
現在、全国的に終息に向かっている新型コロナウイルスですが、東京都は人口が多いという事もあり、まだまだ先が見通せない状態にあります。
そうした事もあり、東京都では全国的に見てもかなり多くの新型コロナウイルス関連の助成事業を次々と打ち出しています。
都内で事業を行っている企業であれば、こうした助成事業を上手に活用したいところです。
そこでこの記事では、現時点(2020年6月中旬)において東京都がコロナ対策として打ち出している「助成金・補助金事業」についてお伝えしようと思います。
※1 時期によっては、応募が終了している事もありますから、それぞれの事業サイトをよく確認するようにして下さい。
※2 また、重複して申請できない場合もありますから、どの助成事業に申請するか慎重に判断する必要があります。
目次
まず最初に検討したい助成金
それでは早速、「まず最初に検討したい助成金」についてから。
東京都において、新型コロナウイルス関連の助成金事業の中でも一番「助成率・金額」ともに有利なのが、この「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」です。
実はこの助成金、当初は2020年6月1日までの募集期間となっていましたが、様々な経済事情などを考慮して2020年7月31日まで延長となりました。
助成内容としては以下のようになっています。
【概要】
感染症の拡大防止および緊急時の事業継続対策として、在宅勤務等を可能とする情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備に対する助成。
【申請期限】
2020年3月6日~2020年7月31日まで
※支給決定以後、2020年9月30日までに完了する取組みに助成
【助成額・助成率】
助成額:250万円まで
助成率:10/10
このように、250万円までであれば満額の受給が可能となるため、テレワークの導入を検討している事業者であれば、まず最初に検討したい助成事業です。
ただし、上記に応募する条件として、東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に登録する必要などがありますから、詳しくは東京都HPの「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」のページでご確認ください。
また、当サイトの別ページでも紹介していますから、よろしければそちらも確認してみて下さい。
新型コロナウイルスの感染拡大や非常事態宣言の影響などにより、在宅において業務が可能となる「テレワーク」を導入する企業が増えています。 しかし、そのほとんどが大企業中心となっており、資金的に厳しい中小事業者などは、導入を見 …
「事業転換、非対面事業開始」などに対する助成事業
それでは以下において、それぞれの支援内容ごとに助成事業を紹介していきます。まずは、事業転換・非対面事業開始などに対する助成事業から。
新型コロナウイルスの影響により、これまで顧客と対面での取引をしていた企業の場合、ソーシャルディスタンスなどの問題から、新たな事業形態へと取組まざるを得ない状況となっています。
例えば小売業であれば、ECサイトを立ち上げるなどといった方法も考えられるでしょう。
しかしどのような事業を開始するにせよ、ある程度の費用が必要となりますので事業者にとっては頭の痛いところです。そこで東京都は、これら事業者に対してその事業開始にかかった費用の一部を助成する事業を開始しています。
それでは、それぞれについて見ていきましょう。
業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業
【事業名称】
【事業内容】
売り上げ確保に向け、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める事業者への支援策となっています。
ですので、助成対象事業者としては、都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業主含む)となっています。
【主な助成対象経費】
- 販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費等)
- 車両費(宅配用バイクリース等、台車等)
- 器具備品費(Wi-Fi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材等)
- その他
【申請期限】
2020年4月23日~2020年11月25日まで
ただし、助成対象期間は着手日から最長3ヶ月間
【助成額・助成率】
助成額:100万円まで
助成率:4/5以内
非対面型サービス導入支援事業
【事業名称】
【事業内容】
これまで対面型サービスを行ってきた事業者が、新たに顧客と会わずに提供するサービスを導入する場合に、その導入費用を支援する事業。
