
現在、「副業解禁」という言葉があちこちで聞かれ、副業に興味を持ち始めている人も多いと思います。
従業員に対して副業を認める企業も徐々に増えているようですが、実情から言うと、まだまだ少数であるというのが現実ではないでしょうか。しかし、「少しでも収入を増やしたい」という理由から、勤務先にバレないようにやりたいと考える人も多いかと思います。
そこでこの記事では、副業がバレる理由やその対策についてお伝えしようと思います。
念のためお伝えしておきますが、当サイトは副業を会社に隠れて行う事を推奨している訳ではありません。この記事に書かれた内容を実行するか否かは、あくまでも自己判断であり、その結果は自己の責任であることをご了承願います。
目次
多くの企業は副業を認めていない
まず、副業解禁と聞けば聞こえは良いですが、現状から行くとこの副業を認めている企業は、まだごく少数であるという事。
この副業の是非について、2018年あたりから各新聞社等が大企業にアンケートをとっていますが、2019年5月時点で大手企業120社の内、副業を認めている企業は約5割だということです。
昔に比べ、確かに増加傾向にはありますが、大手企業でもまだまだこの程度です。
これが中小企業となると更に割合が減るようですから、日本全国の企業で考えると、大多数が自社の社員への副業を禁じていることが分かります。
公務員はもっと厳しい
また公務員となると、更に副業に対する目は厳しくなります。
現在インターネット上において、「公務員は法律で副業を禁止されている」などといった記事を見かけます。確かにこれは間違いではありませんが、厳密な法解釈から行くと、これは必ずしも正確な情報ではないという事に注意が必要です。
というのも、こういった「法律で・・・」と表現している人たちは、恐らく「国家公務員法」と「地方公務員法」の兼業禁止規定を基に説明しているのだと思います。
【国家公務員法】
(私企業からの隔離)第103条
- 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
- 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
- ・・・以下省略・・・
(他の事業又は事務の関与制限)第104条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、もしくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
まず、国家公務員に関しては、上記の内容から「一律に禁止される」と考える人が多いようですが、条文をよく見ると「・・・人事院の承認を得た場合には、これを適用しない」とあるように、要は「上司や人事院の許可を得れば」副業が認められるという事です。
ただし「原則」は禁止ですし、申請して認められる可能性もよくわかりませんので、「国家公務員は副業禁止」と理解している人が多いのでしょう。
では次に、地方公務員法についても見てみます。
【地方公務員法】
(営利企業への従事等の制限)第38条
- 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他の営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、もしくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
- 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定める事ができる。
こちらも国家公務員法と内容的にはほぼ同じで、要は「原則は禁止ですが、許可を得れば大丈夫ですよ」という内容となっています。
どちらかと言うと、国家公務員に比べ地方公務員の方が柔軟性があり、全国的に見ても例えば奈良県生駒市などは、職員に副業を促すようなスタンスをとっています。もちろん、各地方公共団体によっても取り組みは異なりますが、基本的にどこの地方公共団体も、上長の許可を得れば一定の副業をしても良い事になっています。
ですから稀に、「〇〇市職員、副業が見つかり懲戒処分」などというニュースを目にすることがあるかと思いますが、こういったケースは、許可を得ずに隠れて副業をしていて、それが何かしらの原因で発覚したという場合がほとんどです。
何故、副業はバレるのか?
では、前述した公務員が懲戒処分に至るケースも含め、そもそも何故、副業が発覚してしまうのでしょうか?
そこで、一般的に副業がバレる原因について列挙してみます。
- 社内における内部告発
- 企業秘密の漏洩における発覚
- SNSなどでの投稿
- 住民税の通知
インターネット上の情報として、「副業がバレるのは住民税の通知から」というものが多くありますが、実は住民税よりも、意外と日頃の行いから発覚する方が多いようです。
それでは順に見ていきましょう。
社内における内部告発
まずは、「社内における内部告発」から。
意外とバレる理由は、これが一番だったりします。
例えば、会社の飲み会などで酔いに任せ「オレ、最近副業で儲かってるんだよね」などと言ってしまい、それを快く思わない同僚が、上司などに報告する事で発覚する事もあります。
基本的に、仮にあなたの勤めている会社が副業を禁止しているのであれば、いくら信用している相手とは言え、同僚に副業をしていることを教えない方が賢明だと言えます。
また、せどりやアフィリエイトを副業として行っている場合、勤務時間中に社内のパソコンを利用して副業の作業をすることにより、社内のサーバーにログ(作業履歴)が残ったり、その画面を同僚に見られて発覚する可能性も高いと言えるでしょう。
仮に副業を認められている会社に勤めているとしても、本業の就業時間中はその会社から給料を頂いている訳ですから、絶対にこういった事はやめましょう。
企業秘密の漏洩における発覚
次が「企業秘密の漏洩における発覚」。
よく、「自分はブログを作ってるんだけど、このブログから副業がバレるんじゃないか?」と不安がっている人がいますが、ブログ上に個人情報を載せなければ、基本的に発覚する恐れは少ないと言えます。
ただし、仮にアナタが「本業の会社の企業秘密をブログ上に掲載した場合」は話が別になってきます(法律的に言うと「営業秘密」)。
