「せどり」の確定申告は、注意すべき点がかなりある?

最近では「メルカリ」「Yahoo!オークション」が一般的となり、こうしたオークションサイトなどを利用して「せどり」を行っている人が増えてきています。

手軽でしかも「何でも売れる」ことから、会社員の副業としても人気が出てきていますね。

しかしこのせどりも、ある一定以上の収益が発生する場合には必ず確定申告をしなくてはならないのですが、その際に他のネットビジネスに比べて注意すべき点がかなり多いという事はあまり知られていないようです。

そこでこの記事では、せどりの確定申告を行う場合の注意点などについてお伝えしようと思います。

目次

「せどり」とは?

まずは、そもそも「せどりとは一体何なのか?」という事についてから見ていきましょう。

せどりを簡単に一言で表現するならば、「商品を安く仕入れて、高く売る」という行為をインターネット上で行うビジネスとなります。せどりという言葉が流行り始めた当初は、古本屋などで安く売られている書籍を購入し、それをAmazonなどのECサイトで販売する方法などが主流でした。

これだけ聞くと「古物商取引」となんら変わらないような気もしますが、最近では海外から新品の商品を安く仕入れ、それを日本で売るという人もいるようです(これを「ネット輸入ビジネス」と呼ぶ場合もあります)。ですから、必ずしも販売する商品は中古品だけという訳でもありません。

仕入れ先としては、メルカリやYahoo!オークションなどのオークションサイトがメインで、販売先としてはAmazonやYahoo!などのECサイトという事が多いですが、中には実店舗から仕入れて、自身で作ったサイトで販売する人もいるようですから、この辺は昔に比べて多様化していると言えるでしょう。

最近では前述したような「ネット輸入ビジネス」などと言う言葉も耳にするようになりましたが、こちらも「安く仕入れて高く売る」という事には変わりありませんから、広義の意味で言えばネット輸入ビジネスもせどりの一部だと言えるでしょう。

せどりの確定申告での勘違い

それでは次に、せどりの確定申告で勘違いしやすい点と、その対策についてもお伝えしていきましょう。

「申告しなくてもバレない」は嘘

まずは、「申告しなくてもバレないというのは嘘である」という事についてから。

これは当然と言えば当然の話だといえます。しかし世の中には、インターネット上にあるでたらめな記事を真に受けて、「確定申告をしなくてもバレやしない」なんて考えている人もいるようです。

しかし国税庁としては現在、「富裕層」「海外取引」「ネットビジネス」「無申告」を税務調査の重点項目としており、とくにせどりなどは「海外」「ネット」「無申告」に関連しますから、むしろ一般的なビジネスよりも税務調査の対象となる可能性が高いと言えます。

こちらに関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてみて下さい。

 

 

一定以上の所得があるのに、確定申告をしていなければ「無申告」として罰せられますし、むしろせどりのようなインターネットビジネスの方が、税務署は見つけやすいというのが事実なのです。

例えば税務調査において、自分でさえ忘れていたようなECサイトのIDを、調査官が知っていたというのはよくある話です。インターネットを利用した取引というのは、必ず記録が残りますから、国税からすれば一般的な調査よりも実は簡単なんですよね。

基本的に確定申告をする際の所得のラインとして、「所得が20万円を超えた場合」というのはよく聞く話だと思いますが、場合によっては20万円以下でも確定申告をしなくてはいけない事もあります。

この辺も勘違いしやすい部分ですから、詳しくはこちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

日用品の販売で得た利益は申告しなくても良い?

そして次が、「日用品の販売で得た利益は、申告しなくても良い」という事について。

こちらに関しては、確かにその通りで、法律において以下のように明示されています。

自己又は、その配偶者その他親族の生活用動産の譲渡による所得は課税されない。ただし、次のものは除く。

貴金属、書画、骨とう、宝石などで、1個又は1組の価額が30万円を超えるもの、及び生活に通常必要でない動産の譲渡による所得。

上記を簡単な言葉で説明すると、「自分や家族が普段の生活において利用している物を販売して、仮にそれで利益が出たとしても、その利益に対して税金はかかりませんよ。ただし、時計や宝石などの高額品で、販売価格が30万円を超えているものに関してなどについては話が別ですよ」という事になります。

ですから、例えばメルカリなどで日用品を販売して利益が出ていたとしても、それが上記の制約内のものである限り、課税はされないという事になります。という事は、確定申告も必要ないという事になりますよね。

ただし、ここで注意すべき点として「反復継続しているか」という事が問題となります。

生活用動産という事は家庭で利用するものですから、ある程度の量が限られてきます。しかし、例えばメルカリで販売するための商品を倉庫まで借りて保管するとなれば、それは「反復継続している」事業として見なされる可能性が高いと言えます。

また、せどりだけで生計をたてられるような規模となれば、税務署としては間違いなく「ビジネスである」と判断しますから、「生活用動産の販売だから、確定申告はしなくても良い」と安易に考えないようにしましょう。

せどりの確定申告における注意点

それでは次に、実際に確定申告を行う際に注意すべき点についても見ていきましょう。

雑所得と事業所得の判断

まずは「雑所得と事業所得の判断」について。

せどりとして確定申告する場合には、雑所得か事業所得のいずれかで申告する事になります。インターネット上には「事業所得の方がお得」「青色申告にすれば更に良い」などといった情報で溢れており、それを鵜呑みにする人もいるようですが、実際にはそんなに簡単な話ではありません。

確かに、事業所得で申告すれば他の損失と損益通算出来たりとお得な事が多いですが、税務調査において「あなたの事業は事業所得ではなく、雑所得で申告すべきです」と指摘されれば、そこから遡って計算をやり直さなくてはなりません。

