【日商簿記】第153回(2019年11月開催)の1級・2級・3級合格発表の結果

先日、2019年11月17日(日)に行われた「第153回日商簿記検定1級、2級、3級」の合格発表がありました。

2級と3級の合格発表は2019年中に行われましたが、今回、1級の合格発表もあり、ようやく第153回の結果が出揃った事になります。

この記事では、今回(第153回)の日商簿記検定1級、2級、3級の「受験者数」「合格率」などを過去のデータと比較しながらお伝えしようと思います。

目次

各級の受験者数の推移

まずは「各級の受験者数の推移」から。

上のグラフを見ると、各級共に多少の変動はありますが、毎回同程度の受験者数で推移していることが分かります。

概ね3級は「8万人前後」、2級は「5万人前後」、1級は「7千人前後」となっています。

3級受験者数を中心として見ると、「2級は3級の約半数」「1級は3級の1割程度」の受験者数であり、いかに3級受験者が多いかが分かります。

ちなみに、毎年2月の試験においては、1級の試験がない事にご注意ください(1級の試験は、6月と11月のみ開催)。

日商簿記3級の受験者数と合格率

それでは次に、日商簿記3級の受験者数と合格率について見ていきましょう。

上のグラフを見ますと、ここ数年の日商簿記3級の合格率は40%台で推移していることが分かります。

今回(第153回)の合格率は「43.1%」であり、平年並みと言ったところですが、前回・前々回に比べると、かなり合格率が低下していることが分かります。

しかし、前回・前々回の合格率は50%台でしたから、逆に言えばこちらが異常なほど高かったと見るべきでしょう。

今後、日商簿記3級を受験する方は、「概ね40%台の合格率で推移している」と覚えておけば良いかと思います。

日商簿記2級の受験者数と合格率

次に、日商簿記2級の受験者数と合格率についても見ていきたいと思います。

上のグラフを見ると、日商簿記3級とは異なり合格率の乱高下が目立ちますね。この理由としては、日商簿記検定の「試験内容の改定」が考えられるでしょう。

ここ数年、日商簿記検定は実体経済の変化などから、簿記検定の試験内容と実務との乖離を無くすため、毎年試験内容の改定を行ってきました。毎年、6月開催の試験から適用されるため、上のグラフを見ると分かりますが、6月時試験の合格率で大きい変化が見て取れます。

2級に関しては、2017年、2018年とそれぞれ改定され、「2017年は合格率が上昇」「2018年は合格率が下降」といった現象を起こしました。2019年度の2級における改定はありませんでしたが、日商簿記3級に改定が加えられ、それに伴い多少の影響があったようです。

これが原因かどうかは分かりかねますが、2019年6月の試験において合格率が20%台へと回復し、今回の日商簿記2級の合格率は「27.1%」となりました。

今後は改定の予定もありませんから、当面はこの程度の合格率で推移するのではないでしょうか。

2級と3級の合格率の比較

次に、日商簿記2級と3級の合格率を比較してみたいと思います。

2016年あたりまでは多少の連動性がありましたが、ここ数年は全くと言って良いほど両者の合格率に関連性は見受けられません。

やはり先ほどもお伝えしたように、その理由として、ここ数年の「試験内容の改定」が影響していると考えられます(3級の改定は2019年6月から)。

とは言え、同じように改定があったとしても、3級の合格率自体はあまり影響を受けていないようですから、3級を受験される方はそれほど心配する必要もありません。

むしろ、2級はこの試験改定で「良くも悪くも」影響を受けやすい試験だという事が分かります。

日商簿記1級の受験者数と合格率

それでは次に、日商簿記1級の受験者数と合格率についても見ていきましょう。

今回(第153回)の合格率は「9.8%」となっています。

第149回開催分を見ると、合格率がかなり突出していることが分かりますが、それ以外は大体9%台で推移している事が分かります。

これは、日商簿記1級の試験自体が「相対評価試験」である事に原因があるでしょう。

相対評価試験とは、簡単に言えば「受験生全体の〇%が合格するように調整されている試験」ということであり、主催者側によって合格率が調整されているという事です。

とは言え、第149回に関しては、この「合格率の調整」を行っても平年を大きく上回っていますから、こちらも「試験内容の改定」が影響しているのかもしれません。

これをどう捉えるかは人それぞれでしょうが、ある意味こうした「試験内容の改定」は、受験生にとってチャンスとなり得る場合もあるという事ですね。

合格者が考えるべき事は?

合格された方の中には、「もう、精いっぱい頑張って結果も出たし、しばらく勉強はいいや」なんて考えている方もいるかもしれませんね。

合格の余韻に浸りたいところでしょうが、ここで、合格された方が「出来るだけ早めに考えておいた方が良い事」などについてお伝えしておきます。

上位の試験勉強を開始する

まずは「上位の試験勉強を開始する」という事。

「えっ?また勉強?」と思うかもしれませんが、これには理由があります。

簿記検定というのは、数ある資格試験の中でも「一度合格すると、上位の資格が取りやすくなる」という特徴があります。

仮に今回3級に合格されたのであれば、この勢いで2級を目指すと、比較的簡単に合格できると言えます。

2級に合格したのであれば1級を・・・と言いたいところですが、1級は2級に比べ格段に難しくなりますから、そこまで無理をしなくてもいいのかもしれません。

ただ、この「勢い」というのは本当に大切ですから、1級は無理でも「全経上級」くらいは目指してもいいのではないでしょうか?

