e-文書法ってなに?電子帳簿保存法や他の法律との関係は?

これまで、書類や文書の保管においては「紙による保管」が一般的でしたが、最近ではIT(情報技術)の進化により、これらを電子データで保管する方法が広く浸透しつつあります。

特に、新型コロナウイルスの感染症拡大や、それにともなう緊急事態宣言の影響などにより、以前にも増してこの「文書の電子化」が注目を集めています。

文書を電子化する事で、これまで必要だった書類の保管施設が不要となりますし、書類の検索なども簡単になりますから、特にテレワークを導入している企業などは「紙の書類は持ち出せないが、その内容は確認したい」という場合に、その書類が電子化されていれば、いつでも簡単に書類を閲覧する事も可能となります。

このように、便利な事ばかりのように思える文書の電子化ですが、書類の内容によっては法律によってその保管(電子化)方法を厳しく制限される事がありますので、自社の業務に関連する法律についてはよく確認しておく必要があります。

現在、この文書の電子化を規定する法律は、世の中に数多くありますが、その全ての基本となっているのがこの「e-文書法(いーぶんしょほう)」という法律。

一度は耳にした事があるかもしれませんが、その内容について理解している人は少ないかもしれませんね。

そこでこの記事においては、e-文書法の内容と、同じく文書の保存方法を規定した法律として有名な「電子帳簿保存法」や、その他の法律などとの関連性についてお伝えしようと思います。

e-文書法とは?

e-文書法とは2005年に施行された法律で、正式名称を

「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」
「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」

と言い、この2つの法律を総称してe-文書法と呼びます。またこれ以外には「電子文書法」とも呼ばれます。

そもそも文書の電子化以前のお話として、事業を行う上では様々な文書を作成したり保管しなくてはいけませんが、その文書の種類によっては法律によって保管方法が定められている場合もあります。

特に国税関連の帳簿や書類などは、「保管年数5年もしくは7年」などと、厳しい基準が設けられている事は多くの方がご存知かと思います。

また、国税関連の書類以外においても、書類の保管方法がそれぞれの法律によって定められており、事業者からすると「これだけIT化が進んでいるのに、いつまでも紙での保管は時代遅れだ」と思いますよね。

そこで、それらの書類を電子データによって保管する事を認めるために制定されたのが、この「e-文書法」という訳です。

e-文書法は、あくまで数ある法律における文書電子化の「通則法」として考えられ、このe-文書法を根拠に、それぞれの法律(省令など)において文書の電子化方法の詳細を決めているというイメージといえば分かり易いでしょうか。

つまり、「包括的にe-文書法で大体の概要を定め」「細かい内容はそれぞれの法律(省令など)で制定する」という流れとなります。

e文書法と他の法律等との関係

上記で説明した通り、「e-文書法は大枠を決めるもの」「その他の詳細については各法令で」という事ですが、このe-文書法の施行により、書類の電子化が可能となった法律や省令は数多くあり、現時点(2020年6月)では300を超える法律や省令、規則において文書の電子化が認められるようになっています。

代表的な法律としては、「国税に関する法律(所得税法、法人税法等)」「地方税法」「医療法」「薬剤師法」「信託業法」などが挙げられます。

このうち、国税に関する法律においては「電子帳簿保存法」というものがあり、こちらでは、貸借対照表や損益計算書などの決算書類の保存方法や、帳簿などの取扱いについて事細かに規定されており、よくこの電子帳簿保存法とe-文書法を混同する人がいるようです。

しかし何度もお伝えしているように、あくまでe-文書法は通則法ですので、細かい内容についてはそれぞれの法律において規定されており、イメージとしては以下のような取り扱いになるといえます。

 

 

とは言え、あくまで「文書の電子化が可能となった」というだけであり、「必ず文書を電子化しなくてはならない」という訳ではありません。

ですから、今まで通り紙での保存を望むのであればそのまま継続すれば良いですし、電子化に移行したいのであれば選択する事も可能という事です。

e-文書法の「技術要件」

このようにe-文書法の登場により、数多くの法律において文書の電子化が認められるようになった訳ですが、書類の電子化には様々な方法があり、どんな保存方法でも必ず認められるという訳ではありません。

このe-文書法が適用されるためには、4つの技術要件のいずれかが求められ、それが以下の内容となっています。

e-文書法の「技術要件」

見読性
電子データで保存した書類は、基本的にパソコンやディスプレイでその内容を確認するため、すべての文書が明瞭に識別できる状態にあることが求められます。ですから、一定以上の解像度などを求められ、その程度は法律ごとに異なります。
完全性
電子データで保存した書類は、紙で保存した場合に比べ比較的容易に「改ざん」「消去」といった事が可能となります。これではその書類の真実性が損なわれてしまうので、それを防止する技術も必要とされます。
例えば「消去を行った場合にはそれを記録に残せるようにしておく」「改ざんが行われないようタイムスタンプを付与する」などといった技術が必要とされます。
機密性
機密性とは、不正アクセスを防止するための技術要件であり、具体的には「アクセス権を与えられた人以外はその電子データにアクセスできない」といった技術の事を言います。
※ 現状、この機密性を必須としている法律はありません。
検索性
検索性とは、必要に応じて検索したいデータをいつでも素早く検索できる技術を言います。例えば、書類には「日付」「金額」など様々な項目がありますが、仮に日付で検索するとすれば「昇順」「降順」など、わかりやすく体系的に整理されている必要性があります。

上記を見ると、「こんなに要件があるのかぁ~」と思ってしまうかもしれませんが、全ての法律において上記の4要件全てが求められている訳ではありません。

通常は、「見読性」のみを求められることが多く、一番要件が多い国税関連の法律でも「見読性」「完全性」「検索性」の3つまでとなっています。

代表的な法律における技術要件については以下の通り。

法律名保存対象書類見読性完全性機密性検索性
電子帳簿保存法決算書類等
地方税法書類
医師法診療録
関税法貨物についての帳簿
税理士法帳簿

出典:首相官邸

上記からも分かるように、それぞれの法律ごとに求められる技術要件が異なりますので、詳しくは首相官邸HPの「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」のページにて確認するようにして下さい。

電子帳簿保存法とは?

それでは最後に「電子帳簿保存法とは何か?」という事ですが、これまでご説明してきた通り、電子帳簿保存法とは、国税関連書類の電子化について詳しく規定した法律となっています。

ちなみに、e-文書法の施行が2005年、電子帳簿保存法の施行が1998年となっているので、実は電子帳簿保存法の方が先にできた法律となっています。この辺も、この二つの法律を混同しやすくしてしまっている要因なのかもしれません。

この電子帳簿保存法については他の記事で詳しく説明しているので、宜しければそちらの記事をご覧になってみて下さい。