あくまで申告時においては、税務署は「確かに、事業所得として受け取りましたが、実際の判断は税務調査において行いますよ」というスタンスなのです。

この辺について詳しく書くと長くなりますので、詳細についてはこちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

 

この事業所得か雑所得かの判断はとても難しく、税理士でも頭を抱える事が多いようですが、例えば「専業でせどりをやっている」という方であれば事業所得で申告しても問題ないでしょうが、会社員の副業としてならば、雑所得として判断されることの方が多いと言えるでしょう。

実際に事業規模が大きく、事業所得として申告しても問題なさそうな場合でも、税務調査において否認されることは結構あるようです。事実、給与と同額程度の所得があるのにも関わらず、国税不服審判において事業所得として認められなかった事例もあります。

ですから、この「事業所得か雑所得」というのは、自分で安易に判断せず、税理士などのプロに相談する事をお勧めします。

事業と個人のIDを分けて使う

そして次が「事業と個人のIDを分けて使う」という事。

仮にせどりを本業にしているとしても、場合によっては個人の生活用動産を販売する事もありますよね。生活用動産を販売して得た利益は、前述したように確定申告をする必要がありませんから、ここはキッチリと分けておいた方が良いでしょう。

そこで有効な方法が「IDを使い分ける」という方法です。

例えばメルカリやYahoo!オークションなどで出品する場合、個人と事業の双方で同じIDを使用していたら、どれが個人のものでどれが事業用なのかが分からなくなってしまいます。

また、税務調査があった場合に、たとえ個人の生活用動産として売却したものでも、事業用IDを使用していたら税務署としては「これは事業で得た利益ですよね」と突っ込んでくるかと思います。

そこで口頭で説明したとしても、あまり説得力もありませんから、それであれば最初からIDを使い分けておいた方が信ぴょう性もありますよね。

少し面倒に感じるかもしれませんが、こうした事前の対策というのはかなり重要となります。

商品管理データの整理

そして次が「商品管理データの整理」について。

せどりの確定申告において一番面倒なのが、この商品管理データの整理だと言えるでしょう。特に大規模な運営を行っている場合には、取り扱う商品数も膨大な数となりますから、確定申告時に慌てて整理しても「思い出せない」なんて事態も起こりえます。

ですから、手書きでもなんでも良いですから、定期的にデータの整理を行っていた方が良いでしょう。

売上の集計は、Amazonなどのプラットフォームを利用していれば簡単にデータを出力できますし、仕入れの集計もクレジットカードなどの利用履歴などを確認すれば、そこまで難しくないと言えます。

ただ問題となってくるのが、期末における「在庫」の集計と、「不良在庫」の集計かもしれません。

どちらも売り上げにはなりませんから、確定申告時に勘定科目を変更しなくてはならず、これは経理初心者であれば少し難しく感じるかもしれません。また、海外取引を行っている場合などは、為替の関係もありますから、更に取り扱いが難しくなります。

 

 

この対策としては、簡易なものでも構いませんから、可能な限り「会計ソフト」を利用したほうが良いと言えるでしょう。

クラウド会計ソフトの中には、無料で利用できるものもありますから、宜しければこちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

家事按分の計算

そして次が「家事按分の計算」について。

事務所を借りてせどりの事業を行っているなら問題ないと思いますが、中には自宅で行っているという人もいるかもしれませんね。

そこで問題となってくるのが、事業と個人で利用した費用の按分(あんぶん)です。

インターネット上を見ると「6割までは認められる」とか、「4割だったらギリギリ」などといい加減な情報で溢れかえっていますが、実はこれには正解というものはありません

ちゃんと証明できる資料があれば6割でも認められる場合もありますし、逆に4割でも認められないこともあります。ですからここは、税理士とよく相談した上で決める必要があります。

家事按分として計算する必要がある代表的なものとしては以下の通り。

家事按分費用
  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • クレジットカード年会費
  • 車両費
  • 修繕費

このうち、家賃などは事業用に使用している部屋面積などから比較的簡単に按分する事が可能ですが、水道光熱費や通信費などは少し迷うところかもしれません。

実際にどの程度の利用頻度があるのかなどを考慮して、税理士と相談しながら按分比率を決定するようにしましょう。

その他注意事項

そして最後に「その他注意事項」という事で、上記以外に注意すべき点をいくつか挙げておきたいと思います。

その他注意事項
  1. 売上、経費の「期ズレ」に注意
  2. 仕入税額控除の要件を確認
  3. インボイス方式導入による影響

どれも税額に影響を及ぼす項目ですから、しっかりと税理士などに確認するようにしましょう。

特に上記2と3に関しては、消費税の課税事業者の場合、消費税負担額が増える可能性があるので、事前に対策を練っておく必要があります。

せどりの確定申告は、出来るだけ税理士に依頼する

せどりの確定申告自体は、ある程度の会計知識があればそれほど難しくは無いのですが、会計初心者の方であれば出来るだけ税理士に依頼した方が良いでしょう。

特に、大規模な運営を行っている場合には、簡単に「消費税課税事業者」となってしまいますから、消費税の申告まで素人が行うとなれば、かなりハードルが上がります。ですから、初めは会計ソフトなどを利用して自分で確定申告を行いつつ、事業が拡大してきた時点で税理士に依頼する事を検討しましょう。

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税理紹介サイトについて更に詳しく知りたいという方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

また、これ以外の方法で税理士を探したいという方は、こちらの記事もご覧になってみて下さい。