例えば、会計事務所であってもこれまで行っていた訪問指導を取りやめ、新たにWeb会議システムを導入して顧客とやり取りをする場合にも認められる可能性があります(詳細については東京都に確認の事)。
また、小売業などが新たにECサイトなどを導入する場合にも認められます。
【主な助成対象経費】
- インターネット販売サイトの制作等
- 非対面型サービスの導入に係る経費
上記のうち、「備品購入費」「備品リース費」「委託・外注費」「販売促進費」など
【申請期限】
2020年6月18日~7月31日まで
ただし助成対象期間は、2020年5月14日~2020年10月31日までとなっています。
【助成額・助成率】
助成額:200万円まで
助成率:2/3以内
【備考】
ECサイトの導入を検討している方は、以下の記事も参考にしてみて下さい。
2020年4月頃から、新型コロナウイルス感染拡大の影響やそれに伴う緊急事態宣言を契機に、「ECサイト(ネットショップ)」を立ち上げる企業が増えています。 店舗が開けない、顧客と対面できないのですから、こうした流れは必然と …
ソーシャルビジネス支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業
【事業名称】
ソーシャルビジネス支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業
【事業内容】
一口にソーシャルビジネスと言っても分かりにくい面も多いですが、要は、この新型ウイルスの感染拡大により顕在化した(表面に出てきた)社会的問題を解決するためのビジネスに対して支援するというものです。
例えば、子供が通学できなくなった問題においては「子供向けオンライン学習支援事業」に取り組むことにより、この問題を解決すると言った具合です。
この他にも「新型コロナウイルス感染者向けペット世話サービス」など、様々なビジネスが考えられますから、こうした新しい事業を考えている人は、一度検討してみるのも良いでしょう。
【主な助成対象経費】
- 委託費:システム開発費用等
- 広報費:チラシ、ホームページ作成費用等
- 備品購入費
- その他
【申請期限】
2020年6月29日~2020年7月31日まで
【助成額:助成率】
助成額:200万円まで
助成率:2/3以内
新型ウイルス対策における「設備投資」などに対する助成事業
次が、新型コロナウイルス対策における「設備投資」などに対する助成事業について。
今回の感染症拡大において、多くの企業が「パーテーションの導入」「サーモカメラの導入」など、様々な対策を行っています。
顧客の保護だけでなく、従業員保護においてもこれらの設備投資は欠かせませんが、そのいずれもがそれなりの費用を必要とします。
そこで東京都は、これらの設備投資においても様々な支援策を打ち出しています。
それでは、それぞれについて見ていきましょう。
令和2年度 新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資支援事業
【事業名称】
令和2年度 新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資支援事業
【事業内容】
この事業は、感染症予防や対策のための「製品の製造や役務の提供のために必要な設備」の購入を助成する事業となっています。
例えば、マスクや防護服の生産設備や、消毒液用の容器の製造設備などを新たに購入する場合、その購入費などを助成する内容となりますから、対象となる事業者は製造業がメインとなってきます。
上記以外にも対象となる事もありますから、詳しくは東京都のホームページにて確認するようにして下さい。
【主な助成対象経費】
助成対象期間内に発生した「機械設備の新たな購入」「搬入・据付等に要する経費」について助成。
※ただし、導入(納品)は、助成金の交付決定後に行う必要があります。
【申請期限】
2020年4月23日~2020年2月10日まで
【助成額・助成率】
助成額:1億円まで
助成率:4/5以内
新型コロナウイルス感染症予防対策ガイドライン等に基づく対策実行支援事業
【事業名称】
新型コロナウイルス感染症予防対策ガイドライン等に基づく対策実行支援事業
【事業内容】
この事業は、都内中小企業者等に対し、業界団体などが作成した新型コロナウイルス感染症拡大予防ガイドライン等に基づき、それを行うための費用の一部を助成する事業となっています。
例えば、基本的にどのガイドラインにおいても「換気の徹底」について触れていますから、新たに換気設備設置工事などを行う場合はその費用について助成対象となり、そのかかった費用の一部について助成金が支給される事になります。
【主な助成対象経費】
- 内装・設備工事費 - パーテーション設置工事、換気設備設置工事等
- 備品購入費 - サーモカメラ・サーモグラフィーの購入等
【申請期限】
2020年6月18日~2020年8月31日まで
【助成額・助成率】
助成額:50万円まで(ただし、内装・設備工事を含む場合は100万円まで)
助成率:2/3以内
