
以前の記事税理士試験合格に必要な勉強時間、合格基準は?では、税理士試験合格まで要する学習時間についてお伝えしました。
税理士試験合格まで必要とされる、一般的に言われている学習時間としては、「2,500時間」などと言われていますが、当サイト管理人の調べたところ、実質的には「5,100時間」くらい必要ではないかという結果になりました。
この学習時間が長いと感じるかどうかは、人によって判断の分かれるところでしょう。
どうしても税理士になりたいのであれば、弁護士や公認会計士の試験に合格することで税理士になるルートもあるので、どちらが効率的かという悩みもあるかと思います。
そこで今回、弁護士や公認会計士を中心とし、他の士業の試験合格まで必要となる学習時間について調べてみたいと思います。
目次
ネット上に書かれている学習時間は参考程度に
まず、現在ネット上には様々な情報で溢れていて、正直どれが正しいのかがわかりませんよね。
ですから、当サイトも含め、あくまでも参考程度にした方が良いでしょう。
実際、学習する本人の能力によって学習時間も変わってきますし、特に、ネットに載っている学習時間の情報は、資格の専門学校が掲載している学習時間を参考にしている事が多いようです。
各専門学校共に、嘘の情報は流していないと思いますが、現実との乖離は多少あるようです。
ただ、当サイトは、税理士についての情報を主題にしていますし、また実際に合格している税理士の方にインタビューしているので、上記の5,100時間という情報は、あながち的外れではないと思います。
一般的に有名な難関資格の学習時間
世間的に「難関資格」といえば、弁護士、公認会計士、司法書士などが有名だと思います。
この他にも「医師」が思い浮かぶと思いますが、医師になるためには医学部に進学しなくてはならないので、ここでは取り上げない事とします。
また、その他に社会保険労務士や行政書士、宅建士なども社会人に人気のある資格として有名ですね。これに税理士を加え、それぞれ合格まで必要となる学習時間について見ていきましょう。
ネット上の情報
まず、ネット上で記載されている学習時間から。
最短 | 最長 | 目安 | |
---|---|---|---|
弁護士 | 3,000時間 | 10,000時間 | 6,000時間 |
公認会計士 | 3,000時間 | 5,000時間 | 3,000時間 |
税理士 | 2,500時間 | 5,000時間 | 3,000時間 |
司法書士 | 3,000時間 | 5,000時間 | 3,000時間 |
社会保険労務士 | 400時間 | 1,000時間 | 1,000時間 |
行政書士 | 400時間 | 1,000時間 | 600時間 |
宅建士 | 300時間 | 700時間 | 400時間 |
上記はあくまでネット上で記載されている情報です(資格のスクールなどが記載している数値がメインとなっています)。
税理士に関して言えば、最長の学習時間が5,000時間というのはありえない情報です。実情で言えば、最長10,000時間が現実的でしょう。
ただし、社会保険労務士、行政書士、宅建士に関しては妥当な時間かもしれません。
試験範囲、難易度で考えると、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士は、勉強方法や個人の能力差が出やすい試験であるが故に、学習時間に大きな開きが出てくるのだと考えられます。
実際の学習時間は?
では、上記のデータを参考にしつつも、私が実際に見聞きした範囲で、合格までの学習時間をお伝えします。
ネット上の目安 | 当サイトの目安 | |
---|---|---|
弁護士 | 6,000時間 | 8,000時間 |
公認会計士 | 3,000時間 | 4,000時間 |
税理士 | 3,000時間 | 5,000時間 |
司法書士 | 3,000時間 | 4,000時間 |
社会保険労務士 | 1,000時間 | 1,000時間 |
行政書士 | 600時間 | 600時間 |
宅建士 | 400時間 | 400時間 |
上記は、実際に合格した方々からインタビューしたので、かなり現実的な数字だと思います。
確かに、現実的に言えばネット上に記載されているような短時間で合格した人もいるでしょうが、そんな人はほとんど稀と言っていいでしょう。あなたが自他ともに認める天才であれば話は別ですが、ほとんどの合格者は当サイトの目安程度で合格しているようです。
例えば、とある弁護士の方は、「1日6時間、毎日勉強して、3年ほどかかりましたので7,000時間くらいですかね~」と話しておられました。
ですから、「始めから7,000時間を目標」にしていた訳ではなく、「結果的に」7,000時間かかりましたよという事です。
また、とある司法書士の方は、「結果的に、合格まで6,000時間ほどかかりましたけど、途中、家庭のゴタゴタがあって集中できない時期があったので、実質的にはよくわかりません」とおっしゃる方もいました。
このことからも、やはりあくまで学習時間は一つの「目安」にとどめておく方が良いと言えるでしょう。
弁護士、公認会計士ルートは税理士登録に有効か?
税理士になる要件として、司法試験合格者はそれだけで税理士への登録が認められていますが、上記から考えると、わざわざ司法試験に合格してまで税理士になるという方法は、あまり効率的とは言えませんね。
ただ、実務的に弁護士の知識を会計に利用したいのであれば、考えても良いのかもしれません。実際に、当サイトでは弁護士の方が税理士に登録する様々メリットがあると考えていますし、それに関する記事も幾つかあります。
弁護士が転職を考える際、一昔前であればその候補先となるのは法律事務所であるのが一般的でした。 しかし近年では弁護士の転職先も多様化し、一般企業で働く「インハウスローヤー」や、外資系コンサル会社などに転職する弁護士なども増 …
元来、弁護士と言えば個人事業所が当たり前でしたが、2002年の弁護士法改正により弁護士も法人を設立する事が可能となりました。 これにより、数多くの弁護士法人が誕生しましたが、それでも依然として個人事業所の比率は高いままと …
ですから、弁護士が税理士に登録するというのは、完全に非効率という訳でもありません。
次に、合格までの学習時間の目安を見ると、税理士試験より公認会計士試験のほうが短時間となっています。という事は、どちらを選択しても結果的には税理士になれるのですから、公認会計士試験に合格する方がお得のように感じます。
ただ、実際にそう考える人が増え、公認会計士合格者の税理士登録者が急増したことから、法改正により、近年は無条件に登録することが出来なくなりました。
詳細は試験合格以外で、税理士になる方法の記事にて説明していますが、まだまだ未知数な部分が多いので、実際にはこの公認会計士ルートは完全に閉ざされたわけではありません。
公認会計士は税理士と同じ会計のプロとは言え、その試験内容は全くと言っていいほど異なります。
あなた自身の特性などを考えた場合、公認会計士試験の方が向いている場合もあるでしょうから、そこは専門学校などと相談し、効率の良い方法を選択された方が良いと言えるでしょう。