【2020年】公認会計士試験合格発表、合格率などについて

2021年2月16日に、「公認会計士・監査審査会」より2020年度(令和2年度)の公認会計士試験合格発表がありました。

通常、公認会計士試験は11月頃の合格発表となりますが、今年度は新型コロナウイルスやその他事情で、発表時期が大幅に遅れる事になりました。

この記事においては、2020年度公認会計士試験の合格率や受験者の傾向などについてお伝えしていきます。

ちなみに、2019年度試験の傾向などについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

目次

受験者数は増加傾向

上のグラフは、過去数年分の願書提出者数を表していますが、今年は13,231人が提出しており、年々増加している事が分かります。

一時は「公認会計士の人気が無くなった」などと言われていましたが、ここ4~5年で人気も回復してきているようです(逆に、税理士試験は人気が低迷しています)。

 

 

2012年以降はリーマンショックの影響もあり、多くの監査法人が求人を減らしたため公認会計士試験合格者の「就職浪人」が目立ちましたが、最近では逆に監査法人が「人手不足」となっているため、今後も受験者数は増加する傾向にあるでしょう。

合格率は「横這い」

次に「合格率」についてですが、上のグラフを見ると今年の合格率は10.1%と、昨年よりは低下はしていますが、例年で見るとほぼ横ばいと言ったところです。

一時は公認会計士の大量合格者を輩出するため、合格率が20%近くまで達した事もありますが、ここ数年は10%~11%台で推移している事が分かります。今後もこの傾向は続くと思われますので、合格を目指している人にはある程度の指標になるかと思います。

ちなみに、この合格率とは願書提出者数に対する「論文式試験合格者」の割合となっていますからご注意ください。

合格者の年齢

次が、「合格者の年齢」について。

今年度試験の最高齢合格者は61歳、最年少合格者は18歳となっており、この点は例年とほぼ変わりはありません。

合格者の平均年齢においては25.5歳となっていますから、合格者全体で見ると若年層が合格しやすいという事が分かりますね。

年齢別の合格者割合で見ても、「20歳以上、25歳未満」の占める割合が59.9%となっていますから、やはり公認会計士試験は若いうちでないと合格しにくいという事が分かります。

合格者に占める女性比率

次が「合格者に占める女性比率」について。

基本的に、公認会計士業界というのは他の士業に比べて、働いている女性が少ないと言われています。その辺について詳しくは、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

 

 

上記の記事をご覧頂ければ分かりますが、各士業の女性登録者割合で見ると弁護士が19.0%(2020年時点)、司法書士が17.9%(2020年時点)であるのに対し、公認会計士は14.1%(2018年時点)とかなり女性登録者が少ないことが分かります。

公認会計士協会としてもこの辺は危惧しており、「2048年度までに女性会員比率を30%まで上昇させる」と発表しています。

上のグラフを見ると、確かに年々女性合格者数は増えていますが、それでも今年で24.6%ですから、目標まではまだまだ遠いと言ったところですね。

合格者の職業割合

そして次が、「合格者の職業割合」について。

以前は専門学校に通っている人の合格割合が多かったのですが、上のグラフを見ると、ここ数年は学生(大学生)の割合が増えている事が分かります。

これには様々な理由があるでしょうが、やはり試験合格後に就職となった場合、卒業大学を重視する監査法人も多いため「専門学校卒」よりも「〇〇大学卒」のほうが有利と考える人が増えているからかもしれません。

そうなると、大抵の場合は大学と専門学校のダブルスクールとなるでしょうから、公認会計士に合格するためにはそれなりに裕福な家庭でないと難しいのかもしれません。

実際、上のグラフにもありますが、年々「無職」の比率が上がっていますから、在学中に合格できなかった人が就職せずに試験に専念していることが分かります。そういった場合、生活するための資金も必要となりますから、やはり経済的に余裕がないと難しいですよね。

会社員として働きながら合格している人もいるにはいますが、やはりその割合が7.1%である事を考えれば、公認会計士試験は時間的にも経済的にも余裕がないと合格しにくい試験であるという事が分かります。

短答式試験の合格率が低下している

公認会計士試験は、「短答式試験」に合格した後、「論文式試験」にも合格しなくては最終合格とはなりません。つまり、「最低でも2回の試験に合格しなくてはならない」ということですね。

それぞれの試験の合格率は、論文式試験についてみると毎年安定しているのですが、短答式試験はかなり変動があることが上のグラフからも分かります。

特にここ数年、短答式試験の合格率が急激に低下していますから、受験生の方にとっては厳しい状況だと言えます。

更に言うと、2021年度(令和3年度)試験は、新型ウイルス対策として短答式試験を年1回のみの開催(通常は年2回)としていますから、今年の試験は更に厳しくなるといえます。

今年の合格を目指している人は、通常よりも身を引き締めて挑む必要があるでしょう。

2021年度(令和3年度)の試験スケジュール

それでは最後に、2021年度(令和3年度)の公認会計士試験のスケジュールについてもお伝えしておきます。

短答式試験
  • 受験願書配布期間 - 令和3年1月12日~令和3年2月25日
  • 受験願書受付期間 - 令和3年2月5日~令和3年2月25日
  • 試験期日     - 令和3年5月23日
  • 合格発表(予定) - 令和3年6月18日
論文式試験
  • 受験願書配布期間 - 令和3年1月12日~令和3年2月25日
  • 受験願書受付期間 - 令和3年2月5日~令和3年2月25日
  • 試験期日     - 令和3年8月20日~令和3年8月22日
  • 合格発表(予定) - 令和3年11月19日

今後、新型ウイルスの感染状況によって変更になる場合もありますから、詳しくは公認会計士・監査審査会のHPにて確認するようにして下さい。