今回の試験を「独学」で合格されたのか「スクールに通って」合格されたのかはわかりませんが、よろしければこちらの記事も参考にしてみて下さい。

独学で次も頑張りたいという人はこちら。

資格のスクールを検討している方はこちら。

勤務先の「資格手当」を確認する

次に考えて頂きたいのが「勤務先の資格手当を確認する」という事。

せっかく頑張って合格したのですから、利用できるものはドンドン利用しましょう。

中には、「ウチの会社、そんな制度ないんだよなぁ~」なんて言う人もいるかもしれませんが、意外と知らないだけで、調べてみたら「あった!」なんてのはよくある話です。

特に、日商簿記検定は多くの企業が自社の社員に取得を推奨している資格ですから、月々の手当てはなくとも、「一時金」を支払う事もあるようです。

ですから、一度は確認してみましょう。

他の資格取得も検討してみる

そして次が「他の資格取得も検討してみる」という事。

資格試験というのは不思議なもので、一度合格するとその勢いで次々と合格するという傾向があります。

これは同じ簿記検定だけでなく、全く分野の違う試験を受験してもその傾向があるのですから不思議です。

資格試験に合格する事は、ある意味「テクニック」でもありますから、一度合格できる学習方法が身に付けば、それをいくらでも転用できるという事でしょう。

「そうは言っても、どんな資格が良いのか分からない」という方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

転職も視野に入れる

そして最後が「転職も視野に入れる」という事。

現在の勤務先に満足しているのであれば問題ありませんが、「不満がある」とか「現在無職である」という人は、「転職・就職」を検討してみても良いかもしれません。

特に日商簿記2級に合格したのであれば、求人企業数も多くなりますから、一度「転職サイト」を覗いてみるだけでも価値はあると言えるでしょう。

ただ、3級合格であればそれほど求人企業も多くはありませんので、まずは2級合格を目指した方が良いかもしれません。

宜しければ、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

不合格者が考えるべき事は?

残念ながら今回不合格だった方は、「しばらく、そっとしておいてほしい」というのが本音かもしれませんね。

確かにその気持ちも分かりますし、無理をして勉強を再開する必要もないかと思います。

ただ、日商簿記の2級と3級の試験は、ほぼ4ヶ月ごとに開催されますから、あまり深く考えず「また、次がある」程度で捉えたほうが気が楽だと思います。

「そうは言っても何とかしたい」という人もいるでしょうから、そんな方々の為に、いくつか「考えるべき事」についてお伝えしようと思います。

勉強方法を見直してみる

まずは「勉強方法を見直してみる」という事。

「勉強方法の見直し」と言っても、その内容は人それぞれ異なってくるかと思います。

例えば「試験時間内に解答用紙に書ききれなかった」という方は、学習時に時間配分を意識しながら勉強する事が必要ですし、または「そもそもの勉強方法」を見直さなくてはならないのかもしれません。

一般的に日商簿記の試験となると、「独学」の方が多いと思います。

確かに「少しでも費用を抑えたい」という気持ちも分からなくはありませんが、これには「向き・不向き」がありますので、いっその事「資格の学校」で学習したほうが結果的に安く済ませる事が出来る場合もあります。

また逆に、資格の学校が向いていないという人もいるため「どちらの方が合格しやすい」とも言い切れません。

ですから例えば、「ずっと独学でやってきたけど、どうしても合格出来ない」という人は「資格の学校」を検討すべきですし、「学校に行っても合格出来ない」という人は、独学を検討したり、または現在「eラーニング」で学習しているのであれば「通学」を検討するのも良いでしょう。

資格のスクールの選び方などについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

また、教育訓練給付金という制度を利用すれば、かなり講座費用を抑える事が出来ますから、そちらを検討するのもひとつかもしれません。

簿記以外の資格も検討してみる

次が「簿記以外の資格も検討してみる」という事。

前述しましたが、何事にも「向き・不向き」というものがあるため、簿記検定が「そもそも肌が合わない」という人もいます。

そういった場合、いくらやっても苦しいだけですから、簿記検定を受けないという事も選択肢のひとつです。

逆に、「他の試験を受けたら合格した」という事もあり得ますから、一度ここで目標を変えるのも効果的かもしれません。

また、「他の試験合格後、再度簿記検定を受けなおしたら合格した」という人もいますから、世の中、何がきっかけになるか分からないものです。

他の資格を検討するのであれば、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

まとめ

次回の日商簿記2級・3級の試験は、2020年2月23日(日)となっていますから、受験される方はこれからまた頑張ってください。

なお、次回の日商簿記検定1級の試験は、2020年6月14日(日)に開催され、全経上級の試験は2020年2月16日(日)の開催となっています。