宿泊施設バリアフリー化支援補助金
【事業名称】
【事業内容】
高齢者や障害のある方など、あらゆる人が安全かつ快適に過ごすための環境整備を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている宿泊施設の集客力向上につながるバリアフリー化に取り組む宿泊事業者に対し、施設整備等に要する経費の一部を補助する事業。
簡単に言うと、「基本的には、宿泊施設のバリアフリー化を推進する事業ですけど、これを機に宿泊施設を運営している方はバリアフリー化をすることで、コロナで失ったお客様を呼び戻しましょうよ」というもの。
ですから対象となる事業者は、ホテルや旅館などを営む事業者となります。
【申請期限】
2020年6月10日~2021年3月31日まで
【主な補助対象経費と補助額・補助率】
- バリアフリー化整備事業(施設整備):4/5、3,000万円 or 6,000万円
- バリアフリー化整備事業(客室整備):4/5、4,200万円 or 8,400万円、若しくは10/10、4,800万円 or 9,600万円
- バリアフリー化整備事業(備品購入):4/5、320万円
- バリアフリー化整備事業(実施設計):4/5、100万円
- コンサルティング:2/3、100万円
各種とも様々な条件がありますので、詳しくは事業サイトにてご確認ください。
令和2年度 サテライトオフィス設置等補助金(6月29日追記)
【事業名称】
【事業内容】
サテライトオフィスとはテレワークの一形態であり、従業員の自宅近くにサテライトオフィスを設置する事で「職住近接」が可能となります。
東京都23区内ではこうしたサテライトオフィスの設置が進んでいますが、市町村部ではまだまだ未整備の自治体が多いようです。
そこで東京都としては、企業が東京23区以外の東京都内市町村部にサテライトオフィスを設置する事を推進するため、民間事業者に対して、施設運営に必要な整備費・運営費の補助を目的としてこの事業を立ち上げています。
【主な助成対象経費】
- サテライトオフィスの整備・改修費
- サテライトオフィスの工事完了日の翌日から2年間における「運営費」
【申請期限】
2020年6月22日~2020年11月30日
【補助額・補助率】
整備改修:1/2、1,500万円 or 2/3、2,000万円
運営費:1/2、600万円 or 2/3、800万円
※一定の要件を満たす場合には、補助額・補助率ともアップ
「危機管理対策、感染予防対策」に対する助成事業
続いて、「危機管理対策、感染症予防対策」に対する助成事業について。
こちらの対象は幅広く、例えば感染症を想定した備品購入に対する助成や、テレワーク導入において同時に考えなくてはいけないサイバーセキュリティ―対策など様々あります。
全ての事業者が対象となる訳ではありませんので、詳しくは各事業サイトにてご確認ください。
BCP実践促進助成金
【事業名称】
【事業内容】
中小企業が関わるリスクに対して、実効性のある事業継続対策を後押しするため、新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策を含むBCPを実践するために必要な設備・物品の購入やそれらの設置に係る費用を助成する事業。
BCPとはBusiness Continuity Planの略で、事業継続計画という意味となっています。
これは、自然災害等の不測の事態に備えて、企業にとって中核となる事業の継続のために、平時から行うべき行動や緊急時における事業継続の方法・手段等をあらかじめ取り決めておきましょうよというものです。
例えば、感染症を事前に予見しマスクや消毒薬を備蓄しておいたり、データバックアップシステムなどを導入したりといった計画がこれにあたります。
【主な助成対象経費】
- 自家発電装置・蓄電池など
- 安否確認システムなど
- 従業員の非常食、簡易トイレ、毛布、浄水器等の備蓄品
- その他
これら以外にも該当するものがありますので、詳しくは事業サイトにてご確認ください。
【申請期限】
2020年5月18日~2021年1月29日まで
助成対象期間は、交付決定日より4ヶ月以内
【助成額・助成率】
助成額:1,500万円まで
助成率:4/5以内
令和2年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金
【事業名称】
【事業内容】
中小企業者等が、自社の企業秘密や個人情報等を保護する観点から、構築したサイバーセキュリティ対策を実施するために要した設備等の導入費用に対する助成事業
こちらの事業においては、申請要件がかなり厳しくなっていますので、事前に事業サイトにて確認するようにして下さい。
【主な助成対象経費】
サイバーセキュリティ対策を実施するために必要となる下記の機器等の導入、およびクラウド利用に係る経費
- 統合型アプライアンス(UTM等)
- ネットワーク脅威対策製品(FW、VPN、不正侵入検知システム等)
- コンテンツセキュリティ対策製品(ウィルス対策、スパム対策等)