企業秘密というのは、そもそもインターネット上に転がっているようなものではありませんから、もしあなたのブログにその内容が書かれていたら、グーグルなどで検索をかければ一発で上位表示されるでしょう。
それを見た会社の人間が、「これは社内の人間の仕業だな」と思えば、徹底的に社内調査を開始して、いずれはアナタが原因であると突き止める事になるでしょう。
この場合、「副業禁止」の問題以前の話となり、酷い場合は「刑事告訴」に発展する事もあります。
意外とこの辺を安易に考えている人が多いようです。
SNSなどでの投稿
そして次が「SNSなどでの投稿による発覚」です。
近年、Facebook、Twitter、Instagramなど様々なSNSがありますが、こうしたSNSに安易に投稿する事により、副業が発覚するケースもあります。「私は誰でも見れる設定にしていないから」などと言っても、安心は出来ません。
例えば、当サイト管理人のクライアント先で、とある課長職の従業員の方が、給料に見合わないような高級車を乗り回し、SNS上にその写真を投稿していました。これを見た同僚が不審に思い、社内調査が行われましたが、この課長、業者から賄賂を貰っていたようです。
この場合、「副業発覚」という訳ではありませんでしたが、「意外と人は見ていますよ」という事を認識しなければいけません。
また、アフィリエイトなどをしている場合、「Twitterなどを利用すればサイトへの流入が増えますよ」なんて情報を鵜呑みにし、いつしか何かの間違いで個人を特定されるなんて事も考えられます。
SNSを利用してはいけませんとは言いませんが、利用の際は十分注意が必要である事を覚えておきましょう。
住民税の通知
そして最後が「住民税の通知」です。
これは、インターネット上でもあちこちで書かれている事ですから、皆さんも一度は耳にした事があるかと思います。しかし多くの場合、ほとんどのサイトで書かれている情報は、その根拠が怪しいものばかりです。
例えば、「住民税を普通徴収にすれば、絶対に会社にバレませんよ」なんて内容が一番多いかと思います。
ハッキリ言いましょう。これ、ウソです。
ウソ・・・とまでは言いませんが、確実にバレないとは言い難いからです。
住民税の徴収方法には「特別徴収」と「普通徴収」があり、前者の特別徴収とは簡単に言えば「会社が代わりに支払ってくれて、その分毎月の給料から天引きされる」というものです。という事は、各地方自治体からアナタの本業の会社へと住民税の請求書が届くことになり、その税額は経理の人たちの目に留まる事になります。
ここで、アナタが副業で利益を上げていたとすれば、本業の給与から考えられる税額より大きくなりますから、経理の人からすれば「あれ?おかしい」となる訳ですね。
これに対して「普通徴収」は、副業における住民税の請求はあなたの自宅に届きますから、経理の人の目に留まる事はなく、よって「バレる事はない」という理論かと思います。
確かに間違ってはいませんが、様々な理由により、一律にこれでバレないという訳ではないのです。
そこで、更に注意すべき点についてお伝えしておきます。
副業が給与所得の場合
まずは、副業が給与所得の場合です。
これは簡単に言うと、副業が「アルバイトなど」の場合という事です。
この場合、基本的に住民税の普通徴収を選択する事ができず、ほとんどの場合、本業の会社にバレる事となります。
市区町村によって対応が異なる
次が市区町村によって対応が異なるという事。
基本的な考え方として、どこの市区町村役場も、確定申告時に住民税の徴収方法として「普通徴収」を選択すれば、自宅に明細書が届く仕組みとなっています。しかし、役所によってはそういった事に対応していない場合がありますので、事前にお住まいの役所に確認する必要があります。
また、「副業がアルバイトなどの場合、普通徴収が選択できず、会社にバレてしまう」とお伝えしましたが、役所によってはこういった事に対応できる場合もあるので、そちらも税理士や役所に確認する事をお勧めします。
とは言え、役所というのは担当者が頻繁に交代する事があるので、そのタイミングによっては「間違って会社に送ってしまった」という事態が起こる可能性も否定できません。
要は、人的ミスや地域性もあるので、「普通徴収を選択すれば、必ずバレない」という訳ではないという事です。
副業が赤字の場合
次が「副業が赤字の場合」です。
仮にアナタが副業の申告を「事業所得」で申告していた場合、その事業において赤字が発生すると、他の所得と損失分を相殺することが出来ます。これを「損益通算」といいます。
という事は、アナタの本業が会社員であれば、そこから発生する給与所得と副業の事業所得を損益通算でき、所得税の払い戻し(還付)を受ける事ができるという訳ですね。
しかしここで注意が必要なのが、同時に住民税の税額も減るという事です。
もうお分かりですね?そうです。この結果、本業の会社へは、通常考えられる税額より「かなり安い住民税の通知が届く」事になるという事です。
これは、副業が黒字の場合でも同様の危険性があります。
副業が黒字で、しかも普通徴収を選択していれば、住民税の請求は自宅に届くことになり、何も問題無さそうに思えますが、ここで注意が必要なのが「各種控除」です。
所得税には様々な控除がありますが、特に「住宅ローン控除」「寄付金控除」「医療費控除」などは、利用している方も多いと思います。こうした控除を利用すると、所得税が安くなるのは良いのですが、前述したように住民税も安くなる為、同様のリスクが発生してしまう事になるのです。
まとめ
「少しでも収入を増やし、生活にゆとりを持ちたい」「老後を考えて、少しでも貯金しておきたい」などなど、副業を始めようと考える理由は人それぞれだと思いますが、いずれの場合も、「本業あっての副業」という考えが根底にあるかと思います。
どういう事かと言うと、要は「収入は増やしたいけれど、本業を辞めてまでは考えていない」という事かと。
副業が認められている方なら心配はいりませんが、本業の会社で副業を禁じられている方は、会社にバレるリスクはゼロではないという事を認識しなくてはいけません。
安易にネットの情報を鵜呑みにせず、税理士などのプロに相談する事を強くお勧めします。
「事業を始めたけど、税金や会計がよくわからない」「相続が発生したけど、申告する必要はあるの?」となれば、多くの人は「税理士の先生に依頼したい、相談したい」と考える事でしょう。 しかし大抵の場合、「でも、そもそも税理士って …