
簿記検定試験の勉強方法には様々な手段がありますが、その一つとして「通信講座(Web講座)」が挙げられます。
通信講座(Web講座)以外の勉強方法についても詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみて下さい。
簿記検定試験の合格を目指す場合、多くの人がまず「独学での合格」を考えるかと思います。 もちろん、独学でも十分合格可能な試験ですし、費用的な面で考えれば、独学で勉強しようと思うのは自然な流れだと言えるでしょう。 当サイトに …
一昔前まで通信講座と言えば、テキストや問題集などが自宅に送られてきて、それらの資料を利用し、独自に勉強するスタイルが主流でした。いわゆる「半独学」のようなものですね。
これらは通信講座の中でも「資料講座」として分類され、添削や質問などは「郵送」「FAX」「電話」などのやり取りで対応していました。
しかし、時代の流れとともに少しずつこのスタイルも変わっていき、講座の授業風景を撮影したDVDが自宅に送られてくる「DVD講座」へと移り変わり、更に最近は、インターネット環境の向上から、この「Web講座」へと変遷しています。
これまで、通信講座の資料講座を中心としていたスクールにおいても、そのほとんどが昔と同様に資料講座をメインとしながらも、最近ではWeb講義を補完的に提供しているくらいですから、要は「ほとんどの通信講座は、Web講座が主流である」という事がわかります。
そこでこの記事では、通信講座(Web講座)の特徴や費用、おススメの学校などについてお伝えしようと思います。
目次
通信講座(Web講座)の特徴
まず、通信講座(Web講座)の特徴についてから見ていきましょう。
学校によっては「eラーニング」などと表現する事もありますが、内容としては同じですから、ここでは一律に「Web講座」として説明していきます。
特徴について知るためには、まずはメリット・デメリットについて知ることが一番の近道だと言えます。ですからまずは、以下において、通信講座(Web講座)のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
- 費用面では、独学に次ぐ安さ
- 通勤時間でも勉強できる(時間や場所を選ばない)
- 通学講座に比べ、学校の数が多い(選択肢が幅広い)
- 倍速機能もあるから、理解していない部分だけ学習ができる
- チャットなどによる質問フォローあり
- 自宅で公開模試を受験する事も可能
- 学校通学の時間や費用がかからない
- 様々な質問体制があるが、学校によっては人員が少なく、対応しきれていない場合もある
- 講座によっては、紙の資料を使用しない事もある
- 上記の場合、試験に計算問題がある簿記検定などは、試験対策が不十分になる場合がある
- 倍速で見れるだけに、勉強を「こなした」気分となってしまい、学力が身に付いていない事も
- 「いつでも出来る」という感覚から、ついつい後回しになり、結局学習しなくなる
- インプットには向いているが、アウトプットは自分自身で学習計画をたてる必要がある
上記メリットを見ると、「時間的制約」「場所的制約」が少なく、いつでもどこでも勉強できるという利点がある事がわかります。
しかしその分、「今日は忙しいから、また明日に」という気持ちも起こりやすく、ある程度の自制心がなくては継続できる勉強法とはいえません。
また、いくらテキストを理解したとしても、問題が解けなければ試験には合格出来ませんので、アウトプットの学習時間が必要となりますが、これは自主的に時間を作らなくてはならず、通学講座に比べ、学習計画の作成は個人個人の問題として発生します。
ただし、疑問に思う部分はスクールに直接質問する事が出来るため、イメージとしては「独学」と「通学講座」の中間の位置づけといったところでしょう。
通信講座(Web講座)に向く人、向かない人
それでは以上をもとに、この通信講座(Web講座)に向く人、向かない人について考えてみましょう。
- 移動時間が多く、その時間を利用して学習したい人
- 独学での学習には不安があるが、通学講座を受講する余裕のない人
- ある程度の学習サポートを必要とする人
