ECサイト(ネットショップ)の作り方と、無料・低価格で構築できるサービスなどについて

2020年4月頃から、新型コロナウイルス感染拡大の影響やそれに伴う緊急事態宣言を契機に、「ECサイト(ネットショップ)」を立ち上げる企業が増えています。

店舗が開けない、顧客と対面できないのですから、こうした流れは必然と言えますよね。

現在も、こうしたECサイトの構築を検討している事業者の方は多いと思いますが、中には「難しそう」「費用がかかりそう」と、中々サイト作成に踏み切れない人もいるかもしれません。

しかし、昔に比べてこうしたサイトは簡単に作れるようになっていますし、現在はこうしたECサイト構築を支援するサービスもたくさんありますので、実は意外と簡単にECサイトは出来上がるのです。

そこでこの記事では、ECサイト(ネットショップ)を作る方法や、それを無料もしくは安く提供しているサービスについてご紹介します。

目次

ECサイトの代表的な作り方

まずは、ECサイトの代表的な作り方について。

サイト作成となれば、「プログラミング知識が必要なんじゃないの?」とか、「結構お金がかかるんじゃないの?」などと考えてしまうかもしれませんが、そうした方法もあるにはあるとはいえ、作成方法の選択次第では、「プログラミング知識ゼロ」「開設費用無料」でサイトを立ち上げる事も可能となります。

現状、ECサイト作成における代表的な方法は、以下の5つのいずれかを選択する事になります。

ECサイト作成の方法
  1. ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)を利用する方法
  2. オープンソースを利用する方法
  3. ECパッケージを利用する方法
  4. クラウドECを利用する方法
  5. フルスクラッチを利用する方法

上記は、上から「安い」「簡単」となり、下へ行くほど「高額」「難しい」となっていきます。

それぞれの違いや特性を比較したものがこちら。

導入コストランニングコストビジネス規模導入の難易度
ASP0円~数十万円月額0円~数万円個人事業主など簡単、初心者向け
オープンソース0円~数百万円月額数千円~数十万円個人、中小企業ある程度の知識が必要
ECパッケージ数百万円~月額数十万円~中小企業高額になり易い
クラウドEC数百万円~月額数十万円~中小企業、大企業
フルスクラッチ数百万円~月額数十万円~大企業

 

上記からわかるように、ASPが一番費用も安く導入も簡単な事から、「とりあえず、様子見で始めてみたい」と考えている人は、ASPでの導入が一番だと言えます。

そして、徐々に売上が増えてくるようであれば、クラウドECやフルスクラッチに移行する方法が最善だと言えるでしょう。

それでは次に、それぞれの特徴についても見ていきましょう。

ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)

まずはASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)から。

ASPとは簡単に言えば、「インターネット上で、アプリケーションを提供する会社」という事になり、利用者側が様々な機器やサーバーを用意しなくても、そのサービスさえ利用すれば大抵のことは出来ますよというサービス。

基本的に当サイトもそうですが、サイトなどを作成するとなれば「サーバー」の契約が必要となりますし、様々なツールを購入する必要があります。

しかしこうしたASPは、そのほとんど(例えば、ECサイトに必要な「カートシステム」や「決済手段」)が既に用意されているので、契約さえすればすぐにサイトが作成できるという訳です。そう考えると、初心者にとってはとても便利なサービスですよね。

無料で利用できるサービスもあり、その場合はあなたのECサイト上で販売された商品価格の数%を利用料として支払う契約となります。

ただし、無料サービスの場合には、サイトの構成や販売できる商品の数に制限がかかる事もありますので、ECサイト運営に慣れてくると少し物足りなくなるかもしれません。

そうした場合は、有料サービスに申し込むことで様々なツールを利用できることになりますから、「将来的に事業規模を大きくしたい」と考えている人は、最初から有料サービスに申し込んでいたほうが良いかもしれません。

このASPを導入する事業規模としては、「1日の注文数100件未満」「年商1億円未満」と言ったところでしょう。これを超えてしまうと、ASPで対応できる能力をオーバーしてしまうので、将来的に「ECメインでやっていこう」と考えている場合は、少し慎重になったほうが良いかもしれません。

