【簿記検定試験】独学以外の選択肢と、その選択方法

簿記検定試験の合格を目指す場合、多くの人がまず「独学での合格」を考えるかと思います。

もちろん、独学でも十分合格可能な試験ですし、費用的な面で考えれば、独学で勉強しようと思うのは自然な流れだと言えるでしょう。当サイトにおいても、独学で合格するためのお勧めテキストなどを紹介しているので、興味のある方はそちらの記事もご覧になってみて下さい。

 

 

しかし、全ての人にとって独学が向いている訳では無く、何度受験しても合格できない人もいるかと思います。

そういった場合、「私は頭が悪い」とか「そもそも簿記に向いていないんだ」と落ち込むこともあるでしょうが、違う考え方をすれば「独学は、わたしに向いていない勉強方法なんだ」という捉え方も出来ます。

そこでこの記事では、簿記検定の勉強をする上で、「独学以外の勉強方法にはどのような選択肢があるのか?」また「どのようなタイプの人間が、どの勉強方法に向いているか?」などについてお伝えしようと思います。

目次

簿記検定試験の勉強方法の種類

それでは早速、独学も含めた「簿記検定試験の勉強方法」の種類についてお伝えします。

簿記検定試験の勉強方法
  1. 独学
  2. 通学講座(教室受講)
  3. 通学講座(DVD受講)
  4. 通信講座(eラーニング、Web)
  5. 通信講座(DVD講座)
  6. 通信講座(資料通信)

上記を見ると、大きく分けて「独学」「通学」「通信」の3種類の勉強方法となり、通学・通信共に、少しずつ異なった内容がある事がわかります。

結局突き詰めれば、独学以外の選択肢は、資格の学校などで講座を受講するという事になりますが、講座の種類だけで大きく分けて5種類もあります。

正直言って、このうちのどれが自分に向いているのかについて考えるだけでも、面倒に感じるかもしれませんね。

何を重視するか考える

とは言っても、実はそんなに難しく考える必要はありません。

要は、「自分は簿記の勉強を進める上で、何を重視するのか」について考えれば、どの勉強方法(講座)を選ぶべきか自ずと答えは出てくるはずです。

そこで、簿記検定試験を含む資格試験の講座選択において、多くの人が比較検討の材料とする要件について考えてみましょう。

資格の講座を選ぶための検討材料
  1. 費用
  2. 勉強時間の確保
  3. 試験対策の充実
  4. 講師のレベル
  5. サポート内容
  6. 合格率

まず、上記1の「費用」については、誰もが一番に気にする材料でしょう。出来るだけ費用を抑えて、効率よく合格したいのは誰もが同じはずです。

次に、「勉強時間の確保」とありますが、社会人の方の場合、勉強に充てられる時間は就業時間以外となり、時間的な制約が大きなネックとなる事が多いようです。

また、地域によっては資格の専門学校の校舎が少ないため、物理的に通学が難しいという問題もあります。

さらに次の「試験対策の充実」「講師のレベル」も気になるところです。大手の学校となれば講師陣も充実しており、何処に行ってもあまり遜色はありませんが、中にはクセの強い講師もいるため、相性の問題も出てくるようです。

「サポート内容」については、講座ごとによって「どこまで添削してくれるのか?」「質問は何回までなのか?」という違いも発生します。学費が安くても、分からないところを質問できないのであれば、何のためにお金を払っているのかわかりませんよね。

そして最後の「合格率」ですが、これはどこの学校でもあまり大差はありません。どこの学校でも合格する人は合格しますし、落ちる人も同様にいます。

これに関しては、多くの人が気にする部分ではあるでしょうが、あまり気にし過ぎないほうが良いでしょう。

各勉強方法を点数化

では上記を踏まえた上で、各勉強方法について比較し、点数化してみたいと思います。

費用の安さ勉強時間の確保試験対策の充実講師のレベルサポート内容
独学
10点

10点

2点

0点

1点
通学講座(教室受講)
1点

2点

10点

10点

10点
通学講座(DVD受講)
1点

5点

9点

7点

9点
通信講座(Web講座)
7点

8点

7点

7点

7点
通信講座(DVD講座)
5点

7点

7点

7点

6点
通信講座(資料講座)
7点

7点

7点

5点

6点

 

