日商簿記がネットで受験できる?2021年度からの新試験方式を解説

既にご存じの方も多いと思いますが、2020年の12月から、ネット上で日商簿記の2級・3級の受験が出来るようになりました(日商簿記1級は対象外)。

以前から日商簿記検定は、ネット試験に移行する予定ではありましたが、今回の新型ウイルス感染拡大の影響もあり、それを少し前倒しにしたようですね。

2021年度からの日商簿記検定は、この他にも「団体試験」といった新しい試験方式も導入されるため、これまでより受験の選択肢が広がります。

そこでこの記事では、日商簿記がこれからどのように変わるのか、また従前の方式とはどう違うのかなどについて解説していきます。

2021年度からの日商簿記の受験方法

これまで日商簿記2級と3級は、年3回のペーパー試験(統一試験)のみの開催でしたが、2021年度からは、以下の3通りの方法で開催されることになります。

2021年度以降の試験方法
  1. 統一試験 - 従前どおりのペーパー試験
  2. ネット試験 - 2020年12月~
  3. 団体試験 - 2021年7月~

冒頭でもお伝えしたように、すでにネット試験は前倒しで導入されていますが、今後は団体試験も加わり、更に受験の選択肢が広がります。

それでは次に、それぞれの試験内容の詳細について見ていきましょう。

統一試験(ペーパー試験)

まずは「統一試験」についてから。

こちらは従前どおりの試験で、2級と3級は年3回、1級は年2回の開催、試験期日は6月、11月、2月(1級は6月と11月)となっており、全ての級が同日開催となっています。

日商簿記1級に関しては、後述する「ネット試験」「団体試験」において開催されませんから、この統一試験を受験するしかありません。

また、2021年度試験からの変更点として、以下の内容が盛り込まれます。

2021年度試験からの変更点
  • 2級の試験時間:120分⇒90分へと変更
  • 3級の試験時間:120分⇒60分へと変更
  • 3級の問題数 :5題以内⇒3題以内へと変更
  • 試験終了時に、「答案用紙」「試験問題」「計算用紙」を全て回収

こうしてみると、統一試験においてもかなりの変更点がある事が分かります。

特に、「試験問題」「計算用紙」をすべて回収するとありますから、この点はこれまでとは全く異なりますよね。これは、ネット試験や団体試験を並行して開催するため、試験内容の漏洩対策として行われるのでしょう。

一見すると、2級と3級の試験時間が短くなっているため、難易度が下がるかのようにも思えますが、それに伴って問題数が激減している訳ではありませんので、これまでより簡単になるという訳ではありません。

むしろ、これまで以上にひとつの問題に使う時間配分が重要となりますから、「早く解く」というトレーニングが重要となってきます。

 

ポイント

  • 試験開催日はこれまで通り、2・3級は年3回(1級は年2回)
  • 開催月は6月・11月・2月(1級は6月・11月)
  • 試験時間は2級が90分、3級が60分へと変更(1級は90分+90分のまま)
  • 1級受験は統一試験のみ
  • 試験終了後は、全ての用紙を回収
  • 難易度が下がる訳ではない

ネット試験

次が「ネット試験」について。

テストセンターと呼ばれる各地のネット試験会場において、「パソコンを利用してインターネット上で受験する方式」がこのネット試験となります。あくまで、指定されたネット試験会場においてのみの受験となりますので、自宅で受験できる訳ではない事に注意が必要です。

このネット試験会場は全国各地にあり、基本的に満席になっていない限り、平日でも受験する事が可能です(ただし、開催していない日もあります)。

また注意点として、ネット試験会場は47都道府県すべてに設置されているのですが、東京などの大都市圏や、北海道などの面積の広い都道府県以外の場合、1県に1箇所しかないという事もありますので、その辺は公式HPなどで確認するようにして下さい。

詳細については後述しますが、以下がネット試験の概要となっています。

ネット試験の概要
  • 2級と3級のみ受験可能(1級は不可)
  • 2級出題形式:CBT多肢選択式+記述式5問以内
  • 3級出題形式:CBT多肢選択式+記述式3問以内
  • 試験時間 :2級90分、3級60分
  • 申込方法 :インターネット受付のみ
  • 合格基準 :どちらも70点以上
  • 結果発表 :どちらも即日判定
  • 合格証  :デジタル合格証

