家計簿が作れるなら、確定申告なんてそんなに悩む必要はない

これまで会社員として働いていた人が、副業を始めたり独立したりする場合に避けて通れないのが「確定申告」ですが、多くの人がこれに苦手意識を持っているようです。

毎年正月が終わったころに、「あぁ、また確定申告の時期かぁ~」なんて、ぐったりしている人もいるかもしれませんね。

確かに昔であれば、売上や経費の集計、税金の計算などをすべて手作業でやらなくてはいけなかった為、それなりの労力を必要としましたが、近年ではパソコンに入力するだけですべて計算してくれるソフトも増えているので、そこまで難しく考える必要はありません。

むしろ、家計簿が作れるだけの能力があれば、確定申告なんて簡単に作れてしまいます

とは言え、そもそも家計簿を作るのが苦手という人もいるでしょうから、この記事では家計簿の考え方についてや、なぜ家計簿が作れれば簡単に確定申告書が作成できるのかなどについてお伝えしていこうと思います。

目次

家計簿の考え方

まずは、家計簿の考え方という事ですが、これは単純な話、毎月の「収入」「支出」を記入した帳簿を作り、自分のお金がどれくらい残っているのかなどを一目で確認できるようにするというものですよね。

もっと簡単に言えば、「自分のお金の流れを把握するための帳簿」という訳で、図にすると、以下の流れについて簡単に分かるようになるという事ですね。

 

 

ですから、あなたが仮に会社員であれば、毎月の給料と支払いを家計簿に記載して「今月は使いすぎたな」とか、「今月は結構お金が残ったな」という事を簡単に把握できるようにするというものです。

ここで、「わざわざ家計簿なんて作らなくても、現金の残高さえ把握しておけば大丈夫だよ」なんて言う人もいるかもしれませんね。

しかし最近では、クレジットカードなどを利用することも増えているでしょうから、現在は現金が残っているにしても、数か月後にはその支払いが発生するため、気が付いたらいきなり残高不足に陥ってしまっていたなんて事にもなりかねません。

クレジットカードとは、いわば「借金」のようなものですから、こうした事も事前に織り込んでおかないと後々大変なことになってしまいます。

そういった事に備えるという点においても、この家計簿というのは役に立つツールだと言えるでしょう。

また、毎月の収支だけでなく、自分は現在どれだけの資産を所有しているのかという事も分かりますから、将来的な備えという点においても家計簿を作るというのは重要だといえますよね。

確定申告の考え方

そして次が「確定申告の考え方」について。

確定申告も家計簿と同じく、「収入」と「支出」を計算するという点においては全く変わらず、こちらも簡単に言えば「事業のお金の流れを把握する帳簿」という事になります。

例えばあなたが「雑貨の販売」を行っているとすれば、商品を販売して手に入れたお金が「収入」となり、その商品の原価や送料、通信料などその他諸々の費用が「支出」となってきます。

ここで家計簿と少し異なるのが、収入から支出を引いて残った金額が「所得」となる訳ですが、この所得額に対して税金がかかることになり、厳密に言うと確定申告とは「税額を計算するための帳簿」という事になります。

お金の流れを把握するという点においては家計簿も確定申告も変わりはありませんが、「その目的が何なのか?」という点において違いが生じるという事です。

ですから確定申告の場合は、実際に手元に残るお金というのは確定申告書の計算通りとはならず、この辺が苦手意識が生まれやすい原因なのかもしれませんね。

家計簿と確定申告の違い

また、家計簿と確定申告の違いとして「複式簿記」を挙げる人もいるようですが、簿記に詳しくない人からすれば、「複式簿記って、会計の専門家がつけるあのややこしい帳簿でしょ」なんて考えるのかもしれません。

しかし、確定申告において複式簿記を利用することは少なく、あるとすれば「青色申告で、青色申告特別控除の55万円控除か、65万円控除を利用する場合」だけに限られてきます。

ですから、「白色申告」をする場合や、「青色申告で10万円控除」を選択する場合などは、この複式簿記を使用することはありません。

ちなみに、白色申告を選択しても青色申告の10万円控除を選択しても、簿記のレベルや内容などは全く変わらないのにも関わらず、青色申告をした方が様々な特典を利用できますから、どうせなら青色申告を選択したほうが賢いと言えますよね。

その辺について詳しくは、こちらの記事もご覧になってみて下さい。

 