上記から考えると、トータルの順位は以下のようになります。

1位:通信講座(Web講座)36点

2位:通学講座(教室受講)33点

3位:通信講座(DVD講座)、通信講座(資料講座)32点

5位:通学講座(DVD受講)31点

6位:独学 23点

必ずしも上記の通りとはなりませんし、人それぞれどの点を重視するかによっても、各勉強方法の「良い・悪い」は異なるかと思います。

しかし、通信講座(Web講座)は価格も安く、平均的に点数が高い事を考えれば、独学の次に検討しても良い勉強方法だといえます。

各勉強方法の費用や特徴

それでは、各勉強法における費用や特徴についても見ていきましょう。

点数の高い順でお伝えしようと思いましたが、「通学」と「通信」と似たような文字の為、混乱を生じないように「通学」⇒「通信」の順にお伝えします。

通学講座(教室受講)

それではまず「通学講座(教室受講)」からですが、こちらは時間的制約、費用面から考えると一番デメリットが多いように感じます。

しかしその反面、合格までのサポート体制が一番整っているというメリットがあります。学校によっては、いつでも質問を受け付けてくれますし、納得いくまでサポートしてくれるためその点では心強いと言えます。

ただし注意点としては、あくまでも学校形式となるため、同じ教室の生徒と仲良くなりすぎ、勉強自体が疎かになってしまう可能性があるという事。

「仲間がいた方が頑張れる」という人は向いていますが、ズルズルと引き込まれる性格であれば、この勉強方法は避けたほうが良いでしょう。

代表的な学校など

この通学講座(教室受講)の代表的な学校は以下の通り。

簿記講座【資格の大原】
資格の学校はたくさんありますが、簿記検定の講座はこの大原が有名です。
講師陣も充実していますから、全くの初心者にはおススメです。
TAC
大原と並び、資格の学校大手のTACですが、特徴としては「如何に合理的に合格させるか」というイメージがあります。
大原は細かい部分まで学ばせますが、TACは要領を覚えさせるといったところでしょうか。
LEC
LECは上位2校に比べ、通学できる校舎数も生徒数も少し見劣りするところがあります。
簿記の通学講座は一部校舎でしか取り扱っていません。

費用

  • 日商簿記3級・2級セット 95,000円~110,000円程度
  • 日商簿記3級      30,000円前後
  • 日商簿記2級      80,000円~100,000円程度
  • 日商簿記1級      150,000円~200,000円程度
  • 全経上級        ?

※全経上級の通学口座はほとんど無くなりました。

費用で見ると、やはり一番高額となるのがこの通学講座(教室受講)です。ただし、これ以外にも「見えない費用」として、通学費用も掛かってくることもお忘れなく。

通学講座について、更に詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

※2020年追記:新型ウイルスの影響で、多くの通学講座が閉講となっています。

通学講座(DVD受講)

そして次が「通学講座(DVD受講)」です。

この講座は、資格の学校内にある視聴ブースを利用し、いつでも好きな時間に授業を受けられるという利点があります。聞き取れなかった部分は巻き戻し、理解している部分は早送りと、自分のペースに合わせた勉強が出来ます。

また、分からない事があれば学校内にいる講師に質問する事も出来るので、サポートも充実していると言えるでしょう。

「自宅でもDVDで勉強できるよね?」という考えもありますが、自宅だとどうしてもだらけてしまいがちになる人は、敢えて「勉強しなくてはならない環境」を作るため、この講座を選択することもあるようです。

そしてやはり通学講座ですから、費用的には高額になります。

代表的な学校など

この通学講座(DVD受講)の代表的な学校は以下の通り。

簿記講座【資格の大原】
校舎の数としては、この大原が一番多く、通いやすいと言えます。
自習室も充実していますが、校舎によっては混みあっていることもあります。
TAC
講師のレベルには定評あり。ただ、受付スタッフなどの評判が悪い事も。
自習室は、全般的に混みあっているイメージ。
LEC
大手3校の中でも、通学可能な校舎数が少ない学校。
講師のレベルは高いが、どちらかと言うと法律系が強い。

費用

  • 日商簿記3級・2級セット 100,000円~110,000円程度
  • 日商簿記3級      25,000円~35,000円程度
  • 日商簿記2級      80,000円~100,000円程度
  • 日商簿記1級      150,000円~200,000円程度
  • 全経上級        ?