上記を見ると、試験内容などは統一試験とほぼ変わりありませんが、試験結果が「即日判定」となる事と、合格証が「デジタル合格証」となる点はこれまでとかなり異なりますよね。

平日に受験でき、さらに合否も当日に分かりますから、例えば転職における履歴書に急いで載せたいなどと考えている人には便利なシステムだと言えます。

 

ポイント

  • 1級は受験不可
  • ネット試験会場のみでの受験(自宅は不可)
  • ただし、試験会場がどこにでもある訳ではない
  • 試験内容、合格基準などは統一試験と同様
  • 試験終了時には、計算に使用した用紙も回収
  • 受験日は一定の日を除いてほとんど開催
  • 合否は即日判定
  • 合格証はQRコードから読み込む「デジタル合格証」

団体試験

そして最後が「団体試験」について。

この団体試験は2021年の7月からスタートするシステムですから、現時点(2020年4月)では詳しい内容はあまり分かっていません。詳細については後日お伝えしようと思いますが、ここでは現時点で分かる範囲内でお伝えします。

団体試験とは、企業や学校などが主催者である商工会議所に申請し、自社の従業員や生徒などを一度に受験させる方法となります。

要は、「自社の従業員に簿記検定を推奨したい。それなりの人数が集まりそうだから、どうせなら自社で試験を開催しようか」と考えている企業や学校向けの受験方式という事なります。

受験できるのは2級と3級のみとなっており、やはり1級は統一試験のみの受験となります。また、試験は統一試験と同じく「ペーパー試験」となっています。

受験料や試験時間、合格基準については、他の試験方法と同様となります。

各試験方法の比較

それでは上記3つの試験方法について、各項目ごとに比較してみたいと思います。

統一試験ネット試験団体試験
1級受験料7,850円(税込)
2級受験料4,720円(税込)4,720円(税込)4,720円(税込)
3級受験料2,850円(税込)2,850円(税込)2,850円(税込)
開催日年3回(1級は2回)ほぼ毎日設定した日
試験方式ペーパーPC・ネットペーパー
合格発表数週間後即日数週間後
合格証紙媒体デジタル合格証

※団体試験の合格証は、分かり次第お伝えします。

上記を見ると、受験料はどの試験方法を選択しても同額である事が分かります。

前述した通り、試験時間や難易度はどの試験方式でも変わりありませんから、利便性を考えると、今後はネット試験を受験したほうが良いのかもしれませんね。

ネット試験の申込方法

日商簿記検定のネット試験は、これまでのように各地の商工会議所が開催するわけではなく、商工会議所から委託を受けた「株式会社CBTソリューションズ」という会社が運営するサイトからの申し込みとなります。

ネット試験の受験の流れとしては以下の通り。

  1. CBT-Solutionsのサイトにて、ユーザーIDとパスワードを取得。受験者専用ページが出来るので、そこから申込やキャンセルなどが行えるようになる。
  2. 受験者専用ページ(マイページ)から、希望の日時、開催日などを選択し、空席のある日時から受験日を選択。受験日は、申し込みの3日目以降から選択可能。
  3. 試験当日、本人確認書類や電卓などを持参のうえ、5分前までに入室。それぞれのパソコン前に着席し、試験スタート。
  4. 試験終了後、即時に合否判定。試験のスコアレポートを受け取り試験終了。

申し込み自体がネット上で完結するため、これまでのように受験票は不要となります。ですから当日は、本人確認書類と電卓のみの持参となります(筆記用具、計算用紙は現地で配布)。

詳しくは、CBT-Solutionsの公式サイトにてご確認ください。

日商簿記「新試験方式」の不安なところとその対策

この新試験方式は、例えばネット試験であれば「ほぼ毎日試験が開催される」という事や、「合否判定が即日でわかる」という事など、メリットばかりにも思えますが、初めて受験する人からすると、少し不安に思う事もありますよね。

そこで以下において、多くの人が不安に思うことやその対策などについてお伝えします。

履歴書の資格欄に記載できるのか?

