
現在、世の中には数多くの家計簿アプリがありますが、その中でも一番の人気を誇るのが、株式会社マネーフォワードという会社が展開している「マネーフォワードME」というアプリ。
このアプリは2012年にリリースされ、現在では1,000万人以上が利用する大人気のアプリとなっています。
基本的に、「家計簿が簡単に作れる」というコンセプトとなっていますが、このマネーフォワードMEは、使い方次第では家計簿以外にも便利に利用することが出来ます。
そこでこの記事では、マネーフォワードMEの基本的な使い方や、ちょっと工夫するだけで更に便利となる使い方などについてお伝えします。
目次
マネーフォワードMEとは?
まずは、マネーフォワードMEの基本的な情報についてから見ていきましょう。
前述した通りマネーフォワードMEは、株式会社マネーフォワードという会社が提供している家計簿アプリとなっています。このアプリをインストールすれば、自分の銀行口座やクレジットカードと連携することができ、その口座などの情報をリアルタイムでアプリ内で確認する事が可能となります(一部、手動で更新しなければいけない金融機関もあります)。
しかも、現金で支払った場合には、そのレシートをスマートフォンで撮影するだけで内容を読み込んでくれますから、これさえあれば自分の資金管理をすべてアプリ内で完結することが可能となります。
ですから、「自動家計簿アプリ」と呼ばれているのはここに理由があるからなのですね。
連携できる金融機関やサービスは、合計で2,600以上となっていますから、ほとんどの方の収入と支出を完璧に管理できると言えます。
ちなみに、このアプリの運営会社である株式会社マネーフォワードは、クラウド会計ソフト「マネーフォワードクラウド」も提供していることで知られ、この会計ソフトは税理士業界で今人気のソフトとなっています。
マネーフォワードMEの主な特徴
それでは次に、マネーフォワードMEの主な特徴について詳しく見ていきましょう。
代表的なものとしては、以下の4つが挙げられます。
- 数多くの金融機関やサービスと連携できる
- 基本は無料、有料版だと更に便利
- 簡単に家計管理や資産管理ができる
- 高度なセキュリティ機能
それではそれぞれについて見ていきましょう。
数多くの金融機関やサービスと連携できる
まずは、「数多くの金融機関やサービスと連携できる」ということについてから。
マネーフォワードMEで連携できる金融機関やサービスとしては以下の通り。
- 金融機関 - 銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンクなど多数
- クレジットカード - dカードやTカード、百貨店系カードも可能
- ポイント管理 - Tポイントやマイレージなどの管理も簡単
- 通販サイト - Amazonや楽天など多数
- 電子マネー
- 証券口座
- 投資信託
- 仮想通貨・FX・貴金属取引
- 携帯電話
- 年金
- その他、ふるさと納税など
前述した通り、現時点(2021年3月)で合計2,600以上のサービス等と連携することが可能となっています。
例えば銀行で言うと、メガバンクや地方銀行はもちろんの事、ネットバンクや信用金庫などとも連携できるため、給与の振込先がどこの銀行であってもほとんどの場合は対応できるようになっています。
一部の金融機関などでデータを手動で更新しなくてはいけない場合もありますが、基本的にはほとんどのサービスにおいてデータを自動で更新してくれるため、全くと言っていいほど手間がかかりません。
利用料は基本無料、しかし有料版だと更に便利
そして次が、「利用料は基本無料となっているが、有料版だと更に便利に使える」という事について。
基本的にマネーフォワードMEは、数多くの金融機関やサービス等と無料で連携することができ、家計簿の作成だけであれば無料版でも十分利用価値があると言えますが、有料版である「プレミアムサービス」に申し込むことで、更に便利な機能が利用できるようになります。
その内容を比較したものがこちら。
主な機能 | 無料会員 | 有料会員 |
---|---|---|
データ閲覧可能期間 | 過去1年分 | 制限なし |
連携可能数 | 10件まで | 制限なし |
グループ作成 | 1件まで | 制限なし |
一括更新 | × | 〇 |
マンスリーレポート | × | 〇 |
資産内訳・推移グラフ | × | 〇 |
負債内訳・推移グラフ | × | 〇 |
ポイント有効期限の通知 | × | 〇 |
引落し残高不足時の通知 | × | 〇 |
CSVダウンロード | × | 〇 |
出典:マネーフォワード
上記を見るとお分かりの通り、有料版に申し込むことで、自分のお金の流れだけでなく「資産内訳」「負債内訳」まで簡単に確認できるようになります。