- 短期学習で資格を取得したい人
- 自分自身で、ある程度の学習計画を立てられる人
- 自分自身で、ある程度の学習計画を立てられない人
- 忙しさを理由に、学習を先延ばしにする癖のある人
- 経済的に余裕のない人
- インターネット環境の整っていない人
通学講座よりは費用を安く済ませる事が出来ますが、やはり独学に比べればそれなりの出費となります。そう考えると、やはりある程度の経済的余裕は必要となってくるでしょう。
また、学習計画においては、資格のスクールが基本的な方法などを立案してくれますが、アウトプットに関してはどうしても自主性が必要となります。
特に、簿記検定試験は計算問題が主体となるため、繰り返し問題を解く事が合格の成否を分けます。
「講座を視聴しているから、ある程度の知識はついた」と考え、安易に構えやすい傾向にある人は、あまり向いていない勉強方法だと言えるでしょう。
簿記検定試験における「通信講座(Web講座)」の注意事項
総合的に考えると、バランスの取れた勉強方法といえる「通信講座(Web講座)」ですが、簿記検定試験においてはいくつか注意点があるので、それについてもお伝えしておきます。
スクールによっては、紙のテキストがない事も
費用的に安く済ます事が出来る「通信講座(Web講座)」ですが、中には紙のテキストや問題集がセットになっていないスクールがあるので注意が必要です。
一般的に、暗記を中心とした試験であれば紙のテキストが無くても問題ありませんが、簿記検定試験は計算問題が中心となるため、演習が重要となります。スクールによっては、紙のテキストや問題集を発行していない事もあるため、このようなスクールであれば、自分で別途問題集を購入する必要があります。
特に、講座費用が異様に安い講座は注意が必要です。
ただ、人によっては「むしろその方が良い」という場合もありますから、これを一律に「良い・悪い」と判断する事は出来ません。
無料トライアルは必ず受けるべき?
どこのスクールも、一定期間の「無料トライアル」を設けており、事前にスクールの授業イメージを掴むことが出来るようになっています。
出来たら、講座申し込みする前に、この「無料トライアル」には参加しておいた方が良いでしょう。というのも、各スクール共に多彩な講師陣が所属しており、どの講師も有能ではありますが、どうしても「合う、合わない」というのが出てきます。
要は、アナタとの相性があるという事です。
相性の悪い講師の授業というのは聞いているだけでも苦痛となるので、学習を続けるのが困難となってしまいます。ですからこのような事態を未然に防ぐため、あちこちの「無料トライアル」を講座申し込み前に受けておきましょう。
おススメの学校
それでは最後に、通信講座(Web講座)におけるおススメの学校についてご紹介します。
世の中には数多くのWeb講座がありますが、ここでは、簿記検定試験に強い学校を中心にお伝えします。
クレアール
- 【講座費用】
- 日商簿記3級:9,472円~14,800円(税込)
- 日商簿記2級:32,860円~53,000円(税込)
- 3・2級パック:32,000円~58,000円(税込)
- 日商簿記1級:89,760円~145,000円(税込)
- 全経上級:なし
価格 4.0 実績 4.5 サポート 3.5 簿記の通信講座(Web講座)において、一番有名なのはこのクレアールかもしれません。他の大手専門学校もWeb通信講座の取り扱いはありますが、クレアールはWeb通信講座の専業という事もあり、かなりのノウハウがあります。
Web講座でありながら、「担任制」という珍しいシステムを導入していて、電話やFAXなどでいつでも質問に応じてもらえます。また、各種割引や延長サービスなどもあるので、使い勝手の良いスクールだと言えます。
また、合格出来なかった場合でも、目標としていた日商簿記の検定日から1年間はWeb講義を視聴する事ができ、サポート体制も利用する事ができる「保証制度」もあるので心強いと言えますね。
LEC(レック)
- 【講座費用】
- 日商簿記3級:14,850円~16,500円(税込)
- 日商簿記2級:56,100円~59,400円(税込)