とは言え、多くのECサイトは年商1億円に満たない事が多いですから、よほどの事が無い限りASPを導入するだけで十分だと言えます。

メリット
  • 導入費用が一番安く済む
  • 無料、有料のいずれかから選択できる
  • プログラミングの知識をほとんど必要としない
デメリット
  • 年商1億円以上になる場合は、使いにくくなる
  • 自分で細かいカスタマイズが出来ない(ある程度はできるが)
  • 独自ドメインが使えないサービスもあり、その場合、売り上げ規模が大きくなっても簡単に他サービスに移行できない

オープンソース

次が「オープンソース」を利用する方法について。

基本的に、独自でウェブサイトを作成するとなれば、ある程度のプログラミング知識を必要とします。そうした知識をもとに、プログラミング言語を用いて書かれたのが「ソースコード」となり、基本的にどのウェブサイトもこのソースコードの違いが「機能」や「見た目」の違いとなってきます。

フルスクラッチなどは、このソースコードをイチから作り上げるため、膨大な費用と時間を要する事になりますが、その分機能性などに優れるので、大規模なECサイトには向いている方法だと言えます。

このように費用も時間もかかるソースコードの作成ですが、実は現在、一部の企業がECサイト用のソースコードを無償で公開しています。オープンとは「開けた」とか「自由に」という意味がありますから、要は「イチから作らなくても、ある程度の機能を無料で提供しますよ。自由に使ってくださいね」という事です。

もっと厳密に言えば、「商用利用、修正、何でもOKですよ」という内容となります。

ですからそのオープンソースを利用する事で、独自でのECサイト構築が可能となり、「他のサイトと差別化したい。でも、少しでも費用を抑えたい」と考えている人にはおススメの方法となります。

しかしその分、ある程度のプログラミング知識は必要となりますし、上記のASPとは異なり自分でサーバーなどの契約も必要となりますから、多少の費用などは掛かる事になります。

メリット
  • サイトの独自性を出したい人にはおススメ
  • フルスクラッチより費用を抑える事が出来る
  • それなりの売上があれば、ASPより費用を抑える事も可能
デメリット
  • ある程度のプログラミング知識が必要
  • 事業が軌道に乗らなければ、ASPよりランニングコストがかかる場合も

ECパッケージ

次が「ECパッケージ」を利用する方法。

このECパッケージは、その名の通りある程度の機能がパッケージ化されており、その組み合わせ次第では独自のサイト作りが可能となるサービスです。

イチからサイトを作り上げるフルスクラッチよりも安く仕上げる事ができ、しかもASPよりカスタマイズの幅が広がりますから、位置づけとしては「フルスクラッチとASPの中間」といったところです。

ただし、このECパッケージ導入にはそれなりの費用がかかりますから、年商1億円以上の企業が導入する事が多いです。

導入コストやランニングコストとしては、やはりASPよりは高額になりますので、ある程度の売上が無ければ導入には慎重になったほうが良いでしょう。

また、プログラミング技術は日々進化していますから、ECパッケージのシステムも古くなりやすく、長期間ECサイトの運営を考えている場合にはあまり向いていないかもしれません(もちろん、提供しているサービス内容によります)。

メリット
  • フルスクラッチよりもコストを抑えられる
  • カスタマイズ性が高い
  • 年商1億円以上の企業におススメ
デメリット
  • システムが古くなりやすい
  • 導入コスト、ランニングコストが高額になり易い

クラウドEC

そしてお次が「クラウドEC」を利用する方法。

このクラウドECとは、簡単に言えば「ECパッケージのクラウド版」と言ったところです。

ECパッケージは、サーバーを用意してそこにソフトを導入する必要がありますが、クラウドECの場合はわざわざサーバーを用意する必要がなく、全てクラウド上で利用が可能となります。