ですから例えば、株式や投資信託などを組み合わせて「資産運用状況」をアプリ一つで確認する事も出来ますし、住宅ローンや不動産などを組み合わせて、実際の自分の資産規模を確認する事も簡単にできるようになります。
大抵の場合、株式や投資信託などは口座にログインして、それぞれのサイトごとで内容を確認する必要がありますが、マネーフォワードMEを利用することで、そうした煩わしさからも解放されます。
OSに関しては、「web版」「iOS版(アップル)」「アンドロイド版(グーグル)」のいずれかを選択でき、有料版の場合のそれぞれの費用は下記の通りとなっています。
サービス | 月額費用 | 年額費用 |
---|---|---|
web版 | 500円 | - |
iOS | 480円 | 5,300円 |
アンドロイド | 500円 | 5,500円 |
※ウェブ版の場合は、月額契約のみとなります。
ですから、「家計簿さえ作れれば良い」という人なら無料版で充分ですし、「資産形成に役立てたい」という人であれば有料版を利用したほうが良いと言えるでしょうね。
簡単に家計管理、資産管理ができる
そして次が、「簡単に家計管理、資産管理ができる」という事について。
前述したように、マネーフォワードMEは数多くの金融機関やサービスと連携できますし、更にその内容を自動的に更新してくれますから、一目で家計の資金状態を確認する事が出来ます。
カレンダー機能もありますから、「いつ、どこで、何に使ったか」というのも簡単に把握する事ができます。
更に秀逸な機能として「レシートのスマホ撮影読込」というものがあり、仮に現金で支払いを済ませたとしても、そのレシートを撮影するだけで現金の管理まで簡単に行えるようになっています。
レシート取り込み機能のイメージはこのような感じとなります。
操作方法もそれほど難しくはありませんから、これまで「家計簿を作るのが苦手だった」という人でも無理なく家計簿づくりが行えるようになります。
ただし、資産管理までしたいという人は、前述したように有料版の「プレミアムサービス」に申し込む必要がありますからご注意ください。
高度なセキュリティ機能
そして最後が「高度なセキュリティ機能」について。
このマネーフォワードMEのアプリを提供している株式会社マネーフォワードという会社は、もともと金融機関のシステムなどを構築していたプロフェッショナルが集まった集団ですから、セキュリティ機能においても国内トップクラスの実力を持ちます。
ここ数年、大手企業などのアプリにおいて「不正出金」などが問題となっていますが、マネーフォワードにおいてそういった被害は発生していません。
例えば現在、マネーフォワードではセキュリティ向上のため、以下のような取り組みを行っています。
セキュリティ対策
- 銀行振込時に必要な情報(例えばワンタイムパスワードなど)は利用者から預からない。
- IDやパスワードなどはすべて暗号化(2048bitのSSL証明書を利用)。
- 二段階認証を使用。
- パスコードロック、指紋認証を使用。
上記の内容は、ちょっとした地方銀行などよりも高度なセキュリティであると言えますから、かなり安心できますよね。
また、マネーフォワードにおいてはセキュリティ性の高さだけでなく、動作の安定性についても注目したいところです。
基本的に、アプリケーションやソフトウェアなどは、各社ともデータを保管するサーバーを利用することとなり、そのほとんどがクラウドサーバーとなっています。クラウドサーバーというのは基本的に安定しているとは言われていますが、稀にサーバーダウンを起こしてしまい、一定期間利用できなくなるなんて事も発生します。
しかしこの点マネーフォワードは、サーバーを分散して利用しているため、こうした被害も防止しやすいという利点があります。
この辺について詳しくは、こちらの記事もご覧になってみて下さい。
インストール型会計ソフトから、クラウド型会計ソフトへの移行を検討する際、多くの方が「セキュリティは大丈夫だろうか?」「動作の安定性はどうなの?」と、不安に思うかもしれません。 確かに、クラウド型会計ソフトは、銀行の口座明 …
マネーフォワードMEを更に賢く使う
上記の特徴だけでもかなり便利であることがお分かり頂けたかと思いますが、ここで更にマネーフォワードMEを賢く使う方法についてもお伝えしていこうと思います。
子供のお小遣い帳として利用する
まずは、「子供のお小遣い帳として利用する」という事。
日本人というのは海外に比べ、全般的にマネーリテラシーが低いと言われています。マネーリテラシーとは簡単に言えば、「お金に関する知識を持ち、その知識を上手に利用する人」という事になります。
そういった事もあり以前から「子供のころからお金の教育を」なんて事が叫ばれていますが、実際には一向に進んでいない状況です。
結局、各家庭ごとに子供に対してお金の教育をするしかないのですが、大抵その最初のステップとして「お小遣い帳を付ける」という方法を選択する事になるかと思います。