- アクセス管理製品(シングル・サイン・オン、本人認証等)
- システムセキュリティ管理製品(アクセスログ管理等)
- 暗号化製品(ファイルの暗号化等)
- サーバー(最新のOS搭載、かつセキュリティ対策が施されたものに限る)
- 標的型メール訓練
【申請期限】
2020年5月18日~2020年12月15日まで
助成対象期間は、交付決定日から約3ヶ月程度
【助成額・助成率】
助成額:1,500万円まで
助成率:1/2以内
「テレワーク関連」助成事業
そして最後が「テレワーク関連」の助成事業について。
こちらでは、冒頭でもお伝えした「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」についてもお伝えしますが、このテレワークに対する助成事業は2種類あり、それぞれ補助額が異なりますのでご注意ください。
それでは、それぞれ見ていきましょう。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
【事業名称】
【事業内容】
新型コロナウイルス感染症等の拡大防止、および緊急時における企業の事業継続対策として、テレワークを導入する都内の中堅・中小企業等に対して、その導入に必要な機器やソフトウェア等の経費を助成する事業。
こちらが冒頭で紹介した「助成額250万円、助成率10/10」の事業となっていますから、東京都が行っている他のテレワーク事業と混同しないようにご注意ください。
【主な助成対象経費】
- 機器等の購入費(例:パソコン、タブレット、VPNルーターなど)
- 機器の設置、設定費(例:VPNルーター等の機器の設置・設定作業費など)
- 保守委託等の業務委託料(例:機器の保守費用など)
- 導入機器等の導入時サポート費(例:導入機器等の操作説明マニュアル作成費など)
- 機器のリース料
- クラウドサービス等ツール利用料
※助成対象となる機器には指定があるため、募集要項を十分確認してください。
【申請期限】
2020年3月6日~2020年7月31日まで
※2020年9月30日までに完了する取組が対象。
【助成額・助成率】
助成額:250万円
助成率:10/10
はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)
【事業名称】
【事業内容】
こちらも、上記と同様にテレワークの導入支援事業となっていますが、こちらの場合、東京都が実施する「コンサルティング」を事前に受けておかなければならないという条件があります。
このコンサルティングについては後述しますが、その他の条件として「2020TDM推進プロジェクト」に参加している事も求められます。
この「はじめてテレワーク」は補助額でみると「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」には見劣りしますが、申請期限が長く設定されているので、事業継続緊急対策(テレワーク)助成金に申請できなかった場合の次の手段と考えてみるのも良いかもしれません。
【申請期限】
2020年4月8日~2021年3月31日まで
【補助額・補助率】
補助額:40万円~110万円
補助率:10/10
ワークスタイル変革コンサルティング
【事業名称】
【事業内容】
都内企業等のテレワーク導入を推進するため、専門のコンサルタントが訪問し、課題解決などの支援を無料で行う事業。
この事業は助成事業ではありませんが、東京都が行っている助成事業のうち、このワークスタイル変革コンサルティングを受けていなければ申請できない事業もありますのでご注意ください。
【相談実施期間】
2020年4月2日~終了日は未定
【相談費用・回数】
費用:無料
回数:最大5回まで
助成金の申請は、自分でやるか専門家に依頼するのか
以上が、現時点(2020年6月中旬時点)で行われている「東京都の新型コロナウイルス関連助成事業」となりますが、いざ自分で申請書を作成するとなると、必要書類の多さや申請内容の複雑さに困惑するかもしれませんね。
そのため、あっさりと諦めてしまう人もいるかもしれませんが、特に東京都の助成金事業は「助成額・助成率」が他の自治体に比べて高く設定されているので、出来れば諦めずに活用したいところです。
そこで専門家に頼むとなれば、まず社会保険労務士が思い浮かぶと思いますが、助成金の申請においては必ず社労士に依頼する必要はなく、内容によっては税理士や弁護士に依頼する事も可能です。
「でも、報酬額が高いしなぁ~」と考える人もいるかもしれませんが、ちょっとした工夫をする事で報酬額を減らすことも出来ますから、その辺について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
国や地方公共団体などは国民や事業者に対し、様々な助成金や補助金事業を通して、経済的支援を行っています。 特に、昨今の新型コロナウイルス対策などでは、かなり多くの助成金事業・補助金事業が発表されています。 こちらについて詳 …