 

つまり、青色申告の55万円控除や65万円控除を選択しない限りは、確定申告というのは家計簿を作る知識があれば簡単に作成できるという事になります。

確定申告書はネットで簡単に作成できる

ここまでお伝えしても、「そうは言っても、確定申告書って色んな項目を埋めなきゃいけないし、税金の計算だって難しいよね・・・」と考える人もいるかもしれませんね。

確かにそう言いたい気持ちも分からなくもありませんが、現在では国税庁が「確定申告書作成コーナー」というものをネット上で開設しており、それに「収入」「支出」などを入力するだけで、税金の計算まで簡単に出来るようになっています。

それら全てを入力すれば、確定申告に必要な書類一式が完成しますから、あとはそれをプリントアウトして郵送などするか、または電子申請するだけで確定申告の作業は完了してしまいます。

しかも、入力すべき項目についてはすべて質問に答えるだけですし、順を追って解説してくれますので、慣れてしまえば数分ですべて完了してしまいます。

例えば、国税庁の確定申告コーナーを覗くと、以下のようなページがあります。

 

 

今回初めて確定申告を行うのであれば、「作成開始」をクリックすれば下の画面へと移行します。

 

 

上記の画面が表示されたら、e-Taxを利用するのか、印刷して提出するのかを選択し、仮にここで「印刷して提出」を選択すれば、あとは質問に答えるだけで確定申告書が完成するようになっています。

 

 

もちろん事前に収入や支出額をまとめておかなくてはいけませんが、これは家計簿を作る要領でエクセルなどで集計しておけば良いだけですから、そこまで難しく考える必要はありません。

帳簿を作るのが苦手な人の特徴

このように、家計簿が作れるのであれば確定申告書を作成するのはそれほど苦ではないはずなのに、それでもやはり苦手意識を持つ人も結構いるようです。

そうした人というのは、そもそも「帳簿を作るのが苦手」という意識が強く、いつまで経ってもその苦手意識はなくならないようですね。

ここで、会計などの帳簿を作るのが苦手という人の特徴をいくつか挙げてみましょう。

帳簿作成が苦手な人の特徴
  • 整理整頓やレシートの保管が苦手
  • 複数の支払いツールを利用している
  • 必要以上に費目(支出の項目など)にこだわり過ぎる

それではそれぞれについて、少し詳しく見ていきましょう。

整理整頓やレシートの保管が苦手

まずは、「整理整頓やレシートの保管が苦手」という事について。

基本的に家計簿でも確定申告でもそうですが、原則として支払い時に受け取ったレシートなどを整理することにより、その支出を管理することになりますが、レシートってかさばりますし、保管するのが面倒だという人って意外と多いかと思います。

マメな人であれば、月ごとにそのレシートを台紙などに張り付けたりしていますが、どうしてもこうした作業が面倒だと感じるという人の方が比率的には多いかもしれませんね。

で、結局どんどんその量が増えていき、確定申告の場合であれば申告前ギリギリになって「どうしてもっと早くやっておかなかったんだ?」なんて言いながら、徹夜で処理している人もいるようです。

これはもう習慣にするしかありませんが、どうしても性格的にこうしたことが面倒と感じるならば、会計ソフトや家計簿アプリを利用したほうが良いでしょう。

最近のソフトは、レシートをスマホで撮影するだけで帳簿に記入してくれますから、多少のお金はかかるにしても、その分便利になることを考えれば安いものかもしれません(無料のソフトもあります)。

また、こうしたソフトなどは、何も毎月レシートの管理をする必要はなく、まとめて取り込むことも出来ますから忙しい人にも便利だと言えますね。

複数の支払いツールを利用している

そして次が「複数の支払いツールを利用している」という事。

最近では、クレジットカード払いだけでなく、様々な支払いツールが登場しています。どのツールも「加入すると〇〇ポイント進呈!」なんてキャンペーンをやっていますから、クレジットカードだけでも複数枚所有しているなんて人も多いかもしれませんね。

また、カードの使い方によっては「マイル」を大幅にためることも可能となり、旅行好きの人にとっては仕方のない事なのかもしれません。

しかしここで問題となってくるのが、その数が多すぎるために、支払い状況を把握しきれていないという事。

ひどい場合は、口座残高が足りないために引き落としが出来ず、カード会社のブラックリストの対象となってしまったなんて人もいますから、支払いツールが多すぎるというのも考え物です。