しかし、コツコツと続けられる子供さんなら良いのですが、往々にして子供というのは飽きっぽい場合が多く、結局は続かずに止めてしまったなんてご家庭もあるかもしれませんね。
そこでこのマネーフォワードMEを利用することで、日々のお小遣いの管理や自分のお金がどれだけ貯まっているのかを可視化できますから、ゲーム感覚でお金に対する意識も高まっていくと言えるでしょう。
勉強は嫌いでも、ゲームは得意というお子さんは多いですからね。
また更に言うと、最近ではジュニアNISAなどもありますから、早いうちから投資などに慣れておくことで、社会人になってからお金に対する意識が周りよりも高くなることが期待できます。
共働き夫婦の資産を共有する
そして次が、「共働き夫婦の資産を共有するために使う」という事。
結婚後、地味に悩むのが「夫婦それぞれが稼いだお金はどうやって管理するのか?」という事かと思います。それぞれの家庭によって考え方は異なるかと思いますが、結局は得意な方が管理しているというのが現実かもしれません。
しかし、結婚後には様々なイベントがあり、例えば「家の購入資金をどうするのか」とか、「子供の教育資金はどうするのか」などなど、実はお金について夫婦で話し合うべきことはたくさんあるのです。
効率よくお金を貯めるためにはお互い協力し合う必要がありますが、共働きとなるとどうしても「自分で稼いだお金は自分のお金」と考えてしまう傾向にあり、それがケンカの原因となってしまう事もありますよね。
そこでこのマネーフォワードMEを利用することで、夫婦の資産と家計の収支を一目瞭然にすることが可能となります。
もちろん、全ての資産を共有する必要もなく、例えば家計用の口座を作り、そこにお互いの給与を一定額入金し、支払いはそこからすべて賄うという方式でもいいかと思います。その際、マネーフォワードMEのIDとパスワードは共有にしておき、今月は一体どれくらい赤字なのか、何にどれくらいお金がかかっているのかなどをお互いに確認できるようにしておきます。
そうすることで、「このままじゃ少し厳しいから、お互いもう少し家計の口座に入れる必要があるね」とか、「家を購入するなら、いっそのこと全ての資産をお互いが見える化しよう」などと言った会話も生まれるでしょう。
ともかく、お金が原因による夫婦ゲンカというのは、数ある夫婦ゲンカの中でも一番多いと言われていますから、まずはマネーフォワードMEを利用して、簡単な家計管理から始めてみてはいかがでしょうか。
小規模事業者だったら会計ソフトと連携させる
そして最後が、「小規模事業者だったら会計ソフトと連携すれば更に便利」ということ。
前述したように、このマネーフォワードMEを運営している株式会社マネーフォワードという会社は、事業者向けの「マネーフォワードクラウド」というクラウド会計ソフトも展開しています。
このマネーフォワードクラウドは、数あるクラウド会計ソフトの中でも特に税理士に人気があり、最近ではこの会計ソフトを導入する会計事務所も増えています。
例えばあなたが個人事業主であれば、マネーフォワードMEを個人用として利用し、更に事業用においてマネーフォワードクラウドを利用することで、簡単にデータのやり取りを行うことが可能となります。
マネーフォワードMEで利用しているIDとパスワードは、そのままマネーフォワードクラウドでも利用できますから、一度MEでデータを取得してしまえば、会計ソフトで再度データを取り込む必要もなくなり、確定申告もかなり楽になると言えますよね。
ただし、それなりの規模の法人となると少し使い勝手が悪くなる場合もありますから、法人であればあくまでも一人社長などの「小規模事業者」限定とはなります。
マネーフォワードMEが使いこなせれば、確定申告はそれほど難しくありませんから、参考までに個人事業主の方などは、こちらの記事もご覧になってみて下さい。
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まとめ
如何でしたでしょうか。
マネーフォワードMEは、この記事で紹介している機能以外にも便利な機能がありますから、家計簿利用だけでなく、お金全般に関して非常に便利なアプリとなっています。
まずは無料版で試してみて、「これは使えそう」と感じてから有料版に移行してみるのも良いと思いますよ。
追記:2020年度の確定申告から、このマネーフォワードMEだけで確定申告まで完了できるようになりました。ただし、会計ソフト並みの機能は備わっていませんから、利用できるとすれば「副業の確定申告」「医療費控除の申告」程度となります。
興味のある方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
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