- 3・2級パック:56,650円~61,600円(税込)
- 日商簿記1級:127,000円(税込)
- 全経上級:なし
価格 4.0 実績 4.0 サポート 4.0 資格の大原、TACと共に、資格取得の専門学校大手とされるLECですが、実はこの学校は、通学講座よりも通信講座(Web講座)を主体としている学校なのです。歴史も長く、そのため試験対策も充実していると言えるでしょう。
通学講座も開設しているため、さまざまな選択肢がある学校と言えますが、しかしその分講座費用が高くなる傾向もあります。とは言っても、「早期割引」「LEC受講生割引」など様々な割引制度も用意しているので、それらを賢く利用すればいくらか費用を抑えることも出来ます。
ネットスクール
- 【講座費用】
- 日商簿記3級:5,000円~9,700円(税込)
- 日商簿記2級:29,000円~38,700円(税込)
- 日商簿記1級:99,500円~124,000円(税込)
- 全経上級:79,800円~89,500円(税込)
価格 5.0 実績 3.5 サポート 3.0 このネットスクールは、税理士試験などの教材を取り扱っている企業であり、会計系の資格に特化しているという特徴があります。専門性の高さには定評があり、講座費用も他のスクールに比べ、かなり安くなっています。
電話でのサポートも受け付けていますが、規模的な問題から、どうしても上位2スクールと比べるとサポート面では見劣りするという点があります。
ただし、全経上級の講座を開設しているスクールが少ないため、全経上級を目指す方はこのネットスクールを選択するのがおススメだと言えます(全経上級受講は、日商簿記2級合格以上の方を対象としています)。
その他
おススメとしては前述した3校となりますが、それ以外にも幾つかご紹介しておきます。
STUDYing(スタディング)
【講座費用】
日商簿記3級:3,480円(税抜)
日商簿記2級:17,980円(税抜)
3・2級パック:19,980円(税抜)
このSTUDYing(スタディング)は、完全にWeb講座に特化したスクールとなっています。
そのため、講座費用も低価格となっていますが、しかしこの価格の中には紙の問題集などが含まれていない事に注意が必要です。紙の問題集を自前でそろえる人には問題ないと言えますが、「全てスクールで用意してもらいたい」という人は少し考えたほうが良いかもしれません。
逆に、行政書士試験や宅建士試験などの「暗記中心の資格」には向いているスクールだと言えるでしょう。
なお、日商簿記1級、全経上級の講座はありません。
資格の大原
【講座費用】
日商簿記3級:24,500円~(税込)
日商簿記2級:66,000円~(税込)
3・2級パック:76,800円~(税込)
日商簿記1級:124,700円~(税込)
簿記検定試験といえば、やはりこの資格の大原が一番の大手だと言えます。教室受講がメインのように思われがちですが、大原のWeb講座もかなり充実しています。
しかし、他のスクールに比べて全般的に講座費用が高い傾向にあり、「少しでも安く」という方には向いていないかもしれません。
ですが、費用よりも安心を取りたいという方には、おススメの学校だと言えるでしょう。
ちなみに、以前は大原でも全経上級の講座を開設していましたが、現在では取り扱いがほとんど無くなっているようです。完全に基本から全経上級を学習したいのであれば、ネットスクールしか選択肢はないと言えます。
まとめ
これ以外にも様々なスクールがありますが、簿記検定中心に考えるならば、以上のスクールのいずれかを選択すれば、まず間違いないと言えます。
「独学は不安だけど、通学は困難」という人にとって、この通信講座(Web講座)は最適な勉強方法ですから、まずは無料トライアルからでも試してみては如何でしょうか?
また、Web講座でも「教育訓練給付金」を利用する事も可能ですから、興味がある方はこちらの記事も参考にしてみて下さい。
日商簿記や全経上級の試験に合格するための「学習方法」は様々ありますが、大きく分ければ「独学」か「資格のスクールに通う」かのいずれかを選択する事になります。 費用的な面で考えれば、独学で学習する方が安く済ませる事が出来ます …