こうした人というのは、そもそも自分の頭の中で収支を計算している場合が多く、例えば周りが「ちゃんと把握するために、ビジュアル化したほうが良いよ」などと助言しても「大丈夫、大丈夫」と聞き入れず、結局最終的に痛い思いをしてしまうなんて事もあります。

どんなに記憶力が良い人だとしても、結局は人間のやる事ですから思い違いも発生します。こうした人こそ帳簿を付けるべきだと言えますが、なかなか行動には移そうとしないというのがほとんどかもしれません。

必要以上に費目(支出の項目など)にこだわり過ぎる

そして最後が「必要以上に費目(支出の項目など)にこだわり過ぎる」という事について。

これまで挙げてきた「帳簿を作るのが苦手な人の特徴」というのは、どちらかと言うと全般的に「ズボラな人」「面倒臭がりな人」というイメージがありましたが、この必要以上に費目にこだわり過ぎる人というのは、それとは逆に神経質な人である傾向にあります。

具体的に言うと、例えば仕事の打ち合わせで食事をした場合に、「これって会議費なのかな?それとも、取材費なのかな?」などといった感じです。

結局、使ったお金は合計すれば一緒なのですから、費目についてはそこまでこだわる必要もないと言えますが、稀にこうした事にこだわり過ぎて頭がパンクする人もいるようです。

そしてその結果、思考停止になってしまい、帳簿を作ることを諦めるという事になるようです。

もちろん、ある程度の支出の内訳について把握しておくことは大事だと言えますが、日常生活において発生する費目の種類というのはそれほど多くはありませんから、事前に一定のルールさえ決めておけば、後は毎月同じような処理をするだけなので、あまり難しく考える必要はありません。

稀に、ファイナンシャルプランナーなどが、「支出の内容は、しっかりと区別しておきましょう」などと指導することもあるようですが、例えば確定申告において費目が間違っていたとしても、税務調査で「これ、費目が間違ってますから、変更しておいてくださいね」と指摘される程度のお話です(実際には、そんなことを指摘する調査官も稀だと思いますが)。

また、「費目をちゃんと区別しないと、月々の変動具合を正確に把握できない」などという人もいますが、実際には大枠で決めておくだけでもある程度の変動比較は可能となりますから、あまり神経質になり過ぎる必要もないと言えるでしょう。

まずは、無料の「家計簿アプリ」を試してみよう

確定申告は、家計簿が作れるのならそんなに難しくはないとお伝えしてきましたが、そもそも上記のように「家計簿さえ作るのが苦手」という人からすれば、結局「確定申告は面倒だ」という事になってしまいますよね。

そういった方の場合、まずは無料の「家計簿アプリ」を利用することで、そうした苦手意識を打ち消すことから始めてみたら良いでしょう。

その代表的なアプリというのが「マネーフォワードME」というもので、すでに日本において1,000万人以上の人が利用しており、かなり高評価を得ています。

基本的な機能としては、「キャッシュカードの残高読込」「クレジットカード支払額の同期」というものがあり、自動的に収入や支払額を記帳してくれますから、例えば前述した「複数の支払いツールを利用している人」などは、これさえあれば残高不足で支払いが滞るなんて事も回避できます。

また、スマートフォンで「レシートの読み取り」が出来ますから、レシートを保管したり整理したりするのが苦手な人にとっても便利なツールだと言えますよね。

基本的に、ある程度の機能は無料で利用できますが、更に有料サービスの「プレミアムサービス」に申し込めば、「マイルの有効期限」を通知してくれたり、「資産・負債の内訳」をグラフで確認する事も出来ますから、家計簿を利用して賢くお金を貯めたいという人にはかなりお勧めです。

マネーフォワードMEについて詳しくは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

 

いずれにしても、自分で記帳する必要がなく、それでいてお金の出入りについて簡単に把握できるようになりますから、このマネーフォワードMEは家計簿初心者にとっては「記帳に慣れる」にはちょうどいいアプリだと言えるでしょう。

これから副業や独立などを考えている人で、そもそも家計簿すら作ったことがないという人は、まずはこのマネーフォワードMEを利用して、お金の管理の練習から始めてみてはいかがでしょうか?

追記:2020年度の確定申告から、このマネーフォワードMEで確定申告まで出来るようになりましたから、興味のある方はこちらの記事も参考にしてみて下さい。