ですから、保守などにおいても負担が軽減されるため、最近では多くの企業がこのクラウドECを導入するようになっています。

また、このクラウドECは、サービス提供会社がシステムの更新をすべて行ってくれますから、ECパッケージに比べシステムの陳腐化が起こりにくいというメリットもあります。

もちろん導入コストやランニングコストもそれなりにかかりますから、目安としてはやはり年商1億円以上のサイトが導入ラインとなります。

メリット
  • ECパッケージと同等のカスタマイズ性
  • 保守に手間がかからない
  • ECパッケージに比べ、常に最新のシステムを利用できる
デメリット
  • コストが高額となり易い
  • ソースコードが非公開の為、システムの中身を確認できない

フルスクラッチ

そして最後が「フルスクラッチ」を利用する方法。

上記説明でも何度か登場したフルスクラッチですが、こちらは大規模なECサイトでしか導入されませんから、多くの企業にとってはあまり関係のない方法だと言えます。

費用が高額となり易く、また開発に時間がかかりますから、相当の年商がなければ導入するメリットは少ないと言えるでしょう。もちろん、カスタマイズ性においては群を抜きますから、大規模なECサイトを作るには一番の方法となります。

一昔前であれば、年商100億円程度になればこのフルスクラッチを採用する企業が多かったのですが、最近はクラウドECでも十分と考える企業が増えています。

メリット
  • カスタマイズに制限が無く、自由なサイト作成が可能
  • 大規模なサイト運営に向いている
デメリット
  • 膨大なコスト(費用・時間)がかかってしまう
  • 最近では、クラウドECでも代用可能

ECサイト導入初期は、ASPで十分運営できる

以上から分かるように、最近の傾向としては「大規模サイトはクラウドEC」「導入初期はASP」といった具合にすみ分けされています。

この境界としては、年商1億円程度が目安となりますから、ほとんどの企業はASPの導入で十分ECサイトを運営できることが分かります。

それではここで、ECサイト導入における代表的なASPをご紹介しようと思います。

無料で導入できるASP

まずは無料で導入可能なASPから。

現在こうした無料ASPはドンドン増えており、各社ともカスタマイズ性や利便性を競い合っています。

どこのサービスも導入コスト、ランニングコストは無料となっており、そのサイトで商品が売れるごとに商品価格の数%を手数料として支払う形となっています。

代表的な無料ASPはこちら。

無料ASP
  • BASE         - BASE株式会社
  • STORES.jp        - ストアーズ・ドット・ジェイピー株式会社

それでは、それぞれの特徴などについても見ていきましょう。

BASE


無料ASPを導入するなら、まずはこのBASEを検討するのが良いでしょう。このBASEはショップ開設数で3年連続国内1位となっており、現在、100万以上のショップがこのBASEを利用しています。

独自ドメインも無料で取得できますから、長期的にECサイト運営を考えている人にはおススメのサービスです。

ただし、それなりの手数料がかかりますので、ある程度の負担は必要となります。

主な特徴ECサイトの決済方法運営コスト

独自ドメインを無料で設定できる(取得費は別途必要)

様々な機能が無料で利用できる(一部有料機能あり)

有料テーマを購入すれば、独自性の高いサイトも作成可能

  • クレジットカード決済
  • キャリア決済
  • 銀行振込
  • コンビニ決済
  • Pay‐eazy
  • ペイパル
  • 後払い決済
導入費、ランニングコスト:無料

決済手数料:商品価格×3.6%+40円

別途サービス利用料:商品価格×3.0%

振込手数料:250円~750円(税別)

 

ストアーズ・ドット・ジェイピー


こちらのSTORES(ストアーズ・ドット・ジェイピー)も無料ASPとして有名で、毎月1万サイトが登録している人気サービスとなっています。

無料版と有料版から選択でき、無料版を導入したとしても決済手数料は無料ASPの中でも最安となっています。

ただし無料版の場合、独自ドメインを利用できないなどの制限がありますから、将来的に事業拡大を考えている場合には有料版の導入をお勧めします。

主な特徴ECサイトの決済方法運営コスト

決済手数料は無料ASPの中でも最安

プレゼント用のギフト設定や再入荷通知など、他の無料ASPにはない機能が豊富

独自ドメインは有料版のみ

  • クレジットカード決済
  • 銀行振込
  • コンビニ決済
  • 翌月後払い決済
  • ペイパル
  • キャリア決済
  • 楽天ペイ

この他、有料版であれば「代引き」「Amazonペイ」も利用可能

【無料版】

  • 導入費・ランニングコスト:無料
  • 決済手数料:5%
  • 振込手数料:275円

【有料版】

  • 月額:1,584円~1,980円
  • 決済手数料:3.6%
  • 振込手数料:275円

 