※こちらも全経上級の講座はほとんど無くなりました。

費用で見ると、通学講座(教室受講)とほぼ同程度であることがわかります。費用が同じであれば、教室講座の方がお得だと感じる人もいるかもしれませんね。

しかし、「他の受験生と必要以上にベタベタしたくない」という人にはおススメの勉強方法だと言えます。

また同様に、自宅だとどうしても勉強が手に付かないという人は、「勉強する環境を整える」という意味でも選択する価値はあります。

通信講座(Web講座)

そして次が、「通信講座(Web講座)」

前述しましたが、この勉強方法の一番の特徴は、費用も安く全般的にバランスの取れている勉強方法だという事。

スマホやタブレットを使用しながら勉強できるので、通勤中の電車の中でも勉強する事が可能となり、空き時間を効率よく利用して勉強したいという人には、おススメの勉強方法だと言えるでしょう。

代表的な学校など

この通信講座(Web講座)の代表的な学校としては以下の通り。

クレアール
Web講座で一番有名なのが、このクレアール。仮に他の会社のWeb講座を申し込んだとしても、クレアールの教材である事が多いです。
実績や使いやすさから言ってもおススメです。
LEC
このLECは通学講座で比較されがちですが、どちらかというとWeb講座の方に力を入れています。
優秀な講師陣が多い事もポイント。
ネットスクール
このネットスクールは、税理士試験などの会計系試験の教材を扱っている会社です。
会計に特化している分、専門性が高いとも言えます。
STUDYing(スタディング)
こちらは最近講座数を増やしている「eラーニング特化型」のサイト。
注意点としては、紙のテキストを使用しないという所。

費用

  • 日商簿記3級・2級セット 18,000円~70,000円程度
  • 日商簿記3級      4,000円~20,000円程度
  • 日商簿記2級      16,000円~60,000円程度
  • 日商簿記1級      100,000円~140,000円程度
  • 全経上級        90,000円前後

※全経上級は、ネットスクールのみの開講となります。

ここで注意が必要なのが、上記の費用に「テキスト代が含まれているかどうか」という事。

Web講座の特徴としては、スマホやタブレットなどで手軽に勉強できるという利点がありますが、実際の試験においては紙に書き込む作業が必要となります。いくら手軽だとは言え、実際の答案用紙に書き込むための訓練も重要ですから、テキストや答案用紙も学費に含まれているかどうか、きちんと確認しましょう。

特に、学費がかなり安い講座は注意が必要です。

通信講座(Web講座)についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。

 

通信講座(DVD講座)、通信講座(資料講座)

そして最後が「通信講座(DVD講座)」と、「通信講座(資料講座)」

昔から通信講座と言えば、資料講座がメインでしたが、徐々にDVD講座にその座を明け渡すようになり、更に現在はWeb講座へと移行しつつあります。

これまで、これらの講座で有名だったのが「ユーキャン」や「たのまな」でしたが、現在これらはどちらもWebによる講義で内容を強化するようになっています。

ですから結局、現在の流れとしては「通学講座(教室受講)」「通学講座(DVD受講)」「通信講座(Web受講)」の3つがメインとなっており、この「通信講座(DVD講座)」「通信講座(資料講座)」のみを取り扱っているサービスは、ほとんどありません。

今回、この通信講座の「DVD講座」「資料講座」についてお伝えする必要もありませんでしたが、意外とこの辺で混乱する方も多いため、念のためお伝えしております

まとめ

冒頭でもお伝えしましたが、多くの人が資格取得と聞くと、まず費用について考えるかと思います。しかし、費用ばかりにとらわれると、本来の目的である「合格」を達成する事が出来ません。

出来るだけ費用をかけないように独学をしていたら、「何年もかかってしまい、逆に高くついた」なんて話はよくあります。

費用を抑えるためには、「教育訓練給付金」などを利用する方法もありますから、そちらについて詳しくは下の記事も参考にしてみて下さい。

 

 

自分に合った勉強方法を見つけ、効率よく簿記検定の合格を目指してください。