まずは「履歴書の資格欄に記載できるのか?」という事について。

以前の試験に比べ、試験時間が短縮されていますし、試験問題数も少なくなりますから、これまでと同様に履歴書の資格欄に「日商簿記〇級合格」と記載できるのかと不安に思う人もいる事でしょう。

この辺については商工会議所も「これまで通り、履歴書にご記載いただけます」としています。

試験時間が短くなったとはいえ、試験ボリュームが著しく減ったという訳ではありませんから、むしろ以前より簡単ではなくなったと考えるほうが適切でしょう。

ただし注意点として、例えばネット申込時において氏名や生年月日を誤って記入すると、その内容が合格証にも反映しますから、この点は十分注意する必要があります。

紙媒体の合格証は貰えないのか?

そして次が「紙媒体の合格証は貰えないのか?」という事について。

基本的に、統一試験の場合には紙媒体の合格証となりますが、ネット試験の場合にはデジタル合格証のみの発行となります。

しかし場合によっては、勤務先の会社などから紙媒体の合格証の提示を求めらる事もあるかもしれません。そうした場合には、各地商工会議所において、紙媒体の合格証を発行してもらえますから安心してください。

ただし、紙媒体の合格証発行には手数料が発生しますので、その辺はご注意ください。

試験対策がこれまでとは違ってくるのか?

そして最後が「試験対策がこれまでとは違ってくるのか?」という事について。

この点については何とも言えないところですが、確かにネット試験対策などはこれまで通りの試験対策では合格は難しいでしょうし、統一試験自体も2級と3級は試験時間も変更となりますから、ある程度の見直しは必要であると言えるでしょう。

また、試験終了時において、解答用紙だけでなく試験用紙や計算用紙も回収しますから、以前のように「過去問対策」というのも行いにくくなりますよね(ただし、1級においては、後日HP上で試験内容を掲載します)。

ですから今後しばらくの間は、独学での合格は少し難しくなるかもしれません。

何度か試験が繰り返されれば、各教材販売会社としても試験の傾向が見えてきますから、テキストも充実してくるものと思われますが、当面は大手の資格スクールなどを利用したほうが無難だと言えるでしょう。

しかし現状において、例えばネット試験対策に取り組んでいるスクールはそれほど多くはありませんから、その辺は慎重に選別する必要があります。

現在、日商簿記検定のネット試験対策に取り組んでいるスクールは以下の通り。

 

 

当面の間、日商簿記検定の試験対策で悩んでいる方は、上記いずれかのスクールで対策を行うことをお勧めします。

それぞれのスクールの特徴などについては、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

その他注意事項

新試験制度の内容は以上となりますが、試験制度改定により、その他何点か注意しておくべきことについても触れておきます。

その他注意事項
  1. 試験問題の内容や感想などを、SNSやブログ、YouTubeなどで発信してはいけない。
  2. ネット試験におけるそろばんの持ち込みは不可。
  3. ネット試験において、身分証明書と電卓、時計は必ず持っていこう。

まず上記1の「SNSやブログなどに・・・」とありますが、これは当たり前と言えば当り前なのですが、最近の風潮なのか平気で試験の情報を掲載する人がいるようです。

これが発覚した場合、合格取り消しなどにもなりますから、絶対にこうした事は避けましょう。

次に「そろばんの持ち込みは不可」とありますが、これはネット試験のみですから統一試験においては禁止されていません。

そして最後の「ネット試験において、身分証明書と電卓、時計は必ず持っていこう」とありますが、統一試験とは異なり、ネット試験は受験票がありませんから、本人確認は身分証明書でしかできません。

ですから、これが無いと試験が受けられないので、忘れずに持っていきましょう。身分証明書の種類は、こちらでご確認ください。

また、商工会議所のHP上には「持参するもの」として時計は記載していないのですが、簿記検定は時間との戦いになりますから、出来るだけ時計は持参するようにしましょう。

もちろん、ネット試験はパソコンを使うため、パソコン上の時計を確認すれば良いだけなのかもしれませんが、万が一という事もありますから、準備はしておいた方が良いと言えます。