有料だけど低価格のASP

それでは次に、導入費用・月額費用は必要となりますが、低価格で導入できる有料ASPについて。

上記無料ASPでも十分な機能性がありますが、有料版となれば「セット販売機能」や「他サービス連携機能」など様々なサービスが利用できます。

月額費用はかかりますが、その分無料版のような「販売手数料」がかからない事が多いですから、ある程度の売上が発生するようであれば、トータルで考えると有料ASPのほうが費用を抑える事が可能となります。

それでは、代表的な有料ASPについても見ていきましょう。

イージーマイショップ


このイージーマイショップは無料のサービスも提供していますが、どちらかというと有料サービスに力を入れているサービスとなります。

有料版であっても、「導入費用3,000円」「月額料金2,700円~」とASPの中でも安く設定しており、導入のハードルはそれほど高くありません。

主な特徴ECサイトの決済方法運営コスト

無料版もあるが、有料版をメインとしている

開店代行サービスなどもあり、初心者でも簡単に開店できる

【イージーペイメント】

  • クレジットカード決済
  • コンビニ決済

その他決済方法については、各自でサービスに申し込む必要あり

【無料版】

  • 導入費・ランニングコスト:無料
  • 決済手数料:5%+40円
  • 振込手数料:275円

【有料版】

  • 月額:2,700円~5,400円
  • 決済手数料:3.57%+40円
  • 振込手数料:275円

 

カラーミーショップ


このカラーミーショップは、GMOグループが運営する有料ASPの中でも低コストで利用できる事で知られています。

各種決済会社への「決済手数料」は必要となりますが、BASEのような「サービス利用料」は不要ですので、ある程度の年商があるサイトにはおススメです。

様々な管理機能ツールが搭載されていますから、ネットショップに本腰を入れたい人には使い易いサービスだと言えます。

主な特徴ECサイトの決済方法運営コスト

決済手数料は数あるASPの中でも割安

アクセス解析など様々な機能が充実しており、サイトを戦略的に拡大させたい人にはおススメ

売上げが大きいサイトほど、トータルのランニングコストを抑える事が出来る

  • クレジットカード決済
  • 代引き決済
  • コンビニ決済
  • Amazonペイ
  • GMO後払い
  • LINEペイ
  • 楽天ペイ
  • ウォレット決済
  • スマートフォンキャリア決済
  • ネット銀行決済
  • 銀行口座
  • 電子マネー
  • 口座振替決済
  • 導入費用:3,000円
  • 月額利用料:834円~7,223円
  • 決済手数料:3.4%~(利用会社による)

     

    まとめ

    以上、繰り返しになりますが、導入初期の企業であれば「ASP」、1億円以上の年商があれば「クラウドEC」を選択すればまず間違いはありません。

    また、月商がそれほど大きくないのであれば「無料ASP」で十分利用価値がありますが、将来的に事業拡大を狙っているのなら、「有料ASP」の導入を検討する必要性があると言えます。

    どうしても導入時には「出来るだけコストを抑えたい」と考えてしまいがちですが、あなたのサイトが人気サイトになれば、トータルのランニングコストで考えると有料ASPの方が断然有利になりますので、事前に「事業計画」についてよく考えておく必要があるでしょう。

    ちなみに、サイトの売上げが増加すると、どうしても人手不足が悩みの種となってしまいます。単純に人を雇い入れるのも良いですが、まずは外注なども検討しておきたいところです。

    そういった事で悩んでいる方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。