少し疑問の残るところです。

確かに、社会保険労務士事務所などは女性従業員が多い印象がありますが、そのほとんどが「アルバイト・パート」といった雇用形態であり、正社員として働きたいと考えている人にはあまりお勧めできません。

もちろん、パートで働きたいと考えている人にとっては好都合かもしれませんが、事業所全体の従業員数が少ないということは、仮に女性比率が高いと言っても密接度が高くなり、必ずしも「女性が働きやすい職場」とはならない事に注意が必要となります。

士業におススメの転職サイト

それでは最後に、士業が転職するのに便利なサイトについてもお伝えしておきます。

基本的に以下でご紹介するサイトは、ほとんどが「エージェント制」となっています。エージェント制とは、そのサイトに登録すると専任のスタッフがキャリアプランを立ててくれたり、転職が完了するまであらゆる相談に乗ってくれたりします。

特に女性の場合、こうしたエージェント制のサイトを利用する事で、聞きづらい事もエージェントを通して確認できますし、事前にその会社の福利厚生などについても詳しく尋ねる事が可能となります。

世の中には多くの転職サイトがありますが、これらのサイトを賢く利用する事で、無駄なく転職活動を進める事が出来るでしょう。

サイトごとに特徴が異なりますから、それぞれ自分に合ったサイトを利用してみて下さい・

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会計系に特化:「ジャスネットキャリア」


この【ジャスネットキャリア】は、会計の仕事に特化した転職サイトとして有名で、税理士事務所や公認会計士事務所といった専門的な求人において、国内でもトップクラスの求人数となっています。

また、大企業の経理職の求人も多いですから、士業事務所で働きたい人のみならず、会計職全般で転職先を探している人にはとても便利なサイトだと言えます。

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このMS-Japanは、管理部門の転職に特化したサイトとして知られ、士業の転職案件を多く提供しています。東証1部上場も果たし、業界内でも認知度は高いと言えます。

管理部門に特化しているだけあり、高額報酬の案件が数多くありますから、年収アップを狙っている人にはおススメのサイトだと言えるでしょう。

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年収1,000万円以上の案件や、50代以上限定の案件もあり、幅広い層の求